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やっぱり両家で助け合わないといけないのね・・・。

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「そうだね。ゆっくり話し合おうか、風呂をあがってから。そうでないと、のぼせちゃうからね。」
と言って、私の手をとって、握り締め、私に顔を近づけて、じっと見つめてきた。ちょっと怖いくらいの顔。確かに、深刻な話よね。私も不安になるとともに、色々と考えちゃったわ。結構、悪女っぽい顔になっているようだった。
「そういう顔の君も、魅力的だね。」
「あら、あなたの悪人顔の方が魅力的よ、頼もしくて。」
「君も頼りになりそうだね。」
「そうよ、わかった。」
 舌をだしあえば、舌を絡ませあえる距離に顔が近づいていたわ。実際に舌をだして触れ合って、絡ませあったわ。そして、互いに抱きしめ合って、唇を重ねて、唾液を流しあい、吸い取りあっちゃった。そのまま・・・とまでいきかけたけど、のぼせかけてきたので、すんでのところでお互いを抑えることができたわ。
 そして、本当にいやらしい手つきで私の下着を着せて、服をきせるんだから・・・。まあ、私も、彼の体をじっくり観察しながら着せてやったけど。

「君はどう考える?」
 寝室で、侍女に持ってこさせたお茶を口に運びながらサムロが質問した。侍女には、ポットをテーブルに置かせて、そのまま下がるように言ったわ。聞かせたくないものね、身内にも知られたくないものね。
 でも、どこから話そうかしら?
「私達、両家、第2位、第3位の公爵家、大貴族が一つになるだけでも、本来は心配しなければならないみとよね。本当なら、この結婚には王国としては難色を示すことよね。それに、コリアンダー公爵家は、王家に恨みを持っておかしくはないわね、今回の件では。カーキ公爵家もそうよね。パパイ大公家は、国第一大貴族、カーキ公爵家を得たわけよね。王家にとっては、これも脅威よね。」
 私とパパイ大公との婚約には、王国側は結構難色をしめしたとも聞いているわね。それでも、了解が得られたのは、我が家の王国への忠誠心と大公に見合う婚約、結婚となると国内では、私、ピール公爵家しかない、カーキ公爵家だと危険すぎるということだったと聞いているわ。
 パパイ大公家は、王家に後継者がなければ、その当主が王位につけるという特別な家だし、実際、王家に張り合うような言動、行動が結構あるしね・・・。
 彼は感心したような顔になったわ。どうよ?さあさあ、次を言ってみなさいよ。
「君の言う通りだよ。」
 そうでしょう、そうでしょう。さあ、それから?
「それから、感情的な面も考える必要もあるな。」
「?」
「パパイ大公は、君を奪った僕を快く思っていないだろうね。ゼハンプリュ様は、君に嫉妬するだろうね。王太子殿下は、俺に不信感を持っているだろうし、ガマリアは君に嫉妬・・・まあ、多少はあるだろう・・・かな?」
 なによ?なんで私が逆恨みされるのよ?それにあんたは、自信過剰じゃない?でも、確かにそれはあるかも・・・。
「だから、パパイ大公家は俺達を潰そうとするかもしれない。王家は俺達を不安に思い、潰そうとするかもしれない。パパイ大公は、王家…王太子を唆して、俺達を潰させようとするかもしれない。俺達を潰させて、国民の不安を煽り、王家を追い落とそうとするかもしれないし、それを機に内乱を起こすかもかもしれない。カーキ公爵家は、他国の王家との交流も多いから、外国勢力の支援も期待できる。両家を潰せば、多少とも我が国の軍事力を削ることができる。」
「何言っているのよ?アイオン様がそんなことを、謀反、反乱なんて考えるはずないじゃないの!いい加減なことは言わないでよ!あ、アイオン様に嫉妬しているんじゃないの?みっともないわよ。あ、そう言ってガマリアに未練があるんじゃない?あんなの方が、私よりいいって言うの?情けないったらありゃしないわ!」
と立ち上がって叫んじゃった。そうよ、とんでもないことを言わないでよ。
「そういう君は、パパイ大公に未練が大ありなんじゃないか?そんなに弁護して!」
と彼も激高したわ。さらに、
「ああ、ガマリアに未練は大ありだよ、前にも言ったように。だが、俺はお前がいいんだよ!だから、君のためならガマリアはどうなったっていいんだよ。」
 う、う、そんなこと言われたら。

「た、確かにあなたの言う通りよね。最悪のことを考えないといけないわね。」
 私は、座り直して、冷静になろうとして、休戦を申し入れたわ。彼も、座り直して、深呼吸して落ち着こうとしていたわ。
「でもさ、両家を潰そうとするのはかなり大変じゃない?国内の影響も大きいし、反旗を翻して・・・とかいったらちょっと大変かも?」
 わが国の常備軍が20万人という時代に、両家合わせた兵力・・・なんて大したことはないけど、内乱で国を乱して、・・・損害はかなり与えられる。国軍が大軍でやってきて、私達の反乱軍が全滅するまで、各地を焼き払って、略奪しまくれば・・・、かなり広い地域を荒廃できるわ。こうなると、国軍とは比べようもないけど、私達よりはるかに・・・の大公家は、その状況を利用すれば・・・。
 そんなことを、ぼつぼつと口にしたわ。すると、
「だから、俺達が手を携えていれば、なかなか手をつけられない。かえって、どちらとも、取り込もうとする可能性が高くなる。程度の問題かもしれないが・・・。だから、俺達は互いが必要なんだ。」
と私の両手を自分の両手で握り締めたわ。
「それに。」
「それに?」
 私がオウム返しすると、少し照れたようになって、
「君との・・・はすごく良かったから手放したくない。それに、まだ、一緒に過ごして僅かだけれど、肉体のことを除いても、手放したくないものを感じている。ああ、とにかく、俺は君を誰にも渡したくないと思っているんだ。そして、戦友でもあり、同志でもあるとも思っているんだ。」
と言ってくれたわ。そこまで言われたら、まあ、しかたがないわね、乗ってあげるわよ。それに、それしかないしね。
「私も同じ。・・・そしてね、共犯者としても、一緒にやっていきましょう?」
 自分で言って、何か悪党感覚というかが湧いて来ちゃった。それを聞いた彼は、妖しい笑みを浮かべていたわ、怖くなるくらい。でもまさか、同時にわくわくするものも感じた私も負けないくらい悪党顔して・・・いないわよね?

 その後、ベッドの上で私達は体を密着させないで、相手の顔のじっくり見ながら一体となっていた、どちらが上でも下でも。私の理知的で気品がありながらも、温かみがあり、癒される美しい顔を見ながら彼は動いたわ。私も、整っていて、優しい顔だなと、あらためて思いながら動いていたわ。息を荒くしながらも、必死に我慢する彼の顔は面白かったけど、彼は喘ぐ私の顔をどう思ったのかしら?相手の両手を自分の両手で握りあってもいたわ。
「わ、わたし達、こうして手を握り合って、取り合っていくしかないのね?」
「それが一番最善の策だと思うよ。」
 彼が上から私を、私が下から見ながら、荒い息で言った。
 最後は、体を密着させて、
「一分も離れないように。」
「隙がないくらい。」
「愛しあいましょう。」
「愛し合おう。」
 私を上にして、彼は私を抱きしめ、私は彼を抱きしめたわ。
 

 
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