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どうせこうなるなら、きれいなままで結婚したかった。③
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「いやあ、君の指揮ぶりも君の部隊も素晴らしいものだつたよ。君がわが妻であることが、誇らしいよ。」
と拍手せんばかりに言うのは、パパイ大公様、そして、ここは王都に近い国軍の演習場で、その中でピール家とコリアンダー家の合同軍が夜営していて、パパイ大公様がいるのは私達、私とサムロの天幕の中で、今日は国軍の大演習があり、私とサムロは両家の合同軍を率いて参加したのだ。大公様は、サムロのいない天幕に、堂々と自分の家に入ってきているかのように、座り込んでいるわけ。この方には、こうした行為が、少しも図々しくは見えないのよね、本当に自然体のように見えちゃうわ。
「私は、離婚して、コリアンダー公爵夫人ですのよ、パパイ大公殿下。」
この方の顔を見ていると、心が揺れちゃうのよね、どうしても。
「君はコリアンダー公爵と離婚する必要はないのだよ、だって結婚はしていないのだから。彼は、君と僕が離婚して、君を離婚している、自分が夫だと錯覚しているようだけどね。彼には、そういう幼児的な思い込みがあるんだよ。脳の欠陥だから、彼にはどうしようもないことだから同情するが・・・。」
私とは、多分わざとだけど、話しがすれ違ってしまっているのよね。
「パパイ大公閣下。一度お会いしたいと思っておりました。私や兄やお義姉様の雄姿みていただけましたか?」
「これは大公閣下。お会いできて光栄です。嫁ぎ先から、演習に参加して本当に良かったと思っていますわ。」
義妹と義叔母である。私の侍女達から事の次第を聞いて駆けつけてくれたのね、グッジョブですわ、助かったわ。私の侍女達もよくやったわ。二人に、さらに続く女性将校達、まるで大公様のファンのようにまとわりついて、話しを聞こうとした。それには、初めこそ和やかに私と二人っきりで話したいことがあるとやんわりと言おうとしたけれど、流石に圧倒されちゃって、ゼハンプリュ大公夫人に巧みに、彼女に恩のあるコリアンダー家家臣を使った、呼び出されたサムロが戻ってくるまで身動きが取れなくなっていた。
戻ってきたサムロが、不在を謝罪したけど、大公様は何とか作り笑いを浮かべながら去っていったわ。その際に、
「デュナは、私のところに戻るからね。勘違いして、押さえないでくれたまえよ。」
と言われたそうだ。
以前からだったけど、大公様の私を連れ戻そう、そのための、そのためだけではないと思うけど、圧力は一層強まってきているわ。
その夜は、天幕の中で
「ゼハンプリュ様と何を話したの?」
「君も話してくれれば、包み隠すことなく全て話すよ。」
と応酬して、全裸でくんずほぐれつして、いつも以上に声をだしちゃって、
「あのくらいの重砲がほしいな?」
「いや、あの半分ほどでもいいよ。」
などと両家の将兵に酒の肴にされちゃったけど。
「私がミカエル様を愛してしまったばかりに、このような目にデュナやサムロ様をあわせてしまい申し訳なく思っておりますわ。でも、私は、ミカエル陛下も、お二人の味方ですわ、ずっと。」
と小悪魔なガマリア王妃に、彼女のサロンで言われてしまったわ。二人は手を握り合って、見つめ合って。私達は、この夫婦としっかり提携しないと、助けてもらわないと危ない状況になっていたのよね。それと、イチジーク書記官ともしっかり提携していたわ。
パパイ大公様には、少し後ろめたかったけど、コリアンター公爵家の謀反の訴え、私の離婚がなかったかのような工作、私の名義での高等法院への彼の私への虐待の訴え、コリアンダー公爵家にピール公爵家が乗っ取られるから、パパイ大公様に我が領地の統治をゆだねるとか、一時的に私とサムロが離婚して、私がパパイ大公様のもとに行くという和解案が得意げに提示されてきたりというふうに。それを、直接サムロに提案しにいった奴まであらわれたのには驚いたわ。
