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第二章
【三】星夜ー赤い絨毯と短期留学生②
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「萩野さん、さっきはごめんなさい」
「!?」
月子ちゃんの横で蜂谷さんが頭を下げて謝罪をしていた。会話に夢中で気配に気づかなかったぜ。
「私こそ、腐女子バレが怖くて話しかけることができなかったの。ごめんなさいね」
頭を上げた蜂谷さんは、目に涙を溜めていた。
「ううん、実は私も腐女子なの……」
「ほんと?」
「百合もTLもどんとこいの雑色系よ」
「私も!」
月子ちゃんが蜂谷さんの手を取り、二人は微笑みあう。腐女子結界が生まれた瞬間なのか。
「星夜、そこは友情といってくれ」
海人のツッコミが入った。心の声が出てたか。
「萩野さん、私たちもよ」
振り向けば、そこには数人女子が。
「わぁ、腐女子仲間がいたー!」
月子ちゃんが万歳して叫んだ。おい、令嬢の仮面が剥がれてるぞ、月子ちゃん。
「月子、落ち着け!」
ピンポン、パンポーン。
「ただいまより、中庭にて生徒会長と副生徒会長によるイベントのお知らせがあります。ご静聴願います」
「「ビックカップルのイベント発生!」」
「ベランダに行くわよ!」
女子達が一斉に窓辺に走る。男子は呆然とその様子を見送っていた。
一体何が始まるんだ?
俺と海人も遅れてベランダに出ると、校舎の一階から三階までは既に人だかりができていた。中庭では十組ほどのカップルが一列に並び、その前に八頭身&顔面偏差値チョモランマカップルが手をつないで立っている。
「あの和製バービー人形みたいな美女が、鈴香様よ!」
「背中に流れる髪はカラスの濡れ羽色。唇は朝露に濡れる桃のよう。こぼれそうな瞳はダイヤモンドでさえ霞む美しさ。あんな美女は他にいないわ!」
蜂谷さん解説ありがとう。俺はなんも言わないぜ。
「秋保コンツェルンの御曹司、成人様も見て。均整の取れた百八十五センチの長身に映画俳優よりも画像映えのする顔立ち。某王室の皇太子よりもイケメンでしょ!」
腐女子をカミングアウトした蜂谷さんの取り巻きの気仙沼さん、解説ありがとう。以下同文。
「全校生徒のみなさん、貴重な時間を集まってくれてありがとう。私、秋保成人は、こちらの広瀬鈴香さんと卒業式の翌日に結婚します」
「「キャー!」」
大地が叫声でとどろいた。
「!?」
月子ちゃんの横で蜂谷さんが頭を下げて謝罪をしていた。会話に夢中で気配に気づかなかったぜ。
「私こそ、腐女子バレが怖くて話しかけることができなかったの。ごめんなさいね」
頭を上げた蜂谷さんは、目に涙を溜めていた。
「ううん、実は私も腐女子なの……」
「ほんと?」
「百合もTLもどんとこいの雑色系よ」
「私も!」
月子ちゃんが蜂谷さんの手を取り、二人は微笑みあう。腐女子結界が生まれた瞬間なのか。
「星夜、そこは友情といってくれ」
海人のツッコミが入った。心の声が出てたか。
「萩野さん、私たちもよ」
振り向けば、そこには数人女子が。
「わぁ、腐女子仲間がいたー!」
月子ちゃんが万歳して叫んだ。おい、令嬢の仮面が剥がれてるぞ、月子ちゃん。
「月子、落ち着け!」
ピンポン、パンポーン。
「ただいまより、中庭にて生徒会長と副生徒会長によるイベントのお知らせがあります。ご静聴願います」
「「ビックカップルのイベント発生!」」
「ベランダに行くわよ!」
女子達が一斉に窓辺に走る。男子は呆然とその様子を見送っていた。
一体何が始まるんだ?
俺と海人も遅れてベランダに出ると、校舎の一階から三階までは既に人だかりができていた。中庭では十組ほどのカップルが一列に並び、その前に八頭身&顔面偏差値チョモランマカップルが手をつないで立っている。
「あの和製バービー人形みたいな美女が、鈴香様よ!」
「背中に流れる髪はカラスの濡れ羽色。唇は朝露に濡れる桃のよう。こぼれそうな瞳はダイヤモンドでさえ霞む美しさ。あんな美女は他にいないわ!」
蜂谷さん解説ありがとう。俺はなんも言わないぜ。
「秋保コンツェルンの御曹司、成人様も見て。均整の取れた百八十五センチの長身に映画俳優よりも画像映えのする顔立ち。某王室の皇太子よりもイケメンでしょ!」
腐女子をカミングアウトした蜂谷さんの取り巻きの気仙沼さん、解説ありがとう。以下同文。
「全校生徒のみなさん、貴重な時間を集まってくれてありがとう。私、秋保成人は、こちらの広瀬鈴香さんと卒業式の翌日に結婚します」
「「キャー!」」
大地が叫声でとどろいた。
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