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やっぱり今は一度目なの・・・ね?
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「お、奥様。だ、大丈夫ですか?だ、旦那様も。」
侍女達が、突然、私達が顔を蒼白にして、目が虚ろになって、呼吸が乱れているのを見て狼狽えて、そして、私達のことを心配してくれた。背中でもさすろうか、水、お茶、あるいは気付け薬でもと、いう目をしているのがわかったわ。
「私は大丈夫だ。デュナ、大丈夫かい?執務の疲れが出たのかも。」
一歩先に我にかえったサムロが、心配する侍女や執事達を制して言った。
「だ、大丈夫に決まっているわ。私に会いたくて強行軍でやってきて、その疲れがでた旦那様のために、貴腐ワインを持ってきて。ついでにね、私の分もね。」
と言いつけた。
侍女達は、とにかく大丈夫そうなのにホットして、動き出した。
「風呂の準備をしておいてくれ。旅の汚れも取りたいからね。」
甘~いワインをちびりちびりと飲みながら、サムロが言った時には、私達の息の乱れも整っていたわ。私も、我が家のというか、我が領地の自慢の極甘ワインを飲み、柿のシロップ漬のデザートを平らげることができた。そして、侍女達が食器を片付けるのを待って、
「旦那様と私は、少し話したいことがあるから、2人っきりにしてちょうだい。あ、風呂が湧いたら、伝えてね。」
と言って、皆を下がらせたわ。
大丈夫ですか、という心配そうな目と表情をしていたけど、皆黙って従ってくれたわ。
「一度目だと思うよ。」
サムロが私の心を読むように、先手を打ってきたわ。
「?」
理由を目で問うと、
「俺も、さっきは2度目かとまず思って、しばらくして3度目かと思ったけど、しばらくしたら、初めははっきりしていた、鮮明だった3度目の記憶が、なんか遠いことのように思えてきて、俺達が、ここにいる俺達がしてきたことは1度目のことだという記憶がどんどん鮮明になってきたんだよ。君はどうだい?」
「ええ、私も同様よ。」
初め、記憶が流れ込んできた時、私は、あの時、あの東屋で、サムロに後ろから、乳房を鷲掴みされて抱かれている時、喘ぎながらゼハンプリュ、ガマリア、アルミサエルを抱いて、喜んでいたサムロを罵っていたことが鮮明な記憶として頭の中にあったわ。でも、直ぐに、遠い記憶のように思えてきて、今は一度目にやったことがらが記憶としてあって、前回の知識で回避しようとやったことが、そういうことを夢の中でやったな、程度のものになってきている。
「それでどうするの?このまま考えることを停止して、成り行きに、大勢に従う?それとも、もう一度やるだけやってみる?」
私の問いにサムロはしばらく黙った。沈黙した。私は待った。彼は、しばらくして口を開いた。
「パパイ大公は、反乱を起こすと思うか?」
今度は、私が言葉が出なくなったわ。その言葉は、ずっと、どの場合でも口にはださなかったわ。でも、私は見て、聞いていた、本当は。私は小さな声で言うしかなかった。
「起こすと思うわ。もう準備していると思うわ。その場面を見たわ。」
私は押し出すように言ったわ。そして、死ぬ間際のような声で、
「どうしてこうなったのかしら?」
振返してやったわ。さあ、どう出る?
