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戦況の続きだ(サムロは続ける)

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 ポーンカ王国、ウーコ共和国、カーン帝国の兵は、長年の戦争て疲れていたし、我が国同様に、戦争目的もいまいちであることから士気が高くなかった。だから、何とか優勢で推移できたからである。こちら側の俺やデュナの工作にもよるが、戦争反対派も結構生まれてことも背景にある。しかも、ポーンカ王国はオレン共和国からの財政援助と依頼での参戦であり、カーン帝国の方は帝国は表にでず、独立性の高い領邦の一つが勝手に、独自で行ったことにしていたのだから、なおさらだった。オレン共和国の策動は、元々は我が国との和平条約に不満を持つ勢力が台頭した結果であるが、当然和平条約支持派もおり、その抵抗で中途半端なところになった。海軍の派遣、活動も質量、作戦ともに不十分であり、コリアンダー公爵領、ピール公爵領にある港湾の攻略には失敗、沿岸砲台との砲撃戦で損害が出た艦隊が、少数、小型、コルベット艦程度の両公爵海軍部隊に予想外の損害を受け、主力艦隊もイーヨカン王国海軍に勝利をつかむことができず、船の捕獲、もちろん商船の、に走ることが多くなり、海戦を避けるようになっていった。ナーツ共和国にいたっては、海軍の提供を拒否というか、のたりくらりと言い訳して、結局動かさなかった。そもそも、コリアンダー公爵家とピール公爵家は、ナーツ共和国の得意先の一つでもあるからである。しかも、ブルべリエ男爵の商売取引の相手も多く、情報も流れて来る。情報は戦力なのだ。

 とはいえ楽な戦いを演じることができたわけではない。
 俺は、強固な野戦陣地を陣頭指揮して構築して、要塞を迂回して侵攻してきたホーカン王国軍を迎えうっていた。何とか優勢に戦いを進めていた、その時、後方にグレブイ王国軍が出現した。わが国の北方に隣接する国、性格に言うとパパイ大公領に隣接する国である。パパイ大公とは、同盟を結び、パパイ大公軍とともに侵攻してきたのだ。自然の情報収集で予想はして、対処法は考え、用意はしていたが、自信があるものではなかった。持ちこたえて、何とか両軍が撤退するまでがんばるか、防御に徹して。あるいは、何とか一方を撃破、退却に追い込み、返す刀で他方を破るかしかなかった。両面での戦闘に、我が軍はよく頑張ってくれた。それでも、もうだめかと思った時、両軍がきせずして退却していったのである。後からの噂だったが、野戦重砲から放たれた砲弾がたまたま両軍の指揮官の近くで炸裂、両軍指揮官が負傷してしまった混乱が原因だったという。もちろん、追い打ちをかけてかなりの損害を与えたと思われるが、完全に全滅させることができたわけではない。それに、もし、利用軍が、特にグレブイ王国軍の兵力がもう少し多かったら、野戦重砲の砲弾の炸裂以前にこちらが退却、というより包囲突破のために後ろへの突撃という退却方法をとらなければならなかったろう。

 また、何故か海軍の主力艦隊の総司令官に抜擢され、艦船勤務体験は皆無ではないものの、人材欠乏で、身分の関係からの任命である。オレン共和国主力艦隊との艦隊決戦となった。風は我が方に終始吹き続けけた。そのため、我が国艦艇は終始受け身、防戦一方だった。それでも退かずになんとか持ちこたえていたところに、援軍の艦隊がやってきた。デュナが総司令官になっていた奴だ。それに力を得て押し返し、優勢になり、反撃を開始したところで、急に風向きが撤退するオレン艦隊に有利なものに変わり、追撃はある程度できたものの、何故か局所的に追う我が艦隊には不利な風向きになってしまい、オレン艦隊を取り逃がしてしまった。

 この時、オレン共和国艦隊総司令官は、銃弾を受けて戦死している。
「わが死を隠せ。」
と言った盾でその遺体を隠させて、戦闘を続けさせ、大勝利を得たという話が出来上がった。あちらが退却したので勝利したとは言えないはずだし、その死わ隠しても関係ないはずではないかと思う。その死の銃弾は、俺の狙撃という話も流れたが、確かに俺は手持無沙汰で、転がってきた小銃を拾って、弾入れも転がってきたので、拾って、周辺艦への狙撃はしたが、あちらの旗艦は後方に終始位置していたから、狙うことすらしていない。デュナが、という話も生まれたが、彼女の場合き大剣を投げて、それが突き刺さったとかいうのすらあったが、もっと遠いからありえない。
 さらにひどいのは、彼、リーンとかいう名だったかな、はその日は死なず、翌日夜襲斬り込み隊わ編成して乗り込もうとしたが、海に面した俺の邸宅の沖近くまで来た時、我が方の超超巨大重砲の砲撃の振動で船が転覆、無念の死を遂げたという・・・、大勝利して小舟で夜襲わかける必要があるのかという突っ込みもあるが・・・その夜は彼女と合流していないし、ベッドをともにしたのはその翌日、しかも二人とも流石に疲れて眠ってしまい、くんずほぐれつを始めたのは朝になってからだったのだから。
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