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緋色と灰の物語
5.夢の萌芽 ─DreAm Sleep─
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白薔薇の修道院の地下室にて
シルヴァントゥスは修道院の地下室に安置された茨の生えた大きな石の箱の前に立っていた。それが石で出来た柩であると、間近で見た者は誰もが理解するだろう。その無機質な威圧感と静謐が命の終りを物語り、柩の内側から触手の様に生え伸びた茨が歪さを醸し出す。
「枯れてしまいましたか。次の種子を選ばなければ」
「して、この血は如何でしょうかね?」
シルヴァントゥスは開かれた柩の中を見て慈しむ様な表情で告げ、胸元から白い薔薇を取り出す。その薔薇は血で汚れていた。彼はそのまま指から零す様に血の付いた薔薇を柩の中へと落とした。するとドクンと、何かが強く鼓動する。その強い鼓動は心臓の様に脈打ち、吸い上げては全身に張り巡らせ、染み渡らせる様に強く応えた。
それは彼が、シルヴァントゥスが此処に勤めてから初めて見る程の強い鼓動だ。寂れたはずの高揚がぶり返す感覚が忘れていた感覚を呼び覚ます。
「おぉ、なんと・・・、なんと素晴らしい事だ!」
シルヴァントゥスは思わず歓喜の音を上げた。その恍惚とした声と表情はこの修道院で見たものは誰一人としていないだろう。それほどまでの高揚が彼の中に満ち、声となって溢れ出た。
「君は素晴らしい、本当に、えぇ神の思し召しとはまさにこの事!我らは正しく、そして神は我らに祝福をお与え成すった!」
「これほど魔法の才に富んだ血とは!カリーナ!貴方は神に愛された女性だ!ああ、では、早速種子選別の儀式を始めなくては!・・・いや。これは・・・あの計画を動かす時ですかな?」
シルヴァントゥスは喜んだ足取りでその場を後にする。柩の中にはただ打ち捨てられ干乾びた種子が・・・骸が転がっていた。
一方
あの日から、ディアはカリーナとモニカの二人と言葉を交わす様になった。黄昏の合間、鐘の音が鳴るまでの限られた時間。毎日話す他愛も無い会話ばかりだったが、ディアにもカリーナ達にもそれがとても大切な時間だった。
「今日は紹介したい友達がいるんだ。いいかな?」
ディアの切り出しにカリーナとモニカは顔を見合わせて、ふふと笑う。彼女達にはディアが誰を紹介したいか直ぐに解ってしまったからだ。それに対してディアは足早にその人物を呼びに行く。ディアが連れて来たのは、当然、ルクだった。
「と、友達のルク。僕の一番の友達なんだ!」
「こんにちは!ディアの一番の友達のルクです!」
ディアはそう言ってルクを紹介する。約束以上に彼にとってルクは最も誇らしい友人であり、恩人だ。善き友人には善き友人を紹介したい、そんな風に考えたディアを見て、彼女たちは「やっぱり」と笑う。その様子を見たルクもまた、「やっぱりな」としたり顔でディアを見ていた。
「あれ?知ってたの?」
「ううん、ディアはいつもルクのお話をするからモニカ知ってた!お姉ちゃんも知ってたよ?」
その言葉を聞いてディアは自分の口に手を当てた。そんなに喋っていただろうか?しかし思い返せば思い返す程、ルクとの思い出をこの二人に話したことばかりが浮かび上がってくる。
「え・・・、そう、かな?」
おずおずと言葉を繋いだ。その言葉にカリーナとモニカはうんうんと頷き、ディアは信じられない物を見たかの様な呆然とした表情でルクを見る。
「ああ、ちなみに俺も知ってるよ。モニカと、カリーナ!ディアはいっつも二人の話をするんだよね」
ディアに再び衝撃が走る。自分は今、彼女達との話と彼との話を全部筒抜けになっている事に驚いた。しかしディアはとりわけ記憶が少ないためか〝楽しい話〟を心がければどうしてもルク達の話ばかりになってしまうのは致し方ない事だ。
「あはは、やっぱり!ディアくん、私ルクくんのことかな~り知ってるよ?」
「え、え・・・?そう、なの?!」
