81 / 89
最低の男だね、俺は。【サムロは悩む】
しおりを挟む
「全く、自分という男が情けないですよ、会長。今に始まったことではないですが。」
俺は弱弱しく可愛い、助けてやりたくなるゼハンプリュを拒絶できず、可愛い、ともに生きたい、背を任せ合いたいデュナだけを愛するということを守れなかった、裏切ってしまった。彼女達を並べて、交互に愛するとかいう痴態を演じてしまい、それが続いてしまっている状態にある、日々を送っているのだ。
それを会長に、もとい元会長に、いいやイチジーク元書記官、いいや、イチジーク北方領臨時行政官長に向って、公務時間は終わったとは言え、執務室、一応臨時北方領総督としての俺の執務室で言い訳めいたことを言っているのだ、俺は。学生自治会時代と同じように、彼女に迷惑しかかけられないでいるのだ。それが、いかにも恥ずかしいのだが。
彼女は大きなため息をついた。そうだろうな、呆れるだろうな。
「コリアンター公爵には、あえてここではかつての盟友としての我がままで、サムロに、全てを任せてしまいましたね。私には、彼女を救えなかった。残念であり、君に申し訳ないと思っているよ。」
え?なんの話?
パパイ大公領は、その主の死などから、その領地は同盟外国軍部隊や大公軍残党、大半は傭兵による略奪で大混乱、大きな被害を受けた。それは、諸外国との交渉を速やかに行い、政府に復帰したイチジーク行政官を含めた尽力で短期間で成立して外国軍が撤兵、残党の軍は恩赦と討伐の飴と鞭で壊滅できた。
その短期間ながらも、ひどい被害の結果、我々が解放軍のように迎えられ、戦後処理はスムーズにいくことになったのは、皮肉な結果だった。
代々のパパイ大公陵が、実は国王に対するものと同様なものであったことが判明したのは、略奪がそこに及んだため、修復のための調査をしたときだった。だからといって無理やり破壊して、分際をわきまえさせたものに作り替えるのは費用もかかるので、そのまま再建させた。これまた、領民を安心させる結果になった。
パパイ大公の代々の大事業、特に先代からアイリスまでの大事業は、軍師にして、軍師としての才能は?だったが、名宰相にして、大謀略家、外交家が大いに力があった、大公とあの宰相があってのことであると同時に、無理があり、多額の政府からの助成金によりなりたっていた。あっという間に崩壊の危機にあったが、巧みに、すばやく、無理なく、縮小、いや縮小ではなく適地適作、水量、労働力にあわせた形に修正することで、軟着陸させることに成功した。例えば、無理に小麦の栽培ではなく、もっと作りやすい雑穀に替える、乾燥、低温に耐える作物に転換させるということで対応した。全ては、イチジーク長官とその優秀な部下達のおかげであって、俺の功績などは全くない。まあ、一応ピール公爵デュナこと、俺の妻とともに統治機構の、形上のトップは俺だからやらなければならないことはやったが、大したことはやっていない。
ここに理想の進歩的な社会制度のモデルを実現しようという、空想的な、机上の主張をする輩が一杯現れた。パパイ大公統治が突然なくなり、空白になったから、強制的にできる状態だから行う、実現できるというのだが、とんでもないことだった。そんなことをやったら、どんなにいい制度であっても反発を受けて、失敗することは確実なのだ。イチジーク会長の手腕のおかげである、全て。民族、地域の伝統を尊重しながら、うまく新しい進歩的な制度を理解を得て、導入し大部分が成功した。華々しくはなかったが、着実に進んだ。全ては、イチジーク会長だけの功績ではなかったとはいえ、彼女の存在なしにはありえなかった。本当に、彼女は学園時代から、俺からは眩い存在だ。
「学園の自治会時代から、あなたには導かれて・・・、本当にあなたは、私にとっては孤高に輝く満月だつた。あなたを支える存在にも・・・支えてもらう存在にもなれなかった。私は、中途半端だつた、いつも。後悔している・・・。私のつまらないプライドとためらいが恨めしいよ。」
は?なんのことですか、会長?
