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第一章
【三】星夜ーミッションを遂行せよ!④
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「猪又れなです。よつおの彼女です」
背中まである黒髪の持ち主は、冷たい切長の瞳でクラスメイトを一瞥すると、さっさと席に着いてしまった。
相田くんは真っ赤になってた。
「噂は本当だったかー。佐藤振られてたもんなー」
「れなちゃん争奪バトル、盛り上がったもんなー」
な、なんなんだ。その気になるイベントは。
相田くんが戦いに勝利したってことかー?
クラスメイトは中々に濃いキャラが集まっていた。萩野兄妹は有名人らしく、海人が挨拶したら、なぜか飴玉が四方八方から飛んできた。
「な、なんなんだ?」
とりあえず床に落ちた飴玉の袋を拾って、海人の机に載せた。
「お兄ちゃんがチョコより飴が好きってバレンタイン前日にバラしたもんだから、気合い入れて用意してた女子から恨まれて時々飛んでくるんだよね」
「愛情の裏返しってやつだな」
いや、ただの嫌がらせ80%だと俺は断言するぜ。
「海人がニャニーズ系イケメンなのが羨ましいぜ」
「星夜くん、鏡見たことないの?」
月子ちゃんが意味不明だ。
「毎朝見てるぜ。それがどうしたんだよ」
「よせ、月子。星夜はこのままでいいんだ。都会の絵の具に染まらないで帰ってきてくれて、ありがとう」
「お兄ちゃん。それ、おばあさまの持ち歌でしょ」
「お前たち兄妹の内ネタか?」
「そうそう。木綿のハンカチーフな」
「俺、ポケティしかないぜ」
「はい、それじゃラスト。転校生よろしく」
「若生星夜です。東京から、小6まで住んでいた仙台に戻って来ました。趣味は庭で海を見ることです。よろしくお願いします」
「よろしく~」
「海人君の友だちなの?」
「幼なじみさ。みんな、俺からもよろしくな!」
海人がウインクしたら嬌声と飴が飛んできた。明日から虫網を持ってくるべきか……。
「帽子のほうがいいわね」
おっと、月子ちゃん。心の声が聞こえてたか。
四十人が自己紹介をして一時限目は終了した。続く授業も教科ごとの新担任からのオリエンテーションが行われた。
俺は楽しいアオハルライフが目標なので、窓際で日向ぼっこして過ごした。要するに白昼夢状態だ。
ミッション、全然進まなかったな……。
クラスメイトと親しくなるひと月後あたりに、それとなく探りを入れようか。そうだ、漫研とかあるかも。いや、美術部に生息しているのか?
あとで月子ちゃんに聞いてみよう。
背中まである黒髪の持ち主は、冷たい切長の瞳でクラスメイトを一瞥すると、さっさと席に着いてしまった。
相田くんは真っ赤になってた。
「噂は本当だったかー。佐藤振られてたもんなー」
「れなちゃん争奪バトル、盛り上がったもんなー」
な、なんなんだ。その気になるイベントは。
相田くんが戦いに勝利したってことかー?
クラスメイトは中々に濃いキャラが集まっていた。萩野兄妹は有名人らしく、海人が挨拶したら、なぜか飴玉が四方八方から飛んできた。
「な、なんなんだ?」
とりあえず床に落ちた飴玉の袋を拾って、海人の机に載せた。
「お兄ちゃんがチョコより飴が好きってバレンタイン前日にバラしたもんだから、気合い入れて用意してた女子から恨まれて時々飛んでくるんだよね」
「愛情の裏返しってやつだな」
いや、ただの嫌がらせ80%だと俺は断言するぜ。
「海人がニャニーズ系イケメンなのが羨ましいぜ」
「星夜くん、鏡見たことないの?」
月子ちゃんが意味不明だ。
「毎朝見てるぜ。それがどうしたんだよ」
「よせ、月子。星夜はこのままでいいんだ。都会の絵の具に染まらないで帰ってきてくれて、ありがとう」
「お兄ちゃん。それ、おばあさまの持ち歌でしょ」
「お前たち兄妹の内ネタか?」
「そうそう。木綿のハンカチーフな」
「俺、ポケティしかないぜ」
「はい、それじゃラスト。転校生よろしく」
「若生星夜です。東京から、小6まで住んでいた仙台に戻って来ました。趣味は庭で海を見ることです。よろしくお願いします」
「よろしく~」
「海人君の友だちなの?」
「幼なじみさ。みんな、俺からもよろしくな!」
海人がウインクしたら嬌声と飴が飛んできた。明日から虫網を持ってくるべきか……。
「帽子のほうがいいわね」
おっと、月子ちゃん。心の声が聞こえてたか。
四十人が自己紹介をして一時限目は終了した。続く授業も教科ごとの新担任からのオリエンテーションが行われた。
俺は楽しいアオハルライフが目標なので、窓際で日向ぼっこして過ごした。要するに白昼夢状態だ。
ミッション、全然進まなかったな……。
クラスメイトと親しくなるひと月後あたりに、それとなく探りを入れようか。そうだ、漫研とかあるかも。いや、美術部に生息しているのか?
あとで月子ちゃんに聞いてみよう。
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