「ほう、それで私の愛しいデュナは、何時私のところに戻ってくるのかね?」
流石にサムロも怒り心頭、はっきりそれがわかるんだけど、何とか抑えて質問したわ。そしたら、なんと、
「それはパパイ大公閣下と大公夫人であるデュナ様がお決めになることではありませんか?」
そんなこともわかりませんか、なんて顔をしていいぬけたのよ、そいつったら。
「言っておく。彼女は私の妻だし、私達二人のことは私達二人が決める、パパイ大公閣下には、口を挟む権利はない。」
もう完全に爆発寸前、どす黒いオーラが立ち昇っていたわ。それでも、いえ、さらに火に油を注いできたのよね。
「それが誤解だと言うのですよ。いったん冷静になればお分りになりますよ。デュナ様もそうお思いでしょう?いったんデュナ様を、本来の夫であるパパイ大公閣下の元にお戻しになるのが筋、デュナ様と同じ女の身である私が、一番わかっておりますわ。」
なんて言って、私に振ってきやがったの、その女は、どこかの田舎の貧乏貴族の女が。
ちなみに、私はサムロのとなりに座って聞いていたのよね、ずっと。
「パパイ大公夫人はゼハンプリュ様。私はその座を彼女から奪うつもりも、争うつもりもありませんわ。私が、コリアンダー公爵夫人なんです。」
といってやったら、しつっこいのなんのって、
「女であり、親友である私に、正直に本心を語ってください。」
なんて。
「この馬鹿女を、丁重に引っ張り出して、屋敷の外に放り出せ。」
と怒鳴ったのは、勿論サムロ。
「あ、それから、もう二度と屋敷には入れないようにね。」
あ、これは私よ。泣きわめく、そして、私に助けを求める、その女を侍女達と兵士が引っ張っていってくれたわ。サムロは、その後しばらく、パパイ大公に怒りの言葉を叫んでいたわ。私は、それにはちょっと、私には複雑なのよね。いつもは、それを察して口に出さないんだけど、流石に切れたのよね。
と拍手せんばかりに言うのは、パパイ大公様、そして、ここは王都に近い国軍の演習場で、その中でピール家とコリアンダー家の合同軍が夜営していて、パパイ大公様がいるのは私達、私とサムロの天幕の中で、今日は国軍の大演習があり、私とサムロは両家の合同軍を率いて参加したのだ。大公様は、サムロのいない天幕に、堂々と自分の家に入ってきているかのように、座り込んでいるわけ。この方には、こうした行為が、少しも図々しくは見えないのよね、本当に自然体のように見えちゃうわ。
「私は、離婚して、コリアンダー公爵夫人ですのよ、パパイ大公殿下。」
この方の顔を見ていると、心が揺れちゃうのよね、どうしても。
「君はコリアンダー公爵と離婚する必要はないのだよ、だって結婚はしていないのだから。彼は、君と僕が離婚して、君を離婚している、自分が夫だと錯覚しているようだけどね。彼には、そういう幼児的な思い込みがあるんだよ。脳の欠陥だから、彼にはどうしようもないことだから同情するが・・・。」
私とは、多分わざとだけど、話しがすれ違ってしまっているのよね。
「パパイ大公閣下。一度お会いしたいと思っておりました。私や兄やお義姉様の雄姿みていただけましたか?」
「これは大公閣下。お会いできて光栄です。嫁ぎ先から、演習に参加して本当に良かったと思っていますわ。」
義妹と義叔母である。私の侍女達から事の次第を聞いて駆けつけてくれたのね、グッジョブですわ、助かったわ。私の侍女達もよくやったわ。二人に、さらに続く女性将校達、まるで大公様のファンのようにまとわりついて、話しを聞こうとした。それには、初めこそ和やかに私と二人っきりで話したいことがあるとやんわりと言おうとしたけれど、流石に圧倒されちゃって、ゼハンプリュ大公夫人に巧みに、彼女に恩のあるコリアンダー家家臣を使った、呼び出されたサムロが戻ってくるまで身動きが取れなくなっていた。