彼もまた沈黙。そして、
「起こすと思う。あの時、ミカエル様がゼハンプリュとの婚約破棄をしたことを見た時、あるいは婚約破棄をしようとしているのを見た時、彼は賽を投げたんだ、千載一遇の、2度とないチャンスだと思い、逃すまいと決断した、心が動いてしまった。そして、運命の舵を切ったんだと思う。」
「そうね。」
私は同意せざるを得なかったわ。私がしっかりとパパイ大公様を捕まえていて、ゼハンプリュがサムロの妻になっていても、あの方は執拗にゼハンプリュを得ようとしたわ。その目的が、王家に取って代わることだということを、私は知っているわ。それが、良き国を、国民がより幸せになる国をご自分が作るのだという意志からであったとしても。そう、純粋な思いからだわ。そして同時に、それ故に、二重三重に大公様はサムロを憎んでいる。絶対に殺すしか選択肢をなくしてしまっているわ、自ら。私を、ゼハンプリュを汚したことを憎んでいるということかしら・・・それほど私を・・・ゼハンプリュに対しても同様だけど・・・と思ってもしまう。
そこまで考えた時、私達の耳に、
「奥様。旦那様。お風呂の準備が整いました。」
との侍女の声が聞こえてきたわ。
「奥様。ご気分がすぐれない時に、お風呂に入ってよろしいのですか?」
浴室に向かう私達に心配そうに尋ねる侍女に、
「だからこそ、湯に浸かってすっきりしたいのよ。」
と私は答えたわ。侍女は納得はしなかったけど、反論はしなかった。ただ、
「長湯しすぎませんように・・・ほどほどに。」
と言ったわ。分かっているわよ、でも気遣ってくれてうれしいわ。
「本当に、いつまでも、いやらしい手つきで私の服を脱がせるわね、あなたは。ゼハンプリュの時も、ガマリアの時も、アナミサエルの時も同じだったのかしら?」
私は、本当にいやらしい手つきで私を裸にしていきながら、嘗めまわすように、私の裸体をじっくり観察、鑑賞する彼に、また、嫉妬からの嫌みを言ってしまったわ。
「君には、いや君にだけは、言われたくないね。」
なによ、私があなたの服をいやらしい手つきで脱がせているように聞こえるじゃないの?そんなことない・・・ないわよね。全裸になると、私達は浴室に入った。そして、彼はまた、実にいやらしい手つきで私の体を洗うのよね。そうこうしてから、私達は湯にはいった。
そして、向かい合って、自分の方から言い出すべきか、躊躇しまくっていた。そして、サムロがまず口を開いた。
侍女達が、突然、私達が顔を蒼白にして、目が虚ろになって、呼吸が乱れているのを見て狼狽えて、そして、私達のことを心配してくれた。背中でもさすろうか、水、お茶、あるいは気付け薬でもと、いう目をしているのがわかったわ。
「私は大丈夫だ。デュナ、大丈夫かい?執務の疲れが出たのかも。」
一歩先に我にかえったサムロが、心配する侍女や執事達を制して言った。
「だ、大丈夫に決まっているわ。私に会いたくて強行軍でやってきて、その疲れがでた旦那様のために、貴腐ワインを持ってきて。ついでにね、私の分もね。」
と言いつけた。
侍女達は、とにかく大丈夫そうなのにホットして、動き出した。
「風呂の準備をしておいてくれ。旅の汚れも取りたいからね。」
甘~いワインをちびりちびりと飲みながら、サムロが言った時には、私達の息の乱れも整っていたわ。私も、我が家のというか、我が領地の自慢の極甘ワインを飲み、柿のシロップ漬のデザートを平らげることができた。そして、侍女達が食器を片付けるのを待って、
「旦那様と私は、少し話したいことがあるから、2人っきりにしてちょうだい。あ、風呂が湧いたら、伝えてね。」
と言って、皆を下がらせたわ。
大丈夫ですか、という心配そうな目と表情をしていたけど、皆黙って従ってくれたわ。
「一度目だと思うよ。」
サムロが私の心を読むように、先手を打ってきたわ。
「?」
理由を目で問うと、
