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お久しぶりね・・・
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「お久しぶりぶり―。会いたかったぞー!」
ドアを開けて、両腕を広げて入ってきたのは、我が夫、サムロである。嬉しそうな顔、そうであろう、そうであろう、そうであろうな、美しい、愛おしい妻の私に久しぶりに、とは言っても半月ほどだけど、であったのだから、仕方がないわよね。旅装束のまま、とにかく私の美しい顔を見たくて、私の、ナイスバディの体を抱きしめたくて仕方がなくて、そのまま私のいる執務室に飛び込んできたのだ。
そして、私は、
「あら、旦那様おかえりなさいませ。」
と余裕たっぷり、余裕しゃくしゃくと、色気たっぷり、妖艶に、言う・・・はず・・・言うはずだった・・・のよ、本当は。それが、どうして、
「私もー。会いたかったよ!」
と彼に飛びついたのよ、彼の首根っこにかじりついているのよ、私は。しかも、心から喜んで、嬉しそうにいー。まあ、嬉しいのは本当だし~。
「う~ん。」
すう~。な、なに臭いを嗅いでいるのよ、わたしー。変態じゃないわよー。
「他の女の臭いはしないわね。感心、感心。ご褒美に・・・ギューギューしちゃうぞー!」
私の理性は、苦痛の、断末魔の悲鳴を上げている、崩壊の音が、軋む音がしているよー!
ちょっと、私が体を密着しているのをいいことに、何、スーハ―しているのよ、この変態男・・・私もしていたけど。止めてよ、私の体のいい匂い、いい香りを嗅ぎたいのはわかるけど。
「君も他の男の臭いはしないね。」
な、なんだとー、私を疑っているの、少しでも?この貞節な妻の見本のような私にむかってー。
「その代わり、僕の臭いがうすくなつているな。君の臭いが、その分強くなっているな。」
私の体の匂いとあんたの体の臭いを一緒にするなー。く、くそー、何とか言ってやらないと、
「あ~ら、あなたこそ、私の香りが薄くなっているんじゃありませんか?」
するとニヤリとした彼は、やにはに抱き上げて、お姫様抱っこをした。
「な、なにをするのよ?こんな時間に、しかもみんなが見ているのよ。」
と抗議した、何故か弱弱しく。
「僕の臭いを上書きしようと思ってね。」
もう、この助平、変態、好色男。
ああ、それに合わせてしまう私も私もよね。我ながら呆れてしますわ。誰も彼を止めようともしない。呆れた、しかたがないな、相変わらずですわ、と苦笑していないでよ。私が淫乱女みたいに見ないでよ。そう、一応心の中で悪態、抗議の、弁明の叫びをあげながら、しっかりサムロに抱き着いていたけどね。
そのまま、寝室に私達は。侍女が恭しく、演技ね、もうー、ドアを開けて、どうぞ中にって、待っていた。私達が入ると、すぐにドアは閉められた。
「相変わらず、お仲がよろしいですわね、よすぎるほどですけど。」
「でも、このくらいでないと・・・。」
「両家のためにも・・・。」
なんて声が聞こえてきたときには、私達はお互いの服を脱がせ始めていたわ。
私達夫婦が半月間離れ離れになっていたのは、喧嘩したからではないのよ。喧嘩なら、しょっちゅうしているけど、すぐに仲直りするのが常。ひれは、お互いの領地で、その地の議会の開会に出席し、前半の重要事項の集中審議に領主として演説も、答えもしてやらなければならなかったからだ。コリアンダー公爵家現当主であるサムロは当然であるし、私はピール公爵家の代理領主であるからだ。私は長男である弟が士官学校を卒業する歳まで、ピール公爵家代理公爵として、この地を統治することとなっているのである。