しまった!とディアは慌てて自分の口を塞いだ。もしかしたらルクが豆のスープが嫌いだとか、何も無い所で躓いて転んだ話とかもしてしまっただろうか・・・と口にしてそうな事柄が走馬灯の様に思い浮かんでは消える。
「変な事話してないだろうな~?」
ルクの言葉にディアは尋問された囚人の様に視線を泳がせ、頬を掻いた。もしかしたら話して欲しくないこともあったかもしれない。友達に対しての敬意を欠いたのではないだろうかという気持ちがふつふつと湧いて出ては、ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
「えぇ?!ああ、えっと、・・・してる?かな?してないよね・・・?」
「いや俺に聞かれても・・・」
混乱しきったディアの問いかけにルクは困惑した様子で言葉を返す。まるで小動物の様な表情にルクは安心を施す様に「してないしてない」と適当を述べる。ディアはそれで少し安心したように小さくなり食い下がったところで、ルクはカリーナ達に視線を向けた。
「まあ、改めてよろしく、何時も友達がお世話になってます」
「よろしくねルクくん、私はカリーナこっちが」
「モニカ!」
カリーナが視線を向けるとモニカは自分から手を上げて元気な声で名を名乗った。
「偉い、よくできたね、モニカ」
カリーナはモニカを拍手しながら褒める。モニカはお上品に挨拶する真似をして見せるとルクの足元に駆け寄り見上げた。
「えへへ~、ディアのお友達だからルクは怖くないよ!この前も優しくしてくれた!」
「そんなこともあったね~!指治った?」
ルクはモニカに視線を合わせながら怪我した指の事を訪ねるとモニカは元気よく「治った!」と綺麗になった指を見せ、大輪の笑顔を咲かせて見せる。ルクは「よかったな!」とモニカに笑いかけるとその頭をわしわしと撫でまわした。もう早速打ち解け合う二人を見て、ディアとカリーナは顔を見合わせて微笑んだ。二人はその場にゆっくりと腰を下ろすとルクとモニカのやり取りを眺めていた。
「モニカがあんなに人と仲良くなってるの初めて見たかも」
「うん、ルクは凄いんだ。誰とでも仲良くなれるし、それに良い奴だから。モニカとも遊んでくれるって思ったんだ」
「ディアくんはルクくんの事が本当に大好きなんだね」
「うん。大好きなんだ」
ディアは淡々とルクを褒める。彼にとってルクは正しく憧れの存在だった。その好意を口にするのにディアに躊躇いはない。それほどまでにルクの存在は大きく、眩しく、掛け替えのない存在なのだ。カリーナはそんな羨望の眼差しを向けるディアを見て、少し羨ましさを覚えた。カリーナにとって羨望の先は母親だったが、それはもう行き場のない泡沫の感情に過ぎない。両親を亡くした後のカリーナはモニカの事ばかり考え、それにばかり囚われていたせいか、ルクに羨望の眼差しを向けるディアが少し眩しく見えた気がした。それは曇り空の隙間から差す陽光の様に求めてしまうも届き難い。
「良いな、私も・・・」
私もそうなりたい。誰かに羨望を覚えて夢を見たい。漠然とした夢だったが故に、カリーナはその言葉を飲み込んだ。それ自体が憧憬で、存在しない光景だ。だが、そうなれば自分もきっと諦めた夢も無くした夢も思い出せるかもしれない。そう思ってしまって仕方が無いのだ。カリーナは考える暇もなくただ、心を枯らしたような渇きを覚えた。それと同時にモニカを柵に感じて居る罪悪感と、彼等がそれを少し取り払ってくれた事への感謝の念が少しずつ沸き立つようだった。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「ひゃっ⁉」
そうぼんやり考えていると、突然視界にモニカの顔が入り込みカリーナは素っ頓狂な声を上げた。
「なんだかぼーっとしてどうしたの?」
「あ、ごめんね、ちょっと考え事してたんだ。」
カリーナは慌てて取り繕う様に愛想笑いを浮かべ、先ほどの考えを無理やり自分の中から流し棄てる。
「今ね、ルクと将来のお話ししてたの!」
「将来?」
「うん、モニカね、将来魔法使いになりたいの!それでね、色んな所に旅したいんだ!お姉ちゃんと一緒に旅に出るの!」