「俺も、さっきは2度目かとまず思って、しばらくして3度目かと思ったけど、しばらくしたら、初めははっきりしていた、鮮明だった3度目の記憶が、なんか遠いことのように思えてきて、俺達が、ここにいる俺達がしてきたことは1度目のことだという記憶がどんどん鮮明になってきたんだよ。君はどうだい?」
「ええ、私も同様よ。」
初め、記憶が流れ込んできた時、私は、あの時、あの東屋で、サムロに後ろから、乳房を鷲掴みされて抱かれている時、喘ぎながらゼハンプリュ、ガマリア、アルミサエルを抱いて、喜んでいたサムロを罵っていたことが鮮明な記憶として頭の中にあったわ。でも、直ぐに、遠い記憶のように思えてきて、今は一度目にやったことがらが記憶としてあって、前回の知識で回避しようとやったことが、そういうことを夢の中でやったな、程度のものになってきている。
「それでどうするの?このまま考えることを停止して、成り行きに、大勢に従う?それとも、もう一度やるだけやってみる?」
私の問いにサムロはしばらく黙った。沈黙した。私は待った。彼は、しばらくして口を開いた。
「パパイ大公は、反乱を起こすと思うか?」
今度は、私が言葉が出なくなったわ。その言葉は、ずっと、どの場合でも口にはださなかったわ。でも、私は見て、聞いていた、本当は。私は小さな声で言うしかなかった。
「起こすと思うわ。もう準備していると思うわ。その場面を見たわ。」
私は押し出すように言ったわ。そして、死ぬ間際のような声で、
「どうしてこうなったのかしら?」
振返してやったわ。さあ、どう出る?
彼もまた沈黙。そして、
「起こすと思う。あの時、ミカエル様がゼハンプリュとの婚約破棄をしたことを見た時、あるいは婚約破棄をしようとしているのを見た時、彼は賽を投げたんだ、千載一遇の、2度とないチャンスだと思い、逃すまいと決断した、心が動いてしまった。そして、運命の舵を切ったんだと思う。」
「そうね。」
私は同意せざるを得なかったわ。私がしっかりとパパイ大公様を捕まえていて、ゼハンプリュがサムロの妻になっていても、あの方は執拗にゼハンプリュを得ようとしたわ。その目的が、王家に取って代わることだということを、私は知っているわ。それが、良き国を、国民がより幸せになる国をご自分が作るのだという意志からであったとしても。そう、純粋な思いからだわ。そして同時に、それ故に、二重三重に大公様はサムロを憎んでいる。絶対に殺すしか選択肢をなくしてしまっているわ、自ら。私を、ゼハンプリュを汚したことを憎んでいるということかしら・・・それほど私を・・・ゼハンプリュに対しても同様だけど・・・と思ってもしまう。
そこまで考えた時、私達の耳に、
「奥様。旦那様。お風呂の準備が整いました。」
との侍女の声が聞こえてきたわ。
「奥様。ご気分がすぐれない時に、お風呂に入ってよろしいのですか?」
浴室に向かう私達に心配そうに尋ねる侍女に、
「だからこそ、湯に浸かってすっきりしたいのよ。」
と私は答えたわ。侍女は納得はしなかったけど、反論はしなかった。ただ、
「長湯しすぎませんように・・・ほどほどに。」
と言ったわ。分かっているわよ、でも気遣ってくれてうれしいわ。
「本当に、いつまでも、いやらしい手つきで私の服を脱がせるわね、あなたは。ゼハンプリュの時も、ガマリアの時も、アナミサエルの時も同じだったのかしら?」
私は、本当にいやらしい手つきで私を裸にしていきながら、嘗めまわすように、私の裸体をじっくり観察、鑑賞する彼に、また、嫉妬からの嫌みを言ってしまったわ。
「君には、いや君にだけは、言われたくないね。」
なによ、私があなたの服をいやらしい手つきで脱がせているように聞こえるじゃないの?そんなことない・・・ないわよね。全裸になると、私達は浴室に入った。そして、彼はまた、実にいやらしい手つきで私の体を洗うのよね。そうこうしてから、私達は湯にはいった。
そして、向かい合って、自分の方から言い出すべきか、躊躇しまくっていた。そして、サムロがまず口を開いた。
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