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オーストラリア奪還計画
第二十話「八対一」
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この竜型の巨大生物と戦う上で抑えておかなければ行けないポイントがある。見るにあの巨大生物には頭が八つあり、それぞれに脳があると思われる。その脳の大きさは図体に比例して神崎定進よりも大きい脳が入っているだろう。知能の高さとそれぞれの頭がそれぞれ別に考えで動くのなら建造物並の化け物と実質八対一となる。
加えて、神崎定進は地図等の情報でこの周囲の地形情報は記憶しているが、実際に訪れるのは初めてであり、人類の居ない二十年で随分と変わってもいる。その中で戦闘範囲も広域となると能力使用に使われる思考の範囲も広くなる。有象無象ではあるが他の巨大生物の攻撃にも目を向けながらとなるとさらに骨が折れる。
「そこまで数は多くないが、雑魚を処理する時間も無いだろうな。全部いっぺんにやるしかないか」
他の巨大生物の射程に入らない空中から攻撃を仕掛けて巻き添えを狙う。竜も一切周りの虫たちを巻き込まずに攻撃は不可能だろう。
ここまで大きい生物が相手だと有効打が分からない。神崎定進も探り探り攻撃して行くしかない。まずは天高くから無数の剣を生成して竜と周囲の巨大生物に向けて撃ち放つ。
この技の様に一度に大量の物を創り出すのには制限がある。創り出している剣は神崎定進自体がよくよく見て触って覚えた剣のみであり、この剣は生成して飛ばす為のものであるため鍔や柄もない簡素な造りになっている。この様に深く考え込まずとも想像できるものに限る。
もちろん機構が多くある構造が複雑な物体を生成する事も可能である。しかしそのためには時間を有する為、大量には生成できない。それにあまりそう言った物を生成すると世界からみた神崎定進の立場が変わる為半田冬に禁止されている。
常に自身の飛行を想像しながら相手との位置を把握しつつ攻撃用の武器の生成も行う。それは思考の領域の殆ど全てを支配して行える行為であり、今はどのみち複雑な物を作り出す余裕はない。
神崎定進が仕掛けた剣の攻撃は竜には届かない。その鱗に微かな傷をつけた程度で有効打にはなり得ない。別の手を考えなければならない。しかし、今までこの雑な攻撃で何とかなっていた為、この様な相手との戦闘は完全に想定外。
あの竜を構成する物質も分からない為、あの大きさでは氷漬けにする事も出来ない。それに、今攻撃した事で竜の意識は完全にこちらへ向いた。本格的な攻防が始まるだろう。
八つある首はそれぞれがどう動くかを完全に理解し合って攻撃してくる。知能が高度であると仮定するとある首の攻撃は別の首の攻撃へ誘導する為の囮である可能性も出てくる。近距離下で飛行と転移を組み合わせて避けつつ相手の様子を伺って打開策を考えるしかない。
幸い竜が繰り出してくる攻撃は特殊なものではなかった。速度は早いが単純な噛み付いてきたり、撃ち落とすために首を打ち付けてくる様なものばかり、連携を取ってはいるがテレポートには対応できていない。
まだ余裕はあると思っていた所に。
「先輩!大丈夫ですか?」
突如として津田穂月の声が響く。その声に反応して振り返る。津田穂月が一人でここまで来れるわけもなく、見た事がある人影がいた。アリシアとネメ、彼等の班員らしき人物と一緒にいる。立っている位置は竜の攻撃射程圏内。あの班は消失、光線、風翼、騎士そして、アリシアは無能力者らしい。どの程度の能力者か確認もしていないため、竜の攻撃を阻止できる保証もない。
「余計なタスクが増えたな」
意識が、ほんの一瞬吸われただけだった。しかしその一瞬の油断が命取りになる。
「危ない!」
アリシアの叫びが空に響く。その頃には神崎定進も自分がどうなったのか理解出来た。竜は神崎定進を叩きつける。咄嗟に目の前の空間の空気抵抗を増大させる。しかし質量が大きすぎる為防ぎきれずに衝突する。
それを見ていた津田穂月とアリシア達は苦しい表情を浮かべていた。
「先輩!」
息を着く間もなく津田穂月が神崎定進が落ちていく方へと走り出す。
受けたダメージの回復をしつつ飛行を行うのは不可能。背後にある空間の空気抵抗を増大させいき、できる限り速度を低下させていく。それでも衝撃で意識が薄れていく中では上手くはいかない。
神崎定進の意識は完全に消えた。
加えて、神崎定進は地図等の情報でこの周囲の地形情報は記憶しているが、実際に訪れるのは初めてであり、人類の居ない二十年で随分と変わってもいる。その中で戦闘範囲も広域となると能力使用に使われる思考の範囲も広くなる。有象無象ではあるが他の巨大生物の攻撃にも目を向けながらとなるとさらに骨が折れる。
「そこまで数は多くないが、雑魚を処理する時間も無いだろうな。全部いっぺんにやるしかないか」
他の巨大生物の射程に入らない空中から攻撃を仕掛けて巻き添えを狙う。竜も一切周りの虫たちを巻き込まずに攻撃は不可能だろう。
ここまで大きい生物が相手だと有効打が分からない。神崎定進も探り探り攻撃して行くしかない。まずは天高くから無数の剣を生成して竜と周囲の巨大生物に向けて撃ち放つ。
この技の様に一度に大量の物を創り出すのには制限がある。創り出している剣は神崎定進自体がよくよく見て触って覚えた剣のみであり、この剣は生成して飛ばす為のものであるため鍔や柄もない簡素な造りになっている。この様に深く考え込まずとも想像できるものに限る。
もちろん機構が多くある構造が複雑な物体を生成する事も可能である。しかしそのためには時間を有する為、大量には生成できない。それにあまりそう言った物を生成すると世界からみた神崎定進の立場が変わる為半田冬に禁止されている。
常に自身の飛行を想像しながら相手との位置を把握しつつ攻撃用の武器の生成も行う。それは思考の領域の殆ど全てを支配して行える行為であり、今はどのみち複雑な物を作り出す余裕はない。
神崎定進が仕掛けた剣の攻撃は竜には届かない。その鱗に微かな傷をつけた程度で有効打にはなり得ない。別の手を考えなければならない。しかし、今までこの雑な攻撃で何とかなっていた為、この様な相手との戦闘は完全に想定外。
あの竜を構成する物質も分からない為、あの大きさでは氷漬けにする事も出来ない。それに、今攻撃した事で竜の意識は完全にこちらへ向いた。本格的な攻防が始まるだろう。
八つある首はそれぞれがどう動くかを完全に理解し合って攻撃してくる。知能が高度であると仮定するとある首の攻撃は別の首の攻撃へ誘導する為の囮である可能性も出てくる。近距離下で飛行と転移を組み合わせて避けつつ相手の様子を伺って打開策を考えるしかない。
幸い竜が繰り出してくる攻撃は特殊なものではなかった。速度は早いが単純な噛み付いてきたり、撃ち落とすために首を打ち付けてくる様なものばかり、連携を取ってはいるがテレポートには対応できていない。
まだ余裕はあると思っていた所に。
「先輩!大丈夫ですか?」
突如として津田穂月の声が響く。その声に反応して振り返る。津田穂月が一人でここまで来れるわけもなく、見た事がある人影がいた。アリシアとネメ、彼等の班員らしき人物と一緒にいる。立っている位置は竜の攻撃射程圏内。あの班は消失、光線、風翼、騎士そして、アリシアは無能力者らしい。どの程度の能力者か確認もしていないため、竜の攻撃を阻止できる保証もない。
「余計なタスクが増えたな」
意識が、ほんの一瞬吸われただけだった。しかしその一瞬の油断が命取りになる。
「危ない!」
アリシアの叫びが空に響く。その頃には神崎定進も自分がどうなったのか理解出来た。竜は神崎定進を叩きつける。咄嗟に目の前の空間の空気抵抗を増大させる。しかし質量が大きすぎる為防ぎきれずに衝突する。
それを見ていた津田穂月とアリシア達は苦しい表情を浮かべていた。
「先輩!」
息を着く間もなく津田穂月が神崎定進が落ちていく方へと走り出す。
受けたダメージの回復をしつつ飛行を行うのは不可能。背後にある空間の空気抵抗を増大させいき、できる限り速度を低下させていく。それでも衝撃で意識が薄れていく中では上手くはいかない。
神崎定進の意識は完全に消えた。
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