モニカはそう言って自分の夢を喜々として語る。それはカリーナを少し苦しめた。それは彼女にとっても素晴らしい夢に聞こえ、且つ、なんて羨ましい事なんだと思わせる程魅力的な事だったから。しかし現実は違った。カリーナはこの先もずっと修道院で勤める事となるだろう。それこそがこの修道院に対する精一杯の恩返しであり、恐らく、こうなってしまうのが現実だ。現実と余計な知識がカリーナに重く圧し掛かり、少女の幼気な夢を押しつぶす。だけどもしと口を開けば「モニカだけでも」と、結局其処に自分は居ないのだ。
「それは素敵な夢だね、その時はお姉ちゃんも連れて行って欲しいな」
そう言って社交辞令な笑みを浮かべた。飽く迄モニカの夢を壊すわけにはいかない。もし本当にその時が来たら、きっと自分は快く彼女を送り出そう。そんな風に思い必死に叫ぶ心を黙らせた。
「見てて!」
モニカはそんな姉を他所に、無邪気にディアとルクに特技を披露する。モニカが手を突き出して目を瞑る。すると、風が揺らいだ。それは偶々その瞬間に風が吹いたというわけではない。流れ込んだ風が不自然にモニカへと収束し、薔薇の花弁と落葉を巻き込み小さなつむじ風を生んだ。そしてモニカが手を振るうとその風はモニカの意志に従い辺りを吹き抜ける。それは紛れもなく魔法だった。
「おぉ凄いよモニカ!」
「モニカは本当に魔法が使えるんだな!」
無邪気にモニカを褒めるディアとルクを他所に、カリーナは一人、信じられない物を見たかの様な表情だった。
「そんな・・・」
「どう?お姉ちゃん!凄いでしょ!」
水辺に飛び込んだ時の様に、周りの音が遠くなる。それは一瞬で深い水底へと自分を誘い、どうしようもない孤独が己を駆り立てる。
「・・・どうして?」
カリーナは言葉を零す。カリーナの記憶が正しければ、魔法とは例えどんなに魔力に富んでいても、使い方を教わらなければ意味がない。誰に教わった訳でも無く、感覚で魔法を使うモニカは正しく〝天才〟の素養だった。
そしてそれはカリーナには無い才能。母に教えて貰ったが点で駄目だった日々が脳裏に過る。それと同時に溢れ出そうになる嫉妬心が彼女の胸を苛んで止まない。何も持っていない自分と沢山を持つモニカ。心の中の自分がどうして私ばっかりと、問い掛けてくる。
「・・・凄いね。お姉ちゃんには・・・できないや」
嗚呼、きっとこの子は夢を叶えられるだろう。そんな味わいたくも無い、見付けたくも無かった羨望が今更胸に蔓延る。私はきっとこの子を生かし成長させるために生まれて来た肥料に過ぎないんだ。そんな風に思ってしまう。思ってしまえた。そう思えば楽になれて、諦めでまた自分を殺す事が出来る。そんな風に思った時だった。
「カリーナの夢は、何?」
そう問い掛けてきたのはディアだった。ディアは真っ直ぐとカリーナを見つめ、まるで自分が苦しんでいるのを解っているかの様に優しく問い掛ける。その問いは今のカリーナには慈雨の様でもあり、同時に痛くもあった。
「・・・わかんないや。ごめんね」
そう言って笑って誤魔化した。だが、本当にわからなかった。夢を視ても仕方が無い。自分はこのまま一生此処で身を費やして・・・そんな言葉ばかりが胸に流行る。
「なら」
「なら、僕と一緒だね。」
しかし、ディアはそれに共感した。「一緒だね。」というそのたった一言は何故かカリーナの胸に深く突き刺さる。きっと見ている物も見えている物も違う。だがその一言はカリーナの心を満たすのに充分だった。胸の痛みが消えて、代わりに込み上げてきた胸の熱さが溢れ出て、涙が自然と零れ落ちた。
「え・・・?」
カリーナは困惑した様子で自分の目元を拭った。頬を伝った涙は温かく、両親が死んだときに流した涙とは全く違うもので、涙だというのに心が軽くなった気がした。
「カ、カリーナ⁉どうして泣いて・・・」
ディアはカリーナの涙を見て思わず困惑と不安を隠せずにたじろいでしまう。するとそれを見たルクはディアを指差してモニカにディアを告発する。
「うわ!ディアがカリーナ泣かせた!」
「ディア酷い!お姉ちゃんを虐めないで!」
「い、虐めてないよ!虐めてない!」
