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17.緑の瞳を持つ友達
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レスターからアルマの母親についての連絡がないまま、冬はみるみるうちに深まり、石造りの寒々しい砦を雪で覆いつくしていった。ひとしきり走り回った馬が厩舎に戻ると、体から湯気が湧き出る季節である。
居住館の裏に積んでいた薪も、瞬く間に消費していく。アルマは毛皮の外套を着込み、食料庫からせっせと塩漬けの魚や、小麦の袋などを調理場へ運び込んでいた。
カルナはここ最近、ドルシーに砦を任せて、どこかへ行くことが多く、五日ほど顔を合わせないことも増えた。そして帰ってくると決まって、大量に食事を取り、毛布に埋もれるようにして丸二日、こんこんと眠り続ける。
一度、出かけている間になにをしているのか聞いてみたことはあるものの、いまいち的を得ない回答ばかりで、暗にはぐらかされていることを悟った。
あらかた必要な食材を運び終えて、一息つく。かなりの重労働で、ドルシーに手伝ってもらったこともあるが、口のきけない人間を一方的に使役している感覚が強く、罪悪感が押し寄せるので、以来、一人でやることにしている。
ひと仕事終えた後の時間が、アルマは好きだ。山羊の乳をぐらぐら温めて、匙にほんのひとすくいの蜂蜜を垂らす。
墓地にいた頃にはなじみのなかった食材も、いまではアルマの生活に彩りを与える重要なものとなっている。贅沢な昏しに慣れきったわけではないが、墓地での暮らしをもう一度、淡々と過ごせるかは怪しかった。
パン種の発酵を見守りながら、日課である字の練習をしていると、音もなく居住館の扉が開け放たれた。
驚きと一瞬の冷気に身を竦ませるが、入ってきたのがカルナだと気づき、ペンを下ろす。
「おかえりなさい、カルナさん」
駆け寄って雪で濡れた外套を受け取ろうとし、もぞもぞと動く物体と目が合う。
カルナは小脇に、真っ白な猫を抱えていた。
「あら、野良猫ですか?」
言いながら、ひょいと猫を持ち上げる。成猫のようだが大人しく、曇りのない緑の瞳が美しい。
「屋敷の中庭に棲みついていたのを拾ってきた。ネズミを脅かすのに、ちょうどいいだろ」
「調理場の番犬? 番猫? ってことですね。可愛いし、なにより役に立ってくれそうです」
そっと手の甲で頭を撫でると、緑の瞳を細めてゴロゴロと喉を鳴らす。警戒心のなさが愛らしい。
中庭に棲んでいたということは、野良猫みたいだが、そのわりには毛艶がよく、人に可愛がられることに慣れているようだ。
「お前の犬、の代わりにはならないかもしれないが……」
「え?」
「お前が心を許せる相手が、増えればいいと、思う」
やけに歯切れが悪く、そして片言でカルナはそう言い切った。
「俺も近頃はここを空けることが多い。ドルシーもいるが、万が一のときに役に立つ駒は多い方がいいからな」
アルマの腕にだらりと身を預ける猫は、とてもじゃないがネズミ退治以外で役に立つ場面があるとは思えない。
しかし、カルナなりにアルマを心配しての行動だと思うと、心がほわりと温かくなった。
言いたいことは終わったのか、カルナがアルマの横をすり抜けようとする。その時、カルナの首筋にきらりと光るものを見つけ、思わず手を伸ばした。
「カルナさん、なにかついていますよ」
断りを入れてから、光るものをひょいと摘まむ。皮膚が剥がれるような感触があったものの、それはあっさりと取れて、アルマの指先についてきた。
光にかざしてみると、かすかにグレーがかった鱗のようなもので、魚の鱗よりもかなり大きい。光に反射して、きらきらとランダムに輝きを振りまいている。手のひらに乗せると、グレーが濃くなり、より存在感を増した。
カルナは一体どこへ出かけて、こんな大きな鱗を持ち帰ってきたのだろう?
本人に聞いてみようと顔を上げると、カルナはアルマを見つめたまま、無表情で凍りついていた。アルマが見ていることに気づき、その視線はアルマの手に乗せられた薄氷のような鱗に向けられる。
カルナは一瞬だけ、いたずらがばれて怒られた時のような、ばつの悪い顔をした。
「それはお前が持っていいものじゃない」
返却を催促するように、カルナが手のひらを差し出す。
「これは?」
カルナの手のひらに鱗を乗せながら聞く。短く「俺の一部だ」と返ってきた。
カルナの手に乗せられた鱗は、たちまち青白い炎に包まれ、ゆっくりと燃え尽きた。あとには真っ黒に焼け焦げた欠片だけが残る。
まるで魔法だった。なにもないところから炎が生まれ、カルナの手を焼くことなく、鱗だけを焼き尽くす。
手のひらに残った燃えかすを払って、カルナは疑問を浮かべるアルマに向き直った。
「竜から人に戻る時、たまに鱗が残んだよ。魔術の材料になるとかなんとかで、高値で取引されているらしい」
「カルナさん、竜になるんですか?」
「はぁ? お前、ほんとに人の話聞いてないよな」
「い、いえ、そういうわけは……ただ、本当に竜になるんだと思ったら、びっくりして」
「お前信じてないな?」
カルナの燃えるように紅い瞳が、ぎろりとアルマを睨む。アルマは慌てて首を振った。
しかし、竜をこの目で見たことがあるわけがないので、どこか空想上の生物だと思っている部分もある。
それにアルマの知るカルナは、よく食べてよく眠る、普通の人間だ。生肉を好んで食べるところは、人間らしくないと言えるが、日常生活の上ではカルナより、ドルシーの方が人間らしくないと思うことが多い。
「いつか、竜になるところを見せてやるよ」
カルナはそれだけ言って、ひらひらと手を振りながら二階へ消えていった。
残されたアルマは腕に抱えた真っ白な猫と顔を見合わせる。アルマと同じ目の色をした猫は、その顔に似合わないほど低い声で、にゃあと一鳴きした。
「カルナさんも帰って来たし、ご飯作ろうか。そうだ、あなたの名前も決めないと。お屋敷でつけられた名前はある?」
返事をするはずがないと分かっていても、アルマはお構いなしに猫に向かって話しかける。
猫はアルマの腕からひらりと下りて、毛皮の敷物の上に寝そべった。アルマが声をかけると、尻尾がぱたぱたと動いて、いちおう返事をしているつもりらしい。
その仕草が強烈にステラのことを思い出させ、鼻の奥がツンとした。
アルマは得るものが少ない分、失うものも、ほとんどなかった。しかし母親とステラ、二つの大きな喪失が、アルマの心に消えない傷として刻み込まれている。母親の安否は分からないが、いまさら自分の元に戻ってくるとは思えなかった。
カルナがアルマのために連れてきてくれた猫は、環境の変化を気にせず優雅に毛づくろいをしている。適応能力の高さに、感心する。
この砦の猫としてふさわしい名前をつけてあげよう。そう決意するものの、ふと思いとどまる。
「そういえば、この子、男の子? 女の子?」
居住館の裏に積んでいた薪も、瞬く間に消費していく。アルマは毛皮の外套を着込み、食料庫からせっせと塩漬けの魚や、小麦の袋などを調理場へ運び込んでいた。
カルナはここ最近、ドルシーに砦を任せて、どこかへ行くことが多く、五日ほど顔を合わせないことも増えた。そして帰ってくると決まって、大量に食事を取り、毛布に埋もれるようにして丸二日、こんこんと眠り続ける。
一度、出かけている間になにをしているのか聞いてみたことはあるものの、いまいち的を得ない回答ばかりで、暗にはぐらかされていることを悟った。
あらかた必要な食材を運び終えて、一息つく。かなりの重労働で、ドルシーに手伝ってもらったこともあるが、口のきけない人間を一方的に使役している感覚が強く、罪悪感が押し寄せるので、以来、一人でやることにしている。
ひと仕事終えた後の時間が、アルマは好きだ。山羊の乳をぐらぐら温めて、匙にほんのひとすくいの蜂蜜を垂らす。
墓地にいた頃にはなじみのなかった食材も、いまではアルマの生活に彩りを与える重要なものとなっている。贅沢な昏しに慣れきったわけではないが、墓地での暮らしをもう一度、淡々と過ごせるかは怪しかった。
パン種の発酵を見守りながら、日課である字の練習をしていると、音もなく居住館の扉が開け放たれた。
驚きと一瞬の冷気に身を竦ませるが、入ってきたのがカルナだと気づき、ペンを下ろす。
「おかえりなさい、カルナさん」
駆け寄って雪で濡れた外套を受け取ろうとし、もぞもぞと動く物体と目が合う。
カルナは小脇に、真っ白な猫を抱えていた。
「あら、野良猫ですか?」
言いながら、ひょいと猫を持ち上げる。成猫のようだが大人しく、曇りのない緑の瞳が美しい。
「屋敷の中庭に棲みついていたのを拾ってきた。ネズミを脅かすのに、ちょうどいいだろ」
「調理場の番犬? 番猫? ってことですね。可愛いし、なにより役に立ってくれそうです」
そっと手の甲で頭を撫でると、緑の瞳を細めてゴロゴロと喉を鳴らす。警戒心のなさが愛らしい。
中庭に棲んでいたということは、野良猫みたいだが、そのわりには毛艶がよく、人に可愛がられることに慣れているようだ。
「お前の犬、の代わりにはならないかもしれないが……」
「え?」
「お前が心を許せる相手が、増えればいいと、思う」
やけに歯切れが悪く、そして片言でカルナはそう言い切った。
「俺も近頃はここを空けることが多い。ドルシーもいるが、万が一のときに役に立つ駒は多い方がいいからな」
アルマの腕にだらりと身を預ける猫は、とてもじゃないがネズミ退治以外で役に立つ場面があるとは思えない。
しかし、カルナなりにアルマを心配しての行動だと思うと、心がほわりと温かくなった。
言いたいことは終わったのか、カルナがアルマの横をすり抜けようとする。その時、カルナの首筋にきらりと光るものを見つけ、思わず手を伸ばした。
「カルナさん、なにかついていますよ」
断りを入れてから、光るものをひょいと摘まむ。皮膚が剥がれるような感触があったものの、それはあっさりと取れて、アルマの指先についてきた。
光にかざしてみると、かすかにグレーがかった鱗のようなもので、魚の鱗よりもかなり大きい。光に反射して、きらきらとランダムに輝きを振りまいている。手のひらに乗せると、グレーが濃くなり、より存在感を増した。
カルナは一体どこへ出かけて、こんな大きな鱗を持ち帰ってきたのだろう?
本人に聞いてみようと顔を上げると、カルナはアルマを見つめたまま、無表情で凍りついていた。アルマが見ていることに気づき、その視線はアルマの手に乗せられた薄氷のような鱗に向けられる。
カルナは一瞬だけ、いたずらがばれて怒られた時のような、ばつの悪い顔をした。
「それはお前が持っていいものじゃない」
返却を催促するように、カルナが手のひらを差し出す。
「これは?」
カルナの手のひらに鱗を乗せながら聞く。短く「俺の一部だ」と返ってきた。
カルナの手に乗せられた鱗は、たちまち青白い炎に包まれ、ゆっくりと燃え尽きた。あとには真っ黒に焼け焦げた欠片だけが残る。
まるで魔法だった。なにもないところから炎が生まれ、カルナの手を焼くことなく、鱗だけを焼き尽くす。
手のひらに残った燃えかすを払って、カルナは疑問を浮かべるアルマに向き直った。
「竜から人に戻る時、たまに鱗が残んだよ。魔術の材料になるとかなんとかで、高値で取引されているらしい」
「カルナさん、竜になるんですか?」
「はぁ? お前、ほんとに人の話聞いてないよな」
「い、いえ、そういうわけは……ただ、本当に竜になるんだと思ったら、びっくりして」
「お前信じてないな?」
カルナの燃えるように紅い瞳が、ぎろりとアルマを睨む。アルマは慌てて首を振った。
しかし、竜をこの目で見たことがあるわけがないので、どこか空想上の生物だと思っている部分もある。
それにアルマの知るカルナは、よく食べてよく眠る、普通の人間だ。生肉を好んで食べるところは、人間らしくないと言えるが、日常生活の上ではカルナより、ドルシーの方が人間らしくないと思うことが多い。
「いつか、竜になるところを見せてやるよ」
カルナはそれだけ言って、ひらひらと手を振りながら二階へ消えていった。
残されたアルマは腕に抱えた真っ白な猫と顔を見合わせる。アルマと同じ目の色をした猫は、その顔に似合わないほど低い声で、にゃあと一鳴きした。
「カルナさんも帰って来たし、ご飯作ろうか。そうだ、あなたの名前も決めないと。お屋敷でつけられた名前はある?」
返事をするはずがないと分かっていても、アルマはお構いなしに猫に向かって話しかける。
猫はアルマの腕からひらりと下りて、毛皮の敷物の上に寝そべった。アルマが声をかけると、尻尾がぱたぱたと動いて、いちおう返事をしているつもりらしい。
その仕草が強烈にステラのことを思い出させ、鼻の奥がツンとした。
アルマは得るものが少ない分、失うものも、ほとんどなかった。しかし母親とステラ、二つの大きな喪失が、アルマの心に消えない傷として刻み込まれている。母親の安否は分からないが、いまさら自分の元に戻ってくるとは思えなかった。
カルナがアルマのために連れてきてくれた猫は、環境の変化を気にせず優雅に毛づくろいをしている。適応能力の高さに、感心する。
この砦の猫としてふさわしい名前をつけてあげよう。そう決意するものの、ふと思いとどまる。
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