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会長は最後に俺を殴った・・・(サムロはやはり悲しむ)
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俺がイチジーク会長、もとい、アナミサエラと離婚して、三年後にゼハンプリュを失い、
「可愛いゼハンプリュ・・・。」
と思い、彼女を助けられなかった悔しい思いを共有したデュナと、それからしばらくして再婚した。そのしばらく後に、俺達2人は3年間俺の元妻イチジーク・アナミサエラと3人での共同生活をすることになった。
彼女は、パパイ大公による内戦と彼に同調した外国勢力の介入戦争後、その戦後処理、国土復興に敏腕を振るった後、一市民として、つまり俺と離婚してコリアンダー公爵人の地位を捨てた後、国内改革、市民的改革のために大活躍した。
普通選挙による議会の創設、政治的・個人的自由、三権分立、人権の確立、等々を大いに推し進めた。大胆にして、慎重に、素早く、手堅く、彼女は自由の女神そのものだつた。俺は枢密院議長、デュナは元老院議長として、貴族の権利、コリアンダー公爵家、ピール公爵家を何とか守ろうとはしつつも、積極的に彼女の運動に反対しない方向をとった、ただそれだけである。
その彼女が、過激派の暗殺により、大けがを負った。慌てて、俺の屋敷に担ぎ込み、そのまま・・・となったのである。
彼女の容態は、はかばかしくなく・・・というより、彼女は無理をして、演説をし、交渉をし、考え、悩み、執筆をし、相談にのり、もめごとの相談、調停、災害などが起きると救援に駆け付けるなど、よくなるものも、悪化せずにはおかないような日々を過ごしたのだ。俺達は止めることもできず、ただただ、何とか彼女の命の火が1日でも長く続く様にするしかなかった。
そして、ある日彼女は再び過激派の暗殺により深手を負って、ベットから起き上がることができなくなった。
駆け付けた国王陛下ご夫妻に、
「陛下の、微温的ではあっても、常に市民のことを考えての進歩的な改革は決して無駄ではなかったというだけでなく、今日の礎になったのです。その陛下を支えられることができたのは、王妃様だけです。」
後妻のデュナには、
「あなたに全てを託してしまって、申し訳ないと思っています。あなたしか、サムロ様をささえられなかったでしょう。」
そして二人っきりになってくれるように願った。
「君は、誰を一番愛した?」
「私の今の妻はデュナです。私は、妻を愛しています。それ以上は、殴られたくありませんから・・・。」
「大いに殴って、罵ってあげるから、言いなさい。」
「会長・・・イチジーク・アナミサエラ。君を・・・学園で副会長になった時から、ずっと一番愛していた。」
彼女は、弱弱しく腕を持ち上げ、俺の頬を軽く触った。
「全くこの、浮気者、女ったらし、ジゴロ、無節操、女の敵、嘘つき、変態、糞野郎・・・。でも、そう言っていくれて嬉しいわ。私も愛していた。いつも私を支え、導いてくれて、フォローしてくれた。君の妻として愛し合っていたかった、君をささえたかったのに・・・私は逃げ出した・・・。許して・・・。」
俺は何もしていないのに・・・・。でも、見つめる彼女は実に可愛かった。僅かに開けた唇に誘われて、唇を重ねて舌を絡ませあった。数日後、彼女は人生で初めての、そして最後の敗北を喫した、死という運命に。
その葬式が終わった夜、俺はデュナを持ち上げて、抱きしめて、一体になっていた、もちろん、下半身を露わにしていた、2人とも。
「ごめんなさい。私はこんな時に、あなたをじぶんの物だつて・・・。」
と彼女は甘い吐息を噴きつけながら、耳元で囁いた。
「俺こそ・・・。君に支えてもらわないとダメなんだ。」
二人とも泣いていたと思う。
俺は、デュナも、ゼハンプリュも、会長も、みんなを犠牲にして生き延びたんじゃないか?と思えてならなかった、あ、デュナは死んでいなかった・・・。俺は、それを振り払うように、振り払うために、下から激しく突き上げた。ごめんな、デュナ、共犯者にして・・・。デュナも、叩きつけるように動いてくれた。本当に。共犯者になっているように思えたよ。
