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第二章
【一】星夜ー『ラン★とゆかいな仲間たち』②
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「「毒感想!?」
ニャルファポリスのアプリを見せてもらった。感想を送った主はイニシャルYと記入されていた。問題は感想の内容だ。
『主人公に全く魅力を感じない。読んでてあきた。イケメン、イケメンって書けばいいと思ってるみたいだけど、細やかな描写ってできないのかな』
「なんだこれ……」
「他の人は面白いとか、主人公のネコたんが健気だとか、温かな感想ですけど、これって書く必要ないですよね!」
月子ちゃんが鼻息荒く叫んだ。
「ニャルファポリスは非承認機能があるから、却下を選択するとWEBには掲載されないんだよ。だから大丈夫」
却下のボタンを押しかけた祖母ちゃんを、ルカ叔母さんが止めた。
「お母さん、ちょっと待って。却下した感想を見せてくれる?」
「ええ」
手渡されたスマホを、俺とルカ叔母さんがのぞき込んだ。
『もっとライバルふやせば? すぐに、くっつきすぎでしょ。笑』
『なんでBLなのに男女カップルの話書いてんの?』
ほかにも、やけになれなれしい口調で読んでやってるアピールをしてる人間もいた。
「お母さん、なんで消さないの?」
「ふふふふ。そりゃ最初はショックだったけど、全く感想もアクセスもないよりは、ましなのかなって。もっと口汚い言葉なら通報するけど、ほかの読者さんがそれ以上に応援してくれるから、書くのが楽しくなったの」
「あれ。祖母ちゃん、見て。この人のコメント、次からブロックできるよ」
毒感想の送り主を押すと【コメントをブロックする】の項目が出てきた。右にスワイプすれば、ONになる仕組みだ。
「あら、こんな機能があったのね」
「祖母ちゃん、ブロックしなよ。俺が嫌だよ。クソ読者に祖母ちゃんが虐められるなんて」
俺が憤慨していると、祖母ちゃんはブロックした。
「残りも全部だよ!」
「はいはい」
処理が終わるまで俺が隣でスマホ画面をガン見していたら、海人や月子ちゃんが慈愛に満ちた表情を浮かべていた。
「お祖母さまを思いやる孫の姿……尊いですね」
「星夜は祖母ちゃん孝行だな!」
「自慢の甥っ子よ!」
ルカ叔母さんがドヤ顔だ。
「星夜、ありがとうね」
祖母ちゃんが嬉しそうだ。ブロックして清々したに違いない。
「俺は何もしてないよ?」
「毒感想を送って、ネット小説家の筆を折る輩がいるそうですよ。相手にしないのが一番です」
月子ちゃんの言葉に、全員が頷く。
ルカ叔母さんがレモンスカッシュのグラスを掲げた。
「さあ、初同人誌頒布に向けて、頑張りましょう!」
「「はい!」」
ニャルファポリスのアプリを見せてもらった。感想を送った主はイニシャルYと記入されていた。問題は感想の内容だ。
『主人公に全く魅力を感じない。読んでてあきた。イケメン、イケメンって書けばいいと思ってるみたいだけど、細やかな描写ってできないのかな』
「なんだこれ……」
「他の人は面白いとか、主人公のネコたんが健気だとか、温かな感想ですけど、これって書く必要ないですよね!」
月子ちゃんが鼻息荒く叫んだ。
「ニャルファポリスは非承認機能があるから、却下を選択するとWEBには掲載されないんだよ。だから大丈夫」
却下のボタンを押しかけた祖母ちゃんを、ルカ叔母さんが止めた。
「お母さん、ちょっと待って。却下した感想を見せてくれる?」
「ええ」
手渡されたスマホを、俺とルカ叔母さんがのぞき込んだ。
『もっとライバルふやせば? すぐに、くっつきすぎでしょ。笑』
『なんでBLなのに男女カップルの話書いてんの?』
ほかにも、やけになれなれしい口調で読んでやってるアピールをしてる人間もいた。
「お母さん、なんで消さないの?」
「ふふふふ。そりゃ最初はショックだったけど、全く感想もアクセスもないよりは、ましなのかなって。もっと口汚い言葉なら通報するけど、ほかの読者さんがそれ以上に応援してくれるから、書くのが楽しくなったの」
「あれ。祖母ちゃん、見て。この人のコメント、次からブロックできるよ」
毒感想の送り主を押すと【コメントをブロックする】の項目が出てきた。右にスワイプすれば、ONになる仕組みだ。
「あら、こんな機能があったのね」
「祖母ちゃん、ブロックしなよ。俺が嫌だよ。クソ読者に祖母ちゃんが虐められるなんて」
俺が憤慨していると、祖母ちゃんはブロックした。
「残りも全部だよ!」
「はいはい」
処理が終わるまで俺が隣でスマホ画面をガン見していたら、海人や月子ちゃんが慈愛に満ちた表情を浮かべていた。
「お祖母さまを思いやる孫の姿……尊いですね」
「星夜は祖母ちゃん孝行だな!」
「自慢の甥っ子よ!」
ルカ叔母さんがドヤ顔だ。
「星夜、ありがとうね」
祖母ちゃんが嬉しそうだ。ブロックして清々したに違いない。
「俺は何もしてないよ?」
「毒感想を送って、ネット小説家の筆を折る輩がいるそうですよ。相手にしないのが一番です」
月子ちゃんの言葉に、全員が頷く。
ルカ叔母さんがレモンスカッシュのグラスを掲げた。
「さあ、初同人誌頒布に向けて、頑張りましょう!」
「「はい!」」
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