二人から浴びせられた言葉にディアは必死に弁明をする。カリーナは思わずその光景に吹き出した。
「もう!二人とも!ディアくんはそんなことしないよ!目にゴミが入っただけなんだから」
そういって自然と笑った。自然と笑えた。その様子を見てディアは安堵のため息を零すと、モニカとルクに向き直る。
「ほら~!虐めてないじゃん!怒ったからな!」
そういってディアはルクとモニカに抗議する様にジっと睨むと一歩、一歩と強い足取りで歩み寄る。そして「ウワー!」と大声を出して彼等に捕まえようと両手を広げた。
「うわ、逃げろ!」
「キャー!虐められる~!!」
喜々とした声で彼等はディアから逃げ回り、追い掛け回す。その温かい光景は夕暮れの空の下、鐘が鳴り響くまで続いていった。カリーナは一人走り回る彼等を見て何処か言葉に使用も無い愛おしさを覚え、それと同時に、「ありがとう、ディアくん」と救われた心の中身を呟いた。夢が無い事も、モニカで手一杯だった心も、彼と出会ったあの日から独りでは無くなったのだ。独りじゃない胸の温かさをカリーナは噛み締める。そして
カランカランと鐘が鳴り、楽しい時間が終わりを告げた。
「あ、もう終わりか」
「えぇ~!まだ遊びたい~!」
楽しい時間は彼等にとっては一瞬だった。まだまだ遊び足りないモニカは不満げに唸る。しかし決まりは決まりだ。門限を破れば怒られるのはみんな同じ事だった。
「ほら、帰ろう、モニカ」
そう言ってカリーナが手を差し出すと、モニカはその手を握る。モニカの手をカリーナは優しく握り返すと、その温かな鼓動が手を通して伝わって来た。あんな感情に囚われたのに、この指先は今でも優しく温かい。大丈夫、自分はちゃんとモニカを愛している。そんな実感は確かに存在し、カリーナは安堵した。
「それじゃあ僕達も帰るよ。また明日」
「待ってディアくん!」
去ろうとするディアをカリーナが呼び止める。ディアは歩みを止めて、ゆっくりと振り返る。すると黄昏とカリーナが重なって見えた。その紅い髪が夕焼けに照らされて美しく照り返し、彼女の蒼い瞳は陰りも無く幻想的な美しさを讃える。それは一枚の絵画の様に世界に二人だけしかいない様な気分にさせ、ディアの心臓に早鐘を打たせた。もしこの世界に天使を知る人がいたら彼女を天使と見間違うに違いないだろう。風がそよいで二人を撫でた。
「ねえ、一緒に、夢、見付けよう?」
カリーナはそう言って心から微笑んだ。ディアはその光景に見惚れて頷く事しか出来なかった。カリーナはディアが頷いたのを見ると自分の小指とディアの小指を絡ませる。
「じゃあ、約束ね?」
「・・・うん。約束だね」
ディアは自ら指先を絡め、二人は指切りをした。するりとカリーナの指がほぐれると、カリーナは「また明日ね」とディアに手を振る。ディアはぼんやりと小指を立てたまま去って行くカリーナとモニカの背中を見送る事しか出来なかった。
「なんだ!なんだそれは!」
そんな彼らのやり取りを遠くから眺めている人物がいた。彼は激高した様子で壁に拳を叩きつける。
「カリーナくんのなんなんだお前は!あんなに親しげに!私にすら向けた事の無い表情を!あんな、あんな薄汚れたガキに!」
その男は錬金術師のカニスだった。カニスはカリーナとディアのやり取りの一部始終を覗いていたのだ。彼は二人の間の絆に心を深く痛めていた。それは無理もない。歪ながらも彼はカリーナに恋をしているのだから。
「嗚呼!カリーナ!カリーナ!どうしてその顔を私に見せないんだ!嗚呼!私ならもっと君を幸せにできるのに!何故何故!」
彼は吠え叫ぶ。その咆哮は身勝手な遠吠えに過ぎないものだが、彼にとっては慟哭だった。彼はモニカと楽しげに去って行くカリーナを見て一人嫉妬の炎を燃やし尽くす。それは身をも焦がしてしまいそうな程、熱く、歪で、恐ろしいものだった。
「あのガキ・・・!誰の女に手を出したか、絶対に後悔させてやる!彼女は私と幸せになるべき人なのだ!」
そう言ってカニスは怒りに燃えながら踵を返しその場を去る。
飽くなき劣情と邪悪な指先が、今、紅い薔薇を穢そうとしていた。そしてその手は決して一つでは無い。誰もが薔薇を求め、手を伸ばした。その渇望の指先は花の事など知りもせず。また理解しようともしなかった。