「可愛いゼハンプリュ・・・。」
と思い、彼女を助けられなかった悔しい思いを共有したデュナと、それからしばらくして再婚した。そのしばらく後に、俺達2人は3年間俺の元妻イチジーク・アナミサエラと3人での共同生活をすることになった。
彼女は、パパイ大公による内戦と彼に同調した外国勢力の介入戦争後、その戦後処理、国土復興に敏腕を振るった後、一市民として、つまり俺と離婚してコリアンダー公爵人の地位を捨てた後、国内改革、市民的改革のために大活躍した。
普通選挙による議会の創設、政治的・個人的自由、三権分立、人権の確立、等々を大いに推し進めた。大胆にして、慎重に、素早く、手堅く、彼女は自由の女神そのものだつた。俺は枢密院議長、デュナは元老院議長として、貴族の権利、コリアンダー公爵家、ピール公爵家を何とか守ろうとはしつつも、積極的に彼女の運動に反対しない方向をとった、ただそれだけである。
その彼女が、過激派の暗殺により、大けがを負った。慌てて、俺の屋敷に担ぎ込み、そのまま・・・となったのである。
彼女の容態は、はかばかしくなく・・・というより、彼女は無理をして、演説をし、交渉をし、考え、悩み、執筆をし、相談にのり、もめごとの相談、調停、災害などが起きると救援に駆け付けるなど、よくなるものも、悪化せずにはおかないような日々を過ごしたのだ。俺達は止めることもできず、ただただ、何とか彼女の命の火が1日でも長く続く様にするしかなかった。
そして、ある日彼女は再び過激派の暗殺により深手を負って、ベットから起き上がることができなくなった。
駆け付けた国王陛下ご夫妻に、
「陛下の、微温的ではあっても、常に市民のことを考えての進歩的な改革は決して無駄ではなかったというだけでなく、今日の礎になったのです。その陛下を支えられることができたのは、王妃様だけです。」
後妻のデュナには、
「あなたに全てを託してしまって、申し訳ないと思っています。あなたしか、サムロ様をささえられなかったでしょう。」
そして二人っきりになってくれるように願った。
「君は、誰を一番愛した?」
「私の今の妻はデュナです。私は、妻を愛しています。それ以上は、殴られたくありませんから・・・。」
「大いに殴って、罵ってあげるから、言いなさい。」
「会長・・・イチジーク・アナミサエラ。君を・・・学園で副会長になった時から、ずっと一番愛していた。」
彼女は、弱弱しく腕を持ち上げ、俺の頬を軽く触った。
「全くこの、浮気者、女ったらし、ジゴロ、無節操、女の敵、嘘つき、変態、糞野郎・・・。でも、そう言っていくれて嬉しいわ。私も愛していた。いつも私を支え、導いてくれて、フォローしてくれた。君の妻として愛し合っていたかった、君をささえたかったのに・・・私は逃げ出した・・・。許して・・・。」
俺は何もしていないのに・・・・。でも、見つめる彼女は実に可愛かった。僅かに開けた唇に誘われて、唇を重ねて舌を絡ませあった。数日後、彼女は人生で初めての、そして最後の敗北を喫した、死という運命に。
その葬式が終わった夜、俺はデュナを持ち上げて、抱きしめて、一体になっていた、もちろん、下半身を露わにしていた、2人とも。
「ごめんなさい。私はこんな時に、あなたをじぶんの物だつて・・・。」
と彼女は甘い吐息を噴きつけながら、耳元で囁いた。
「俺こそ・・・。君に支えてもらわないとダメなんだ。」
二人とも泣いていたと思う。
俺は、デュナも、ゼハンプリュも、会長も、みんなを犠牲にして生き延びたんじゃないか?と思えてならなかった、あ、デュナは死んでいなかった・・・。俺は、それを振り払うように、振り払うために、下から激しく突き上げた。ごめんな、デュナ、共犯者にして・・・。デュナも、叩きつけるように動いてくれた。本当に。共犯者になっているように思えたよ。
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