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あなたの正体はわかっているのよ。

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「・・・ということなのよ。」
 私は、元学友達であり、今も親しくしている女性達を私の邸宅に、招くことができるだけ呼び集めた、八名だけど。彼女らは、侯爵家だったり、新興裕福な市民の出身だったりまちまちだったけどで~皆有力な家の出であるし、その大半は結婚しているが、嫁入り先も有力者だから、彼女らの影響力は侮れない。そして、彼女達は今日の私達とパパイ大公様とのトラブルは耳にしていて、好奇心を抑えられない、居ても立っても居られない状態、彼女達の性格は、私はよ~くしっているのよね。それに、彼女達は私達夫婦が置かれている状態をよく知っていて、心配してくれていたわ。
 だから、彼女らに真実を伝えて分かってもらいたい・・・そして、真実を世間に広めてもらうことも期待したわ、彼女達のおしゃべり好きは、よ~く知っているのよね。

「それで、アルバ。あなたは、今日のことを話してまわるつもりかしら?」
 私は、少しくすんだ金髪をふわりとまとめた、明るいドレスを着た、少し小柄で、童顔の、それなのに私よりかなり胸が大きい、大きすぎてグロテスクよね、少し妬ましい・・・そんなことないわよ、女に視線を向けたわ。騒がしく、ああでもない、こうでもないと姦しく言いあっていた他の女達の口がとまり、一斉に彼女を見た。
「?」
 ぼか~んとしていた。"演技かしら?"彼女はドリ子爵家の二女で、学園入学時からのずっと取り巻き的存在だったわ。そして、唯一未婚である。

「この人ね、ドリ子爵家の養女なのよ、知っていた?」
 私は、そう言って、私の言葉の効果を確かめるように、見渡した。皆驚いている表情だった。養子・養女であるということは、結構早く伝わるものなのよね。まあ、あまり感心しないけど、社会的には重要な情報だから、鵜の目鷹の目で見ているし、調べるのよね。
「あなたは北方の出身、というよりパパイ大公様の領地の出身でしょう?パパイ大公様が私のことを心配して、あなたを、関係の深いドリ子爵家に働きかけて養女にさせて、私の側にいて、私を見守るように命じられていたのでしょう?私が知らなかったと思っていた?どういたしまして、最初から知っていたのよねえ。」
 ごめんにさい、嘘ですよ、知りませんでした。私達の王都での結婚式の翌日、みんなが来てくれた時、あなたのセリフ、
「大公殿下は、決してデュナ様を捨てたわけではないと思いますよ。」
「デュナ様と結婚できたと思っているのですか?」
で、大公様を擁護するような内容、「大公殿下」という言葉、そして、微かにでている北方、パパイ大公領の訛りから、サムロが
「一人、変なのがいる。」
と言って、あなたのことを密かに調べ始めたのよ。それにわかったのよね。
 それから、私が大公夫人だった時に、大公様の側で見たもの。
「あなた。もう、大公様の愛人でしょう?胸がさらに大きくなったものね?」
 私は悪人顔で微笑んで、多分そうだったと思うわ、彼女は身をこわばらせて、顔面は蒼白になっていたわ。愉快、愉快と思っちゃった。これは、嫉妬からかしら?みんなひそひそ話になっていたわ。

「私の話を直接聞いた女性の話ということで、大公様がコリアンダー公爵にとらわれ、助けを求める、哀れなピール女公爵デュナを助けようとしている、デュナは大公様の妻で、コリアンダー公爵の謀反の証拠をつかむため、近づいていたとか、涙、涙で語ったと証言したという話が出るのでしょうね。その証言者はあなたでしょう?」
 がたっ、と音をたてて彼女は立ち上がった。
「デュナ様。大公殿下を愛してはいないのですか?目を覚ましてください。」
と叫んだわ、涙を流して。

 でも、私は無視したわ。
「ドリ子爵家には、あなたが今晩ここに泊まるということで了解を得ているわ。ドリ公爵家はね、大公様は決別することを私達に約束したわ。あなたを、待っている大公様達は、私達が伝える真実が一足先に王都中に広がるのを耳にして、怒り心頭、そして、あなたに失望するでしょうね。」
 彼女はわなわなと震えて、その場に座り込んじゃった。彼女の従者が飛び込んできて、彼女を助け出そうとしたけど、私が、私の家臣達が出てくる前に、押さえつけてやったわ。
「大公殿下を裏切った尻軽、淫乱女、売女め!」
と叫ぶ男。パパイ大公家の軍人ね。全く、この程度の実力なんて、悲しくて腹立たしくなってきちゃうわ。なぜか、ちょっとイケメンだけどね。
「こ、この恩知らず女。」
 しばらくして、我に返った彼女は、罵ったわ、微かな声だったけど。
「明日には、無事に帰れるから、安心して寝てなさい。きれいなベッドを用意してあげているから。」
 ピール家の兵士に連れていかれる二人の背に私は声うをかけてやったわ。 
 
 ちなみに、ちゃんとお茶もお酒も、お菓子もピール家自慢の物を用意してあげたし、新進気鋭の作曲家、演奏家、詩人、演劇家はもちろん、哲学者や科学者達もいる中でのことなのよね。秘密会合に呼んだのではなくて、あくまでも私の主催するサロンに呼んだのよね。
 ちょっとしらけてしまったけど、それは肝の据わった連中が大半だから、演奏も再開されて、無私の学友たち士は、私の女友達のことはあるのよね、何もなかったかのようにサロンを楽しんだわ。これで、真実が自然に広がってくれる。
 別の手法でも、もう既にサムロが流しているはず。

 まず第一段階は、作戦成功、大勝利。でも、私は心が重かったわ、かなり・・・。
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