シルヴァントゥスは修道院の地下室に安置された茨の生えた大きな石の箱の前に立っていた。それが石で出来た柩であると、間近で見た者は誰もが理解するだろう。その無機質な威圧感と静謐が命の終りを物語り、柩の内側から触手の様に生え伸びた茨が歪さを醸し出す。
「枯れてしまいましたか。次の種子を選ばなければ」
「して、この血は如何でしょうかね?」
シルヴァントゥスは開かれた柩の中を見て慈しむ様な表情で告げ、胸元から白い薔薇を取り出す。その薔薇は血で汚れていた。彼はそのまま指から零す様に血の付いた薔薇を柩の中へと落とした。するとドクンと、何かが強く鼓動する。その強い鼓動は心臓の様に脈打ち、吸い上げては全身に張り巡らせ、染み渡らせる様に強く応えた。
それは彼が、シルヴァントゥスが此処に勤めてから初めて見る程の強い鼓動だ。寂れたはずの高揚がぶり返す感覚が忘れていた感覚を呼び覚ます。
「おぉ、なんと・・・、なんと素晴らしい事だ!」
シルヴァントゥスは思わず歓喜の音を上げた。その恍惚とした声と表情はこの修道院で見たものは誰一人としていないだろう。それほどまでの高揚が彼の中に満ち、声となって溢れ出た。
「君は素晴らしい、本当に、えぇ神の思し召しとはまさにこの事!我らは正しく、そして神は我らに祝福をお与え成すった!」
「これほど魔法の才に富んだ血とは!カリーナ!貴方は神に愛された女性だ!ああ、では、早速種子選別の儀式を始めなくては!・・・いや。これは・・・あの計画を動かす時ですかな?」
シルヴァントゥスは喜んだ足取りでその場を後にする。柩の中にはただ打ち捨てられ干乾びた種子が・・・骸が転がっていた。
一方
あの日から、ディアはカリーナとモニカの二人と言葉を交わす様になった。黄昏の合間、鐘の音が鳴るまでの限られた時間。毎日話す他愛も無い会話ばかりだったが、ディアにもカリーナ達にもそれがとても大切な時間だった。
「今日は紹介したい友達がいるんだ。いいかな?」
ディアの切り出しにカリーナとモニカは顔を見合わせて、ふふと笑う。彼女達にはディアが誰を紹介したいか直ぐに解ってしまったからだ。それに対してディアは足早にその人物を呼びに行く。ディアが連れて来たのは、当然、ルクだった。
「と、友達のルク。僕の一番の友達なんだ!」
「こんにちは!ディアの一番の友達のルクです!」
ディアはそう言ってルクを紹介する。約束以上に彼にとってルクは最も誇らしい友人であり、恩人だ。善き友人には善き友人を紹介したい、そんな風に考えたディアを見て、彼女たちは「やっぱり」と笑う。その様子を見たルクもまた、「やっぱりな」としたり顔でディアを見ていた。
「あれ?知ってたの?」
「ううん、ディアはいつもルクのお話をするからモニカ知ってた!お姉ちゃんも知ってたよ?」
その言葉を聞いてディアは自分の口に手を当てた。そんなに喋っていただろうか?しかし思い返せば思い返す程、ルクとの思い出をこの二人に話したことばかりが浮かび上がってくる。
「え・・・、そう、かな?」
おずおずと言葉を繋いだ。その言葉にカリーナとモニカはうんうんと頷き、ディアは信じられない物を見たかの様な呆然とした表情でルクを見る。
「ああ、ちなみに俺も知ってるよ。モニカと、カリーナ!ディアはいっつも二人の話をするんだよね」
ディアに再び衝撃が走る。自分は今、彼女達との話と彼との話を全部筒抜けになっている事に驚いた。しかしディアはとりわけ記憶が少ないためか〝楽しい話〟を心がければどうしてもルク達の話ばかりになってしまうのは致し方ない事だ。
「あはは、やっぱり!ディアくん、私ルクくんのことかな~り知ってるよ?」
「え、え・・・?そう、なの?!」
しまった!とディアは慌てて自分の口を塞いだ。もしかしたらルクが豆のスープが嫌いだとか、何も無い所で躓いて転んだ話とかもしてしまっただろうか・・・と口にしてそうな事柄が走馬灯の様に思い浮かんでは消える。
「変な事話してないだろうな~?」
