イクメンパパの異世界冒険譚〜異世界で育児は無理がある

或真

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第一章

成長

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  部屋はそこそこ広く、ベッドが二つに椅子、テーブル、ソファも完備。そしていかにも高級そうな絵画が壁に吊るしてある。

 さて、ご飯やら風呂に入る前にやることがいくつかあるな。ポーションを飲むこととステータスの確認だな。

 ギルドで買ったポーションを一気に飲み干すと、体がみるみる再生していく。肩の痛みも無くなった所を見ると、完治したみたいだな。

 ということで、お待ちかね!ステータスの確認タイムだぜ。前回からどれくらい強くなったかなー。

個体名:ユウマ
職業:勇者
レベル:98

体力:6981
攻撃力:7862
魔力:6530
防御力:6127
俊敏性:7957

スキル:鑑定、インベントリー、言語理解
ユニークスキル:心情創造者、キマイラの死骸、反撃
称号:魔剣ディアボロスに認められし者・妖刀神威に認められし者・二刀流

 おー!色々増えてるな!まずはレベル。前回ダンジョンで計った時に比べて40レベルも上がってる。これは大きな成長だな。ステータスも五倍以上に跳ね上がってるし、ダンジョン、武闘大会を経て随分強くなったみたいだな。

 ただ俺のスキルはちょっと微妙なんだよな。『キマイラの死骸』は見た目があれだからあんまり使えないし。『反撃』は強いけど、武王や暴走オーウェン相手には易々と破られるし、どちらかというと雑魚向けかな。あと最後、心情創造者だけどーなんかレベルアップしてる。

《心情創造者 レベル2》

想像した物を具現化する能力。※2000円以内 ※2翌日持ち越し可能

 まず、二千円!しかも翌日持ち越し可能ってことは、この二千円を今日使わず、明日に持ち越せば、合計四千円を明日使えるってことだ。それを繰り返していけば高い買い物だって不可能ではない!

 いやぁ、これで夢が広がったよ。

 そして最後に気になったのは、『勇者』という職業だ。最近になって気づいたんだけど、腕が吹き飛んでも、骨が折れようとも、あまり痛みを感じなくなってきたんだよな。あと人を傷つけることへの抵抗もだ。

『それは『勇者』という職業の効果だな』

 うおっ、神威か。未だに慣れないな。

『『勇者』という職業は勇者としての強靭な精神力を付与するからな、大した負傷でなければ痛みも感じないさ。』

 うーん。その言い方だと人の心が無くなってるみたいで嫌だな。

『というか、お主勇者なのか。』

 あれ?知らなかったのか?

『うむ。ようやく我がこんなへなちょこに敗北した原因に納得行ったよ。』

 へなちょこって!うるせえな!

『我から見たら青二才だわ。』
 
 うるせえ!こちとら人生で剣を握ったことなんぞないねん!しかし、そう考えると、武器の性能ってかなり大切だよな?

 ほら、神威流剣術が身についたのも武器の性能だし、雷魔法は魔剣ディアボロスの賜物だ。そうなると、この世界での武器の優先度はかなり高いんじゃないか?

 もちろんスキルが強ければ武器の重要性は下がるけど、俺みたいな戦闘向けスキルじゃない場合は、武器頼りになることが必至だ。

『その通りだ。その点、我とディアボロスが居るのは随分幸運なことだ。』

 そうだな。というか、神威の刀ってダンジョンのドロップ品だけど、もう一回ダンジョンを攻略したらもう一本貰えるのか?

『いや、我はいわゆるレアドロップだからな、世界で一本だけだ。』

 なんと。随分すごい物を手に入れていたみたいだな。まあ、これで他の人が妖刀神威を持つことはないと確認できて良かった。

 そうやって安堵していると、れいちゃんがこちらをまじまじと見つめていることに気づく。

「あぅあぅ!」

 僕も僕もーと言わんばかりに目を輝かせ俺の裾を引っ張る。れいちゃんの引っ張る力もなかなか強く、正直言って少し痛い。

「はいはいわかりましたよ。」


 れいちゃんにそう伝えて、胸に抱き抱える。さて、お望み通りステータスを確認してあげるか。

 れいちゃんはスキル『言語理解』によって言葉の理解は出来るものの、読み書き話しができないんだよな。だから文章化されたステータスを読むことは残念ながらできない。

 まあ、話せないのは単純に舌が発達していないからかもしれないな。

「あぅあぅ!」

 早くしろとれいちゃんが憤っている。おっと、そうだったな。鑑定!


個体名:れいちゃん
職業:勇者
レベル:217

体力:6012
攻撃力:2513
魔力:8198
防御力:5396
俊敏性:316

スキル:鑑定・インベントリー・言語理解

 れいちゃん、すごいな。レベル200なんて俺の約二倍じゃないか。ただ、ステータスが俺より偏っているという気もするな。

 特に俊敏性が316とは……まあハイハイしかできないからこの数値は妥当と言えるかな。体力や防御力は遜色ないし、攻撃力が低い分、魔力が多いな。

 全体的にバランスが取れている俺とは違い、れいちゃんは相当尖った性能をしている。どうやら戦闘スタイルによってステータスの伸び代が決められてるみたいだ。

 物理攻撃をほとんど使わず、魔法だけで攻撃を行うれいちゃんの場合、魔力の伸びが最も大きい。いわゆる、魔法特化型だ。一方で俺の場合、バランス良く魔法や物理攻撃を行うため、ステータスがバランス良く伸びる万能型だ。

 そのようにステータスの伸びは、各要素の経験の量によって左右される。またレベルアップは高レベル帯になるにつれ上がりにくくなるイメージだな。

 まあ育成ゲームに似たシステムだな。

「れいちゃん随分強くなったね。レベルが約40も上がってるし、魔力も格段に上がってるよ。」

 そう褒めると、れいちゃんは嬉しそうにきゃっきゃっとはしゃいだ。とても可愛い。

 さて、色々な疑問も晴れたし、腹もちょうど減ってきた。今日はさっさと飯でも食って、寝ることにしよう。

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