婚約破棄された悪役令嬢に辺境大公(私の婚約者)を寝取られました

転定妙用

文字の大きさ
上 下
72 / 89

何と脆いぞ、敵の陣・・・だといいんだけれど

しおりを挟む
「いや、流石にピール公爵家の軍ですな。精鋭ぞろい・・・・こうしてご一緒に行動すると実感しますな。この状態でも、全く動じない。」
 私から言えば、この状態で余裕で笑っているあなたを褒めてあげたいんですけど、リモン将軍。ウーコ共和国軍とシソ公国軍が合流して侵攻してきたのだ。初戦で我が国軍が敗北、勢いがついて、我が国内部に侵攻。ピール公爵家領近くに侵攻してきて、このままでは我がピール公爵家領の後方が途絶されかねないことから、南方戦線防衛に必要な兵力を残し、集められるだけの兵力で、国軍と合流して迎え撃つこととなったのであるわけ。それで、合流する国軍部隊は、当然我が領近くに駐屯していたリモン将軍率いる師団というわけ。それに、敗走してきた国軍部隊も加えているわ。その装備は、わがピール公爵家から提供したもの。ということもあって、まあ、身分的なこともあって、私がこの軍の総司令官となっているわ。もちろん名目的。実際の指揮官は、リモン将軍、サムロの上司、平民からのたたき上げ。いかにも歴戦の勇といった髭面のたくましい、そしてオーラが出っぱなしの男。妥当なことであり、私も異論はなかったわ。ただし、単なるお飾りはいや、ピール公爵、ピール公爵家軍、ここにありとしなければならない、そうするのが私の役割、義務なのよ。でも、下手に焦って、経験の浅さからくる空回りをしていては元も子もないわけだし、そんなことになったらピール公爵家末代までの恥になってしまうわ。変な口出しはしない、でもしないといけない。どうしたものか、むずかしいところ。

 とにかく今は、震えず、ちびっても、
「そんなことは知りません。」
と知らんぷりして、堂々と銃砲の炸裂音を聞いても、平然を装うことしかないわけ。

 なにせ、相手側の方が兵力がかなり多い。先に進出して、野戦陣地を構築、私が陣頭指揮したけど、して迎え撃てたことは不幸中の幸いだったわ。
 大体、焦ってそのまま野戦に突入、無謀に突撃して大敗するというのは、どういう指揮官だったのかしら?国境線の部隊はどうなっているのかしら。ガマリア、ガマリア王妃の人選ミス・・・彼女が人選したわけではないか、彼女は口出ししないし、お気に入りを、親族を、おねだりしないしね・・・ということは国王陛下よ、しっかりしてよ・・・身分優先・・・士官学校も・・・サムロだって何のかんの言いながら・・・。でも、リモンは
「コリアンダー公爵ですか?例外ですよ。身分のせいであの方が部下になってくれたわけですから、その意味では身分制に大感謝ですよ。」
とか言っているけど、本当かしら?当のサムロは、
「ひどいリップサービスだ。」
と苦り切っているけど。
 でも、ミカエル国王陛下は、微温的だけど、それを改める方向に努力しているわけだから、責められないか?
 こうなると、イチジーク会長、いいえ、もとい、イチジーク元書記官の主張、理想を認めざるを得なくなってくるのよね。ピール公爵家の私としては・・・・う~ん・・・。

 一気に攻めたてたい、陣頭指揮で、先頭になって突進して、とか思っちゃうけど、そんな馬鹿なことはできない。陣地戦で、相手を粘り強く阻止しなければならないのよね。ああ、いつから体をあらっていないのかしら?お湯で侍女にふかしている・・・それも絶えている・・・あいつと合流したら・・・いえ、この方が味がついていていい、なんて言ってくれるわよね・・・そんなこと考えている時ではないわ。陣地の奪い合いを、時には陣頭指揮しながら続けているうちに、相手が撤退を開始したわ、突然。
 確かに、数は少ないけど、ピール公爵家の騎兵隊、銃砲を常識的とは比べようもないほど充実させて、歩兵や工兵もつけた、を後方、補給路寸断のために送ったし、それを率いるコシオは、敵に無敵と称する、変幻自在の騎兵隊を翻弄、彼女の騎兵隊の銃砲の一斉射撃、彼らにしてはいつの間にか出現した野戦陣地からの一斉射撃で壊滅を繰り返すは、補給物資は灰塵と化すわはあったけど、まだまだやれたはず。結局は、あまりメリットがないと判断した結果でしょうね。傭兵が大半を占めていたから、略奪ができない(戦況不利で)、給料が滞っているで戦意が急速に低下するのはあまりに当然のことだったろう。

 どういうわけか、私が大剣を振り回して、敵陣に突入して敵陣を崩しまくり、勝利を得たとかいう話がひろまっちゃったわ。まるで私が怪力女みたいじゃないの?失礼しちゃうわ。確かに、陣地戦の最中に陣頭指揮している内に、遭遇戦的になって、敵味方入り混じる、きわめて限定的な場所で大剣を振るって大活劇を演じてしまった時があった、でも、敵国側が求めたことではなかった?

 そんなところで、結局は大勝利となって、幕を下ろしたわけである。
 海軍からも動員されて、別働艦隊のフリーゲート艦隊を率いることになり、艦隊司令官として、敵艦隊の後方かく乱に活躍し、艦隊決戦でも協力してあげた。でも何故?私が大剣を投げて、敵の総司令官を殺してしまったというのは、どうしたら、そんな話になるわけよ?その他には、大砲を抱えて砲弾を飛ばして、敵の軍艦一隻撃沈してしまったという話もあるけど、誰がそんな話をことを言いだしたのよ。。

 数か月後、サムロの軍と合流できた時、お互いに臭いを気にしあってしまった。
「食欲をそそるよ。」
とかいう変態じみたサムロの言葉でウヤムヤになったけど。其のうえ、
「両閣下の秘蔵の超重砲の威力で敵軍が後退しましたよ。しかも、もうここに来る気力はないようですよ。」
 リモン侯爵は笑って言うのには、閉口させられたわ。

 そして、私達は王都救援に迎え入れることになったわけ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜

川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。 前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。 恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。 だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。 そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。 「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」 レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。 実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。 女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。 過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。 二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

処理中です...