ルクの言葉にディアは尋問された囚人の様に視線を泳がせ、頬を掻いた。もしかしたら話して欲しくないこともあったかもしれない。友達に対しての敬意を欠いたのではないだろうかという気持ちがふつふつと湧いて出ては、ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
「えぇ?!ああ、えっと、・・・してる?かな?してないよね・・・?」
「いや俺に聞かれても・・・」
混乱しきったディアの問いかけにルクは困惑した様子で言葉を返す。まるで小動物の様な表情にルクは安心を施す様に「してないしてない」と適当を述べる。ディアはそれで少し安心したように小さくなり食い下がったところで、ルクはカリーナ達に視線を向けた。
「まあ、改めてよろしく、何時も友達がお世話になってます」
「よろしくねルクくん、私はカリーナこっちが」
「モニカ!」
カリーナが視線を向けるとモニカは自分から手を上げて元気な声で名を名乗った。
「偉い、よくできたね、モニカ」
カリーナはモニカを拍手しながら褒める。モニカはお上品に挨拶する真似をして見せるとルクの足元に駆け寄り見上げた。
「えへへ~、ディアのお友達だからルクは怖くないよ!この前も優しくしてくれた!」
「そんなこともあったね~!指治った?」
ルクはモニカに視線を合わせながら怪我した指の事を訪ねるとモニカは元気よく「治った!」と綺麗になった指を見せ、大輪の笑顔を咲かせて見せる。ルクは「よかったな!」とモニカに笑いかけるとその頭をわしわしと撫でまわした。もう早速打ち解け合う二人を見て、ディアとカリーナは顔を見合わせて微笑んだ。二人はその場にゆっくりと腰を下ろすとルクとモニカのやり取りを眺めていた。
「モニカがあんなに人と仲良くなってるの初めて見たかも」
「うん、ルクは凄いんだ。誰とでも仲良くなれるし、それに良い奴だから。モニカとも遊んでくれるって思ったんだ」
「ディアくんはルクくんの事が本当に大好きなんだね」
「うん。大好きなんだ」
ディアは淡々とルクを褒める。彼にとってルクは正しく憧れの存在だった。その好意を口にするのにディアに躊躇いはない。それほどまでにルクの存在は大きく、眩しく、掛け替えのない存在なのだ。カリーナはそんな羨望の眼差しを向けるディアを見て、少し羨ましさを覚えた。カリーナにとって羨望の先は母親だったが、それはもう行き場のない泡沫の感情に過ぎない。両親を亡くした後のカリーナはモニカの事ばかり考え、それにばかり囚われていたせいか、ルクに羨望の眼差しを向けるディアが少し眩しく見えた気がした。それは曇り空の隙間から差す陽光の様に求めてしまうも届き難い。
「良いな、私も・・・」
私もそうなりたい。誰かに羨望を覚えて夢を見たい。漠然とした夢だったが故に、カリーナはその言葉を飲み込んだ。それ自体が憧憬で、存在しない光景だ。だが、そうなれば自分もきっと諦めた夢も無くした夢も思い出せるかもしれない。そう思ってしまって仕方が無いのだ。カリーナは考える暇もなくただ、心を枯らしたような渇きを覚えた。それと同時にモニカを柵に感じて居る罪悪感と、彼等がそれを少し取り払ってくれた事への感謝の念が少しずつ沸き立つようだった。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「ひゃっ⁉」
そうぼんやり考えていると、突然視界にモニカの顔が入り込みカリーナは素っ頓狂な声を上げた。
「なんだかぼーっとしてどうしたの?」
「あ、ごめんね、ちょっと考え事してたんだ。」
カリーナは慌てて取り繕う様に愛想笑いを浮かべ、先ほどの考えを無理やり自分の中から流し棄てる。
「今ね、ルクと将来のお話ししてたの!」
「将来?」
「うん、モニカね、将来魔法使いになりたいの!それでね、色んな所に旅したいんだ!お姉ちゃんと一緒に旅に出るの!」
