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プロローグ
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自動小銃を握る手が、細かく震える。手のひらに吹き出した冷や汗は装備品の手袋に吸われて、じっとりと重たい感覚すらある。
ハロウィンの喧騒は遠く、まるでここだけ世界が切り取られ、別の場所へと移動させられたようだ。これが夢であれば、これほど嬉しいことはない。無線からは逼迫した指示が飛んでくる。大きく息を吸う。
「どうしたの? 早く撃ってくれないと――」
相手が、こちらにぴたりと照準を合わせてくる。38口径の回転式拳銃。どこかで警察官から奪ったのだろうか。およそ一般人が手にしていい代物ではない。警察官相手に銃を向けているのだから、もう一般人とは呼べないのかもしれないが。
『こっちからじゃ本部長との距離が近すぎて撃てない!』
『最悪、殺しても構わん! とにかく本部長を守れ! いざという時はお前が盾になるんだ、いいな!?』
こちらの緊張など知らないように、無線は適当な指示ばかり飛ばしてくる。いっそインカムを引き抜きたかったが、装備が邪魔をして取れない。それに、銃から手を離すわけにはいかない。
一瞬、目が合った。こちらに照準を合わせたまま、かすかに唇を吊り上げる。それが笑顔だと気づいた時、ぞくりと肌が粟立ち、そしていくつもの思い出が頭の中を駆け抜けていった。
「俺、は……」
撃てるだろう、俺。たとえそれが、自分が想いを寄せた人であっても。私情を挟むな。だって俺は、正義の味方になりたかったのだから――。
ハロウィンの喧騒は遠く、まるでここだけ世界が切り取られ、別の場所へと移動させられたようだ。これが夢であれば、これほど嬉しいことはない。無線からは逼迫した指示が飛んでくる。大きく息を吸う。
「どうしたの? 早く撃ってくれないと――」
相手が、こちらにぴたりと照準を合わせてくる。38口径の回転式拳銃。どこかで警察官から奪ったのだろうか。およそ一般人が手にしていい代物ではない。警察官相手に銃を向けているのだから、もう一般人とは呼べないのかもしれないが。
『こっちからじゃ本部長との距離が近すぎて撃てない!』
『最悪、殺しても構わん! とにかく本部長を守れ! いざという時はお前が盾になるんだ、いいな!?』
こちらの緊張など知らないように、無線は適当な指示ばかり飛ばしてくる。いっそインカムを引き抜きたかったが、装備が邪魔をして取れない。それに、銃から手を離すわけにはいかない。
一瞬、目が合った。こちらに照準を合わせたまま、かすかに唇を吊り上げる。それが笑顔だと気づいた時、ぞくりと肌が粟立ち、そしていくつもの思い出が頭の中を駆け抜けていった。
「俺、は……」
撃てるだろう、俺。たとえそれが、自分が想いを寄せた人であっても。私情を挟むな。だって俺は、正義の味方になりたかったのだから――。
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