何故、そうなったのか?一年前、私の両親が相次いで亡くなったからである。弟はまだ12歳である。いろいろと紆余曲折はあったものの、コリアンター公爵家という有力な後ろ盾を持つ私が、弟の士官学校卒業までの間、私が統治することとなったのである。長男では、まだ荷が重すぎる。かと言ってコリアンダー公爵家に乗っ取られたくはないが、コリアンダー公爵家の後ろ盾があれば安定的に領主としてやっていってくれるという期待などの妥協案として成立した結果である。もともと私に与えられた領地の管理のために、その地に赴いてしばらく滞在しなければならないはずだったから、根本的には変わらないともいえるが、やることが格段に多くなったのである。
一方、サムロの両親、前コリアンター公爵夫妻は、私の義母、義父その少し前に相次いで亡くなってしまった。こちらの方は既にサムロが後を名実ともに継いでいたから、大きく変わることはなかったとは言え、彼の受けた精神的ショックは大きく、また、影響する範囲はかなり大きかった。引退して、もう口はださない、全て任せたと、実質的にそうなっていても、やはり後ろ盾となっているという意味があり、それは大きかった。全てやることなす事、苦労が倍増し、不満を持ってくる者達が倍増、議会もなかなか、うんと言ってくれない等々となったのである。
私の方はもっと大変だった・・・かな?長男である弟がピール公爵家を継ぐことには、反対を言える者はいなかった。でも、彼が成人に達するまでの間をどうするかでかなりもめちゃったわ。私と弟との関係は良かったし、妹、弟にとっては下の姉、との関係も良かったからいいけど、お前はどこで私達と血が通じているのよ、といった親戚?達まで介入してきて大騒動に発展しかけたわ。でも、我がピール公爵家は行政制度、行政官達もしっかりしていたし、議会がしっかり目を光らせていたから、そうそう変な手は使えなかったし、私が軍に人気があり、掌握していたから、まあ短時間でなんとか収まったわ。
サムロの助言で、私が弟の士官学校卒業までピール公爵代理となること等詳細を議会で議決させることにした。これで公認、私もおいそれ破れないことになった、破るつもりなんか全くないけどね。ピール公爵家領の議会は、コリアンダー公爵家領とは異なり、貴族、聖職者から選ばれる議員と市民による選挙で選ばれる民選議員からなる一院制。今度新たに、コリアンダー公爵家のを参考に、議会の推薦も含めて公爵が選ぶ議員からなる枢密院を設置した。より密接に私、公爵代理を輔弼し監視するための組織として。
そして、半年が経過して、何とか、忙しいけれど、うまく回りかけている、といったところ、両家ともに。
ドアを開けて、両腕を広げて入ってきたのは、我が夫、サムロである。嬉しそうな顔、そうであろう、そうであろう、そうであろうな、美しい、愛おしい妻の私に久しぶりに、とは言っても半月ほどだけど、であったのだから、仕方がないわよね。旅装束のまま、とにかく私の美しい顔を見たくて、私の、ナイスバディの体を抱きしめたくて仕方がなくて、そのまま私のいる執務室に飛び込んできたのだ。
そして、私は、
「あら、旦那様おかえりなさいませ。」
と余裕たっぷり、余裕しゃくしゃくと、色気たっぷり、妖艶に、言う・・・はず・・・言うはずだった・・・のよ、本当は。それが、どうして、
「私もー。会いたかったよ!」
と彼に飛びついたのよ、彼の首根っこにかじりついているのよ、私は。しかも、心から喜んで、嬉しそうにいー。まあ、嬉しいのは本当だし~。
「う~ん。」
すう~。な、なに臭いを嗅いでいるのよ、わたしー。変態じゃないわよー。
「他の女の臭いはしないわね。感心、感心。ご褒美に・・・ギューギューしちゃうぞー!」
私の理性は、苦痛の、断末魔の悲鳴を上げている、崩壊の音が、軋む音がしているよー!
ちょっと、私が体を密着しているのをいいことに、何、スーハ―しているのよ、この変態男・・・私もしていたけど。止めてよ、私の体のいい匂い、いい香りを嗅ぎたいのはわかるけど。
「君も他の男の臭いはしないね。」
な、なんだとー、私を疑っているの、少しでも?この貞節な妻の見本のような私にむかってー。
「その代わり、僕の臭いがうすくなつているな。君の臭いが、その分強くなっているな。」
私の体の匂いとあんたの体の臭いを一緒にするなー。く、くそー、何とか言ってやらないと、
「あ~ら、あなたこそ、私の香りが薄くなっているんじゃありませんか?」
するとニヤリとした彼は、やにはに抱き上げて、お姫様抱っこをした。
「な、なにをするのよ?こんな時間に、しかもみんなが見ているのよ。」
と抗議した、何故か弱弱しく。
「僕の臭いを上書きしようと思ってね。」
もう、この助平、変態、好色男。
ああ、それに合わせてしまう私も私もよね。我ながら呆れてしますわ。誰も彼を止めようともしない。呆れた、しかたがないな、相変わらずですわ、と苦笑していないでよ。私が淫乱女みたいに見ないでよ。そう、一応心の中で悪態、抗議の、弁明の叫びをあげながら、しっかりサムロに抱き着いていたけどね。
そのまま、寝室に私達は。侍女が恭しく、演技ね、もうー、ドアを開けて、どうぞ中にって、待っていた。私達が入ると、すぐにドアは閉められた。
「相変わらず、お仲がよろしいですわね、よすぎるほどですけど。」
「でも、このくらいでないと・・・。」
「両家のためにも・・・。」
なんて声が聞こえてきたときには、私達はお互いの服を脱がせ始めていたわ。
私達夫婦が半月間離れ離れになっていたのは、喧嘩したからではないのよ。喧嘩なら、しょっちゅうしているけど、すぐに仲直りするのが常。ひれは、お互いの領地で、その地の議会の開会に出席し、前半の重要事項の集中審議に領主として演説も、答えもしてやらなければならなかったからだ。コリアンダー公爵家現当主であるサムロは当然であるし、私はピール公爵家の代理領主であるからだ。私は長男である弟が士官学校を卒業する歳まで、ピール公爵家代理公爵として、この地を統治することとなっているのである。
何故、そうなったのか?一年前、私の両親が相次いで亡くなったからである。弟はまだ12歳である。いろいろと紆余曲折はあったものの、コリアンター公爵家という有力な後ろ盾を持つ私が、弟の士官学校卒業までの間、私が統治することとなったのである。長男では、まだ荷が重すぎる。かと言ってコリアンダー公爵家に乗っ取られたくはないが、コリアンダー公爵家の後ろ盾があれば安定的に領主としてやっていってくれるという期待などの妥協案として成立した結果である。もともと私に与えられた領地の管理のために、その地に赴いてしばらく滞在しなければならないはずだったから、根本的には変わらないともいえるが、やることが格段に多くなったのである。
一方、サムロの両親、前コリアンター公爵夫妻は、私の義母、義父その少し前に相次いで亡くなってしまった。こちらの方は既にサムロが後を名実ともに継いでいたから、大きく変わることはなかったとは言え、彼の受けた精神的ショックは大きく、また、影響する範囲はかなり大きかった。引退して、もう口はださない、全て任せたと、実質的にそうなっていても、やはり後ろ盾となっているという意味があり、それは大きかった。全てやることなす事、苦労が倍増し、不満を持ってくる者達が倍増、議会もなかなか、うんと言ってくれない等々となったのである。
私の方はもっと大変だった・・・かな?長男である弟がピール公爵家を継ぐことには、反対を言える者はいなかった。でも、彼が成人に達するまでの間をどうするかでかなりもめちゃったわ。私と弟との関係は良かったし、妹、弟にとっては下の姉、との関係も良かったからいいけど、お前はどこで私達と血が通じているのよ、といった親戚?達まで介入してきて大騒動に発展しかけたわ。でも、我がピール公爵家は行政制度、行政官達もしっかりしていたし、議会がしっかり目を光らせていたから、そうそう変な手は使えなかったし、私が軍に人気があり、掌握していたから、まあ短時間でなんとか収まったわ。
サムロの助言で、私が弟の士官学校卒業までピール公爵代理となること等詳細を議会で議決させることにした。これで公認、私もおいそれ破れないことになった、破るつもりなんか全くないけどね。ピール公爵家領の議会は、コリアンダー公爵家領とは異なり、貴族、聖職者から選ばれる議員と市民による選挙で選ばれる民選議員からなる一院制。今度新たに、コリアンダー公爵家のを参考に、議会の推薦も含めて公爵が選ぶ議員からなる枢密院を設置した。より密接に私、公爵代理を輔弼し監視するための組織として。
そして、半年が経過して、何とか、忙しいけれど、うまく回りかけている、といったところ、両家ともに。
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