モニカはそう言って自分の夢を喜々として語る。それはカリーナを少し苦しめた。それは彼女にとっても素晴らしい夢に聞こえ、且つ、なんて羨ましい事なんだと思わせる程魅力的な事だったから。しかし現実は違った。カリーナはこの先もずっと修道院で勤める事となるだろう。それこそがこの修道院に対する精一杯の恩返しであり、恐らく、こうなってしまうのが現実だ。現実と余計な知識がカリーナに重く圧し掛かり、少女の幼気な夢を押しつぶす。だけどもしと口を開けば「モニカだけでも」と、結局其処に自分は居ないのだ。
「それは素敵な夢だね、その時はお姉ちゃんも連れて行って欲しいな」
そう言って社交辞令な笑みを浮かべた。飽く迄モニカの夢を壊すわけにはいかない。もし本当にその時が来たら、きっと自分は快く彼女を送り出そう。そんな風に思い必死に叫ぶ心を黙らせた。
「見てて!」
モニカはそんな姉を他所に、無邪気にディアとルクに特技を披露する。モニカが手を突き出して目を瞑る。すると、風が揺らいだ。それは偶々その瞬間に風が吹いたというわけではない。流れ込んだ風が不自然にモニカへと収束し、薔薇の花弁と落葉を巻き込み小さなつむじ風を生んだ。そしてモニカが手を振るうとその風はモニカの意志に従い辺りを吹き抜ける。それは紛れもなく魔法だった。
「おぉ凄いよモニカ!」
「モニカは本当に魔法が使えるんだな!」
無邪気にモニカを褒めるディアとルクを他所に、カリーナは一人、信じられない物を見たかの様な表情だった。
「そんな・・・」
「どう?お姉ちゃん!凄いでしょ!」
水辺に飛び込んだ時の様に、周りの音が遠くなる。それは一瞬で深い水底へと自分を誘い、どうしようもない孤独が己を駆り立てる。
「・・・どうして?」
カリーナは言葉を零す。カリーナの記憶が正しければ、魔法とは例えどんなに魔力に富んでいても、使い方を教わらなければ意味がない。誰に教わった訳でも無く、感覚で魔法を使うモニカは正しく〝天才〟の素養だった。
そしてそれはカリーナには無い才能。母に教えて貰ったが点で駄目だった日々が脳裏に過る。それと同時に溢れ出そうになる嫉妬心が彼女の胸を苛んで止まない。何も持っていない自分と沢山を持つモニカ。心の中の自分がどうして私ばっかりと、問い掛けてくる。
「・・・凄いね。お姉ちゃんには・・・できないや」
嗚呼、きっとこの子は夢を叶えられるだろう。そんな味わいたくも無い、見付けたくも無かった羨望が今更胸に蔓延る。私はきっとこの子を生かし成長させるために生まれて来た肥料に過ぎないんだ。そんな風に思ってしまう。思ってしまえた。そう思えば楽になれて、諦めでまた自分を殺す事が出来る。そんな風に思った時だった。
「カリーナの夢は、何?」
そう問い掛けてきたのはディアだった。ディアは真っ直ぐとカリーナを見つめ、まるで自分が苦しんでいるのを解っているかの様に優しく問い掛ける。その問いは今のカリーナには慈雨の様でもあり、同時に痛くもあった。
「・・・わかんないや。ごめんね」
そう言って笑って誤魔化した。だが、本当にわからなかった。夢を視ても仕方が無い。自分はこのまま一生此処で身を費やして・・・そんな言葉ばかりが胸に流行る。
「なら」
「なら、僕と一緒だね。」
しかし、ディアはそれに共感した。「一緒だね。」というそのたった一言は何故かカリーナの胸に深く突き刺さる。きっと見ている物も見えている物も違う。だがその一言はカリーナの心を満たすのに充分だった。胸の痛みが消えて、代わりに込み上げてきた胸の熱さが溢れ出て、涙が自然と零れ落ちた。
「え・・・?」
カリーナは困惑した様子で自分の目元を拭った。頬を伝った涙は温かく、両親が死んだときに流した涙とは全く違うもので、涙だというのに心が軽くなった気がした。
「カ、カリーナ⁉どうして泣いて・・・」
ディアはカリーナの涙を見て思わず困惑と不安を隠せずにたじろいでしまう。するとそれを見たルクはディアを指差してモニカにディアを告発する。
「うわ!ディアがカリーナ泣かせた!」
「ディア酷い!お姉ちゃんを虐めないで!」
「い、虐めてないよ!虐めてない!」
二人から浴びせられた言葉にディアは必死に弁明をする。カリーナは思わずその光景に吹き出した。
「もう!二人とも!ディアくんはそんなことしないよ!目にゴミが入っただけなんだから」
そういって自然と笑った。自然と笑えた。その様子を見てディアは安堵のため息を零すと、モニカとルクに向き直る。
「ほら~!虐めてないじゃん!怒ったからな!」
そういってディアはルクとモニカに抗議する様にジっと睨むと一歩、一歩と強い足取りで歩み寄る。そして「ウワー!」と大声を出して彼等に捕まえようと両手を広げた。
「うわ、逃げろ!」
「キャー!虐められる~!!」
喜々とした声で彼等はディアから逃げ回り、追い掛け回す。その温かい光景は夕暮れの空の下、鐘が鳴り響くまで続いていった。カリーナは一人走り回る彼等を見て何処か言葉に使用も無い愛おしさを覚え、それと同時に、「ありがとう、ディアくん」と救われた心の中身を呟いた。夢が無い事も、モニカで手一杯だった心も、彼と出会ったあの日から独りでは無くなったのだ。独りじゃない胸の温かさをカリーナは噛み締める。そして
カランカランと鐘が鳴り、楽しい時間が終わりを告げた。
「あ、もう終わりか」
「えぇ~!まだ遊びたい~!」
楽しい時間は彼等にとっては一瞬だった。まだまだ遊び足りないモニカは不満げに唸る。しかし決まりは決まりだ。門限を破れば怒られるのはみんな同じ事だった。
「ほら、帰ろう、モニカ」
そう言ってカリーナが手を差し出すと、モニカはその手を握る。モニカの手をカリーナは優しく握り返すと、その温かな鼓動が手を通して伝わって来た。あんな感情に囚われたのに、この指先は今でも優しく温かい。大丈夫、自分はちゃんとモニカを愛している。そんな実感は確かに存在し、カリーナは安堵した。
「それじゃあ僕達も帰るよ。また明日」
「待ってディアくん!」
去ろうとするディアをカリーナが呼び止める。ディアは歩みを止めて、ゆっくりと振り返る。すると黄昏とカリーナが重なって見えた。その紅い髪が夕焼けに照らされて美しく照り返し、彼女の蒼い瞳は陰りも無く幻想的な美しさを讃える。それは一枚の絵画の様に世界に二人だけしかいない様な気分にさせ、ディアの心臓に早鐘を打たせた。もしこの世界に天使を知る人がいたら彼女を天使と見間違うに違いないだろう。風がそよいで二人を撫でた。
「ねえ、一緒に、夢、見付けよう?」
カリーナはそう言って心から微笑んだ。ディアはその光景に見惚れて頷く事しか出来なかった。カリーナはディアが頷いたのを見ると自分の小指とディアの小指を絡ませる。
「じゃあ、約束ね?」
「・・・うん。約束だね」
ディアは自ら指先を絡め、二人は指切りをした。するりとカリーナの指がほぐれると、カリーナは「また明日ね」とディアに手を振る。ディアはぼんやりと小指を立てたまま去って行くカリーナとモニカの背中を見送る事しか出来なかった。
「なんだ!なんだそれは!」
そんな彼らのやり取りを遠くから眺めている人物がいた。彼は激高した様子で壁に拳を叩きつける。
「カリーナくんのなんなんだお前は!あんなに親しげに!私にすら向けた事の無い表情を!あんな、あんな薄汚れたガキに!」
その男は錬金術師のカニスだった。カニスはカリーナとディアのやり取りの一部始終を覗いていたのだ。彼は二人の間の絆に心を深く痛めていた。それは無理もない。歪ながらも彼はカリーナに恋をしているのだから。
「嗚呼!カリーナ!カリーナ!どうしてその顔を私に見せないんだ!嗚呼!私ならもっと君を幸せにできるのに!何故何故!」
彼は吠え叫ぶ。その咆哮は身勝手な遠吠えに過ぎないものだが、彼にとっては慟哭だった。彼はモニカと楽しげに去って行くカリーナを見て一人嫉妬の炎を燃やし尽くす。それは身をも焦がしてしまいそうな程、熱く、歪で、恐ろしいものだった。
「あのガキ・・・!誰の女に手を出したか、絶対に後悔させてやる!彼女は私と幸せになるべき人なのだ!」
そう言ってカニスは怒りに燃えながら踵を返しその場を去る。
飽くなき劣情と邪悪な指先が、今、紅い薔薇を穢そうとしていた。そしてその手は決して一つでは無い。誰もが薔薇を求め、手を伸ばした。その渇望の指先は花の事など知りもせず。また理解しようともしなかった。
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