命の灯火 〜赤と青〜

文月・F・アキオ

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〜赤の炎〜

Again.0 先生とわたし 5

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【夢の中】


「ユキヤごめんね? 今度はちゃんと予習してくるからさ、許してよ。ね?」

 わたしはユキヤに向かって甘えるような仕草で頼みこむ。ユキヤはこれに弱かった――モチロン狙ってやっている。確信犯なツキコさん。

「…………」

「あ、そうだお弁当! 明日はユキヤの分のお弁当も作ってくるから! だから今度また数学で困ったら、ユキヤは助けてくれるよね?」

「…………ベツ」

「え?」

「このあいだツキコん家で食べたロールキャベツ、それ作ってくれたら許す……」

「わかった。ロールキャベツね、任せといて!」

「絶対だかんな! やっぱり夕飯の残り物に変更、とかナシだならなっ」

「わかってるよ~、もう信用ないなぁ」

「だってツキコ、いっつも俺よりお母さんの方を優先するじゃんかー!」

「そんなことないって。ユキヤの方こそ、うちのお母さんと無駄に仲いいくせに……わたしに隠れてラインでやり取りしてるでしょ」

「どうせ俺なんか、ツキコのお母さんに悩み相談してる頼りない男ですよ……ツキコに比べたら甲斐性もないし、すぐ泣くし、頭も良くないし、それから――」

「もー、すぐそうやっていじけるんだからぁ~~」


 〝しょうがないなぁ!〟そう言ってユキヤの手を引っぱって足を止めてから、少しだけ背のびをしてユキヤのほっぺに優しくキスをした。

 するとユキヤはつないだ手をぎゅっと握り返してきて、少しうつむきながら呟いた。


「……ほっぺじゃヤダ」


 嫌だと言いながらちょっと照れて嬉しそうな顔で……それから子犬みたいに目をうるうるさせて、わたしを覗きこんでくるユキヤ。
 心の中でキュンと胸をときめかせながら、わたしはゆっくり目を閉じて、近付いてきた唇を受けとめる――


 いくら人通りの少ない遊歩道とはいえ、道端で堂々とキスしてしまうなんてスゴいよね。これがうわさのバカップル?

 でもそれくらい、わたしとユキヤはラブラブだったのだ――

 この幸せが、ずっと続いてくんだと思ってた――


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