戻ってきたサムロが、不在を謝罪したけど、大公様は何とか作り笑いを浮かべながら去っていったわ。その際に、
「デュナは、私のところに戻るからね。勘違いして、押さえないでくれたまえよ。」
と言われたそうだ。
以前からだったけど、大公様の私を連れ戻そう、そのための、そのためだけではないと思うけど、圧力は一層強まってきているわ。
その夜は、天幕の中で
「ゼハンプリュ様と何を話したの?」
「君も話してくれれば、包み隠すことなく全て話すよ。」
と応酬して、全裸でくんずほぐれつして、いつも以上に声をだしちゃって、
「あのくらいの重砲がほしいな?」
「いや、あの半分ほどでもいいよ。」
などと両家の将兵に酒の肴にされちゃったけど。
「私がミカエル様を愛してしまったばかりに、このような目にデュナやサムロ様をあわせてしまい申し訳なく思っておりますわ。でも、私は、ミカエル陛下も、お二人の味方ですわ、ずっと。」
と小悪魔なガマリア王妃に、彼女のサロンで言われてしまったわ。二人は手を握り合って、見つめ合って。私達は、この夫婦としっかり提携しないと、助けてもらわないと危ない状況になっていたのよね。それと、イチジーク書記官ともしっかり提携していたわ。
パパイ大公様には、少し後ろめたかったけど、コリアンター公爵家の謀反の訴え、私の離婚がなかったかのような工作、私の名義での高等法院への彼の私への虐待の訴え、コリアンダー公爵家にピール公爵家が乗っ取られるから、パパイ大公様に我が領地の統治をゆだねるとか、一時的に私とサムロが離婚して、私がパパイ大公様のもとに行くという和解案が得意げに提示されてきたりというふうに。それを、直接サムロに提案しにいった奴まであらわれたのには驚いたわ。
「ほう、それで私の愛しいデュナは、何時私のところに戻ってくるのかね?」
流石にサムロも怒り心頭、はっきりそれがわかるんだけど、何とか抑えて質問したわ。そしたら、なんと、
「それはパパイ大公閣下と大公夫人であるデュナ様がお決めになることではありませんか?」
そんなこともわかりませんか、なんて顔をしていいぬけたのよ、そいつったら。
「言っておく。彼女は私の妻だし、私達二人のことは私達二人が決める、パパイ大公閣下には、口を挟む権利はない。」
もう完全に爆発寸前、どす黒いオーラが立ち昇っていたわ。それでも、いえ、さらに火に油を注いできたのよね。
「それが誤解だと言うのですよ。いったん冷静になればお分りになりますよ。デュナ様もそうお思いでしょう?いったんデュナ様を、本来の夫であるパパイ大公閣下の元にお戻しになるのが筋、デュナ様と同じ女の身である私が、一番わかっておりますわ。」
なんて言って、私に振ってきやがったの、その女は、どこかの田舎の貧乏貴族の女が。
ちなみに、私はサムロのとなりに座って聞いていたのよね、ずっと。
「パパイ大公夫人はゼハンプリュ様。私はその座を彼女から奪うつもりも、争うつもりもありませんわ。私が、コリアンダー公爵夫人なんです。」
といってやったら、しつっこいのなんのって、
「女であり、親友である私に、正直に本心を語ってください。」
なんて。
「この馬鹿女を、丁重に引っ張り出して、屋敷の外に放り出せ。」
と怒鳴ったのは、勿論サムロ。
「あ、それから、もう二度と屋敷には入れないようにね。」
あ、これは私よ。泣きわめく、そして、私に助けを求める、その女を侍女達と兵士が引っ張っていってくれたわ。サムロは、その後しばらく、パパイ大公に怒りの言葉を叫んでいたわ。私は、それにはちょっと、私には複雑なのよね。いつもは、それを察して口に出さないんだけど、流石に切れたのよね。
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