俺は弱弱しく可愛い、助けてやりたくなるゼハンプリュを拒絶できず、可愛い、ともに生きたい、背を任せ合いたいデュナだけを愛するということを守れなかった、裏切ってしまった。彼女達を並べて、交互に愛するとかいう痴態を演じてしまい、それが続いてしまっている状態にある、日々を送っているのだ。
それを会長に、もとい元会長に、いいやイチジーク元書記官、いいや、イチジーク北方領臨時行政官長に向って、公務時間は終わったとは言え、執務室、一応臨時北方領総督としての俺の執務室で言い訳めいたことを言っているのだ、俺は。学生自治会時代と同じように、彼女に迷惑しかかけられないでいるのだ。それが、いかにも恥ずかしいのだが。
彼女は大きなため息をついた。そうだろうな、呆れるだろうな。
「コリアンター公爵には、あえてここではかつての盟友としての我がままで、サムロに、全てを任せてしまいましたね。私には、彼女を救えなかった。残念であり、君に申し訳ないと思っているよ。」
え?なんの話?
パパイ大公領は、その主の死などから、その領地は同盟外国軍部隊や大公軍残党、大半は傭兵による略奪で大混乱、大きな被害を受けた。それは、諸外国との交渉を速やかに行い、政府に復帰したイチジーク行政官を含めた尽力で短期間で成立して外国軍が撤兵、残党の軍は恩赦と討伐の飴と鞭で壊滅できた。
その短期間ながらも、ひどい被害の結果、我々が解放軍のように迎えられ、戦後処理はスムーズにいくことになったのは、皮肉な結果だった。
代々のパパイ大公陵が、実は国王に対するものと同様なものであったことが判明したのは、略奪がそこに及んだため、修復のための調査をしたときだった。だからといって無理やり破壊して、分際をわきまえさせたものに作り替えるのは費用もかかるので、そのまま再建させた。これまた、領民を安心させる結果になった。
パパイ大公の代々の大事業、特に先代からアイリスまでの大事業は、軍師にして、軍師としての才能は?だったが、名宰相にして、大謀略家、外交家が大いに力があった、大公とあの宰相があってのことであると同時に、無理があり、多額の政府からの助成金によりなりたっていた。あっという間に崩壊の危機にあったが、巧みに、すばやく、無理なく、縮小、いや縮小ではなく適地適作、水量、労働力にあわせた形に修正することで、軟着陸させることに成功した。例えば、無理に小麦の栽培ではなく、もっと作りやすい雑穀に替える、乾燥、低温に耐える作物に転換させるということで対応した。全ては、イチジーク長官とその優秀な部下達のおかげであって、俺の功績などは全くない。まあ、一応ピール公爵デュナこと、俺の妻とともに統治機構の、形上のトップは俺だからやらなければならないことはやったが、大したことはやっていない。
ここに理想の進歩的な社会制度のモデルを実現しようという、空想的な、机上の主張をする輩が一杯現れた。パパイ大公統治が突然なくなり、空白になったから、強制的にできる状態だから行う、実現できるというのだが、とんでもないことだった。そんなことをやったら、どんなにいい制度であっても反発を受けて、失敗することは確実なのだ。イチジーク会長の手腕のおかげである、全て。民族、地域の伝統を尊重しながら、うまく新しい進歩的な制度を理解を得て、導入し大部分が成功した。華々しくはなかったが、着実に進んだ。全ては、イチジーク会長だけの功績ではなかったとはいえ、彼女の存在なしにはありえなかった。本当に、彼女は学園時代から、俺からは眩い存在だ。
「学園の自治会時代から、あなたには導かれて・・・、本当にあなたは、私にとっては孤高に輝く満月だつた。あなたを支える存在にも・・・支えてもらう存在にもなれなかった。私は、中途半端だつた、いつも。後悔している・・・。私のつまらないプライドとためらいが恨めしいよ。」
は?なんのことですか、会長?
10
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした
仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」
夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。
結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。
それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。
結婚式は、お互いの親戚のみ。
なぜならお互い再婚だから。
そして、結婚式が終わり、新居へ……?
一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる