76 / 89
もちろん勝ち戦です。
しおりを挟む
アイオン様の軍師、希代の謀略家にして、外交官、名宰相、様は、後で聞いたところではあるけれど、竜虎の陣、夢幻の陣、虎豹の陣、空城の計とか色々とやっていたらしいわ。どこが最強の陣なのかしら?戦っていた時は分からなかったわよ。空き砦がいくつかあったけど、事前の索敵で潜んでいる部隊はいないとわかっていたから、警備の部隊を残して素通りしてやったわ。少しは役に立ったのは、十面埋伏の陣かしら?でも、周辺の住民は敵ばかり、つまり私達の味方ばかりなのだから、少数の兵力をバラバラに隠しておいても、隠れているつもりでも、私達に筒抜け、通報を受けた我が軍に各個撃破。その前に、農民や市民の義勇軍により壊滅された部隊はいくつもあったわ。
それより、一村ごと工作員と入れ替えて、
「おい、ここにいたら危ないぞ。」
と農地でのんびり畑仕事をしている農民に注意したわが軍の先遣隊の一兵士に、
「大公陛下と国王様が喧嘩でもしているのかえ?」
と返す農民。呆れる兵士の後ろから、
「大公陛下?・・・おい、そんな言い方は北方領でしか言わないぞ。それに、お前ここの者でないアクセントがあるようだが・・・。」
と気が付いた兵士の声。慌てて、捕らえようとする兵士達と周囲にいつの間にか集まっていた農民達が、仲間を助けに武器を持って現れ、さらに仲間を助けに入った先遣隊の他の将兵と戦闘になるという場面が、いたるところで展開させることになったことのほうが多少戦果があったというところだろう。
入れ替えられた農民はというと、遺体が後から発見されたわ。それも半ばは、事前に周辺の農民から情報が入っていて、農民の義勇兵とともに、先遣隊が強襲して壊滅させてしまっていたけど。全く軍書を読破しただけで、名将になったつもりの愚かしさね。しかも、大公さまの徳に感化された農民達が…、と何故か夢想しているのよね、馬鹿じゃらないの?
でも、何とか装備、陣形を整え、最後まで整然と戦わせ、何とか総崩れになることまでいかずに退却させた手腕や戦術、指揮はたいしたものといえたわ、軍師さんは。変なパフォーマンスに走らなければ、合格点だったのにね。まあ、大勢は変わらなかったでしょうけどね。最強の騎兵隊等が壊滅された、あの攻防戦で既に敗北は決定的だったの、アイオン様もあんたでも、どうしようもなかった?、いうところね?
兵力、火力、練度、指揮、全てに勝る我が軍が、激闘の末に勝利を得て、追撃をかけて、決戦、大会戦は終わったわ。アイオン様は、何とか、退却することに成功、無事、辺境領に戻ることができたわ。そのことを後で聞いて、ホッとしたのが、本当にサムロには悪いと思うけど、しかたがないのよ。許してよね。
アイオンとともに、その正妻も、アイオン様に連れられて無事退却できたわ、ということを後できくことになったわ。
でも、その時、ゼハンプリュの姿は辺境領になかったわ。前線の砦の一つに置いて行かれたらしい。そして、彼女に恩があるサムロの部下達によって、無事救われて、私達のもとにたどり着けたのよね。彼らは、彼女に認められ、サムロに彼女が推薦する形で、サムロの家臣、コリアンダー公爵家に就職できて、皆が活躍できているのである。彼らの今日があるのは、正に彼女の おかげなのだから、彼らにすれば、彼女への恩義は、天よりも高く、海よりも深いのである。
軍律厳しいなかなれど、これが、見棄てておかりょうか…と彼女を探しながら戦い続けていたのよぬ。サムロは、それを察して、彼女を見つけたら、丁重に保護するようにと、彼らに命じていたのだけれど。
アイオン様・・・ひどすぎるわ、彼女をポイッ捨てるように・・・私でも同様だったのですか…?
私の場合は…多分ピール公爵家軍、私が陣頭指揮して戦っているのに、まだ戦っているのに…私達は絶対、私達だけは負けていないはず…、そんな私と私の軍を見棄てるようにして、全軍を撤退させるんでしょうね?
それより、一村ごと工作員と入れ替えて、
「おい、ここにいたら危ないぞ。」
と農地でのんびり畑仕事をしている農民に注意したわが軍の先遣隊の一兵士に、
「大公陛下と国王様が喧嘩でもしているのかえ?」
と返す農民。呆れる兵士の後ろから、
「大公陛下?・・・おい、そんな言い方は北方領でしか言わないぞ。それに、お前ここの者でないアクセントがあるようだが・・・。」
と気が付いた兵士の声。慌てて、捕らえようとする兵士達と周囲にいつの間にか集まっていた農民達が、仲間を助けに武器を持って現れ、さらに仲間を助けに入った先遣隊の他の将兵と戦闘になるという場面が、いたるところで展開させることになったことのほうが多少戦果があったというところだろう。
入れ替えられた農民はというと、遺体が後から発見されたわ。それも半ばは、事前に周辺の農民から情報が入っていて、農民の義勇兵とともに、先遣隊が強襲して壊滅させてしまっていたけど。全く軍書を読破しただけで、名将になったつもりの愚かしさね。しかも、大公さまの徳に感化された農民達が…、と何故か夢想しているのよね、馬鹿じゃらないの?
でも、何とか装備、陣形を整え、最後まで整然と戦わせ、何とか総崩れになることまでいかずに退却させた手腕や戦術、指揮はたいしたものといえたわ、軍師さんは。変なパフォーマンスに走らなければ、合格点だったのにね。まあ、大勢は変わらなかったでしょうけどね。最強の騎兵隊等が壊滅された、あの攻防戦で既に敗北は決定的だったの、アイオン様もあんたでも、どうしようもなかった?、いうところね?
兵力、火力、練度、指揮、全てに勝る我が軍が、激闘の末に勝利を得て、追撃をかけて、決戦、大会戦は終わったわ。アイオン様は、何とか、退却することに成功、無事、辺境領に戻ることができたわ。そのことを後で聞いて、ホッとしたのが、本当にサムロには悪いと思うけど、しかたがないのよ。許してよね。
アイオンとともに、その正妻も、アイオン様に連れられて無事退却できたわ、ということを後できくことになったわ。
でも、その時、ゼハンプリュの姿は辺境領になかったわ。前線の砦の一つに置いて行かれたらしい。そして、彼女に恩があるサムロの部下達によって、無事救われて、私達のもとにたどり着けたのよね。彼らは、彼女に認められ、サムロに彼女が推薦する形で、サムロの家臣、コリアンダー公爵家に就職できて、皆が活躍できているのである。彼らの今日があるのは、正に彼女の おかげなのだから、彼らにすれば、彼女への恩義は、天よりも高く、海よりも深いのである。
軍律厳しいなかなれど、これが、見棄てておかりょうか…と彼女を探しながら戦い続けていたのよぬ。サムロは、それを察して、彼女を見つけたら、丁重に保護するようにと、彼らに命じていたのだけれど。
アイオン様・・・ひどすぎるわ、彼女をポイッ捨てるように・・・私でも同様だったのですか…?
私の場合は…多分ピール公爵家軍、私が陣頭指揮して戦っているのに、まだ戦っているのに…私達は絶対、私達だけは負けていないはず…、そんな私と私の軍を見棄てるようにして、全軍を撤退させるんでしょうね?
10
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。
音爽(ネソウ)
ファンタジー
見た目だけはユルフワ女子のハウラナ・ゼベール王女。
その容姿のせいで誤解され、男達には尻軽の都合の良い女と見られ、婦女子たちに嫌われていた。
16歳になったハウラナは大帝国ダネスゲート皇帝の末席側室として娶られた、体の良い人質だった。
後宮内で弱小国の王女は冷遇を受けるが……。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる