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オーストラリア奪還計画
第十一話「部屋割り」
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神崎定進と津田穂月の二人はそれぞれの携帯電話に自身の部屋の番号が送られてきた。今使われている携帯電話は従来の物が更に進化したものであり、部屋の鍵の機能や、学生証等の身分証等も全てこの携帯電話にインストールされている。
「先輩の部屋は何号室ですか?確か二人一部屋でしたよね?私は誰と一緒の部屋になるのでしょうか」
津田穂月は特にそれを気にしていた。一年生は彼女以外全員が日本に待機している為、同部屋になる人が先輩であるのは確定している。
神崎定進の為に用意された部屋は五番の部屋である。彼の他にも一桁代の部屋は毎日の会議等の為に重要な立場に置ける人物の部屋だ。
「元々穂月達一年生はこのオーストラリア奪還計画に参加する予定がなかった。だから俺と同じ五番部屋だ。」
それを聞いた津田穂月は驚いた。自分と相部屋になるのが他の女子生徒ではなく神崎定進である。まずは知らない相手ではないので気まずい空気になる事は無い喜びと、異性と同部屋になる不安があった。
「先輩と一緒で良かった様な気もすれば、異性と同部屋と言うのには抵抗もあります…」
神崎定進は昔からよく姉に捕まって一緒に添い寝を強要されていた事もあり、女子と同じ部屋で過ごす事には慣れているが、基本的に異性と部屋を別ける常識は理解しており、彼女に抵抗がある事も分かっていた。
「そうなる事は分かっていたから、幻想で部屋の内装を変更しようと思ってる」
神崎定進には部屋に敷居を置く事もできる。そうすれば多少は問題が改善されるだろうと思っていた。
「先輩なら、別に大丈夫です」
着替え等はシャワー横の更衣室に行けば良いだろう。神崎定進は見ていても異性に興味がある様には思えない。ありふれたお話にあるようなみんなの為に頑張る主人公みたいな性格がそれを裏付ける。
「俺ならいいって事は、俺には何か理由があるのか?」
自分と他者の違いについての把握は半田冬に言われた人物像を演じる上で必要な要項であり、誰からの印象も必要な物だ。
「なんて言うか、先輩は女の子に興味無さそうな気がしたので」
その言葉の意味を神崎定進はすぐに理解した。そして、その言葉の通りだった。
「確かに、俺は異性にも恋愛とかにも興味はないな。俺には従姉がいて、それにベタベタされたお陰で女子の裏みたいなのを見たからかも知れないな」
神崎定進の従姉の神崎御幸は幼い頃に両親を喪ってしまっていた。それを引き取ったのが誰に対しても優しいと評判の定進の両親だ。そんな事があり御幸は特に定進を可愛がっていた。
七歳離れた定進が物心つく頃には夜は御幸と一緒に寝ている様になっていた。しかし定進は次第に色々な事を覚えだして、強力な自分の能力を無闇矢鱈に使うべきでは無いと思い出した頃に、異性である御幸と寝る事を嫌がり始める。
そんな事はお構い無しに、御幸は毎日では無いものの定進が眠っているベッドに潜り込んだ。更には、法律があった頃にはいとこ同士は結婚できるらしいと言って、わざと定進が御幸の事を意識する様に仕向けて楽しんでいた。
周りの皆がそろそろ異性に興味を持ち始める頃、神崎定進は最早異性の身体は従姉ので見飽きる程見ており、あまり興味も無くなっていた。その為、告白された時にも「俺は全く恋愛には興味がないから」とその不完全燃焼ぶりを発揮していた。
そのまま半田冬と出会い、その従姉とは別れて暮らし始めて一年が経ったが、やはり異性に興味は出なかった。
「それに、もしそう言うのに興味が出たとしても、俺がこの世界に生まれて来た意味って言うのはこの地球を取り戻すためだから、俺は大陸の遥かな空をこの手にするまで恋愛とかはしないな」
神崎定進は能力を使う様になったが、それはあくまでも世界を取り戻すためにである。その厳格さは少しづつ薄れているのだが、本人はそれを貫いているつもりであった。
「なら、やっぱり先輩なら一緒の部屋で大丈夫ですよ。なんだか少しだけ私に魅力がないみたいで残念な気もしますが…ね」
最後の一文をどこまで深刻に捉えるかだが、神崎定進はそこまで深刻には捕えなかった。
「まぁ、でも穂月は可愛いんじゃないか」
自身だけの意見では真の回答は出ない。しかし神崎定進は津田穂月を一般的に見ても顔立ちの整っていて可愛いと考えているが、あくまでも主観を抜け出さない為に断言は出来なかった。しかしここで津田穂月にかけるべきは客観性を含めた意見ではなく、神崎定進の主観的意見であることを神崎定進は知らない。
「そうですか、ありがとうございます」
津田穂月は少し不服そうな顔ではあるが、既に神崎定進があまり主観的意見を述べない事を知っていた。
「じゃあ俺はこれから会議に行かないといけない。今日は皆食事をしてシャワーを浴びたら自室待機だな。まぁ俺もやる事が終わったら部屋に行くから。また後で」
そして神崎定進はゆっくりと艦内を進んでいった。津田穂月は神崎定進がいなくなった後、一人で行動をする。一通りやる事を済ませて一人自室待機をしていた。
一人でもやることはなく考え事をするのだが、改めて考えてしまうのは神崎定進と相部屋である事。神崎定進はその気は無いと言っていたがそれは未知であり、その気になることになったらどうなるのだろうか。怖いーーーそして神崎定進に対する信頼は砕け、残るのは嫌悪と軽蔑なのだろう。津田穂月は一人そんな事を考えてしまっていた。
「先輩の部屋は何号室ですか?確か二人一部屋でしたよね?私は誰と一緒の部屋になるのでしょうか」
津田穂月は特にそれを気にしていた。一年生は彼女以外全員が日本に待機している為、同部屋になる人が先輩であるのは確定している。
神崎定進の為に用意された部屋は五番の部屋である。彼の他にも一桁代の部屋は毎日の会議等の為に重要な立場に置ける人物の部屋だ。
「元々穂月達一年生はこのオーストラリア奪還計画に参加する予定がなかった。だから俺と同じ五番部屋だ。」
それを聞いた津田穂月は驚いた。自分と相部屋になるのが他の女子生徒ではなく神崎定進である。まずは知らない相手ではないので気まずい空気になる事は無い喜びと、異性と同部屋になる不安があった。
「先輩と一緒で良かった様な気もすれば、異性と同部屋と言うのには抵抗もあります…」
神崎定進は昔からよく姉に捕まって一緒に添い寝を強要されていた事もあり、女子と同じ部屋で過ごす事には慣れているが、基本的に異性と部屋を別ける常識は理解しており、彼女に抵抗がある事も分かっていた。
「そうなる事は分かっていたから、幻想で部屋の内装を変更しようと思ってる」
神崎定進には部屋に敷居を置く事もできる。そうすれば多少は問題が改善されるだろうと思っていた。
「先輩なら、別に大丈夫です」
着替え等はシャワー横の更衣室に行けば良いだろう。神崎定進は見ていても異性に興味がある様には思えない。ありふれたお話にあるようなみんなの為に頑張る主人公みたいな性格がそれを裏付ける。
「俺ならいいって事は、俺には何か理由があるのか?」
自分と他者の違いについての把握は半田冬に言われた人物像を演じる上で必要な要項であり、誰からの印象も必要な物だ。
「なんて言うか、先輩は女の子に興味無さそうな気がしたので」
その言葉の意味を神崎定進はすぐに理解した。そして、その言葉の通りだった。
「確かに、俺は異性にも恋愛とかにも興味はないな。俺には従姉がいて、それにベタベタされたお陰で女子の裏みたいなのを見たからかも知れないな」
神崎定進の従姉の神崎御幸は幼い頃に両親を喪ってしまっていた。それを引き取ったのが誰に対しても優しいと評判の定進の両親だ。そんな事があり御幸は特に定進を可愛がっていた。
七歳離れた定進が物心つく頃には夜は御幸と一緒に寝ている様になっていた。しかし定進は次第に色々な事を覚えだして、強力な自分の能力を無闇矢鱈に使うべきでは無いと思い出した頃に、異性である御幸と寝る事を嫌がり始める。
そんな事はお構い無しに、御幸は毎日では無いものの定進が眠っているベッドに潜り込んだ。更には、法律があった頃にはいとこ同士は結婚できるらしいと言って、わざと定進が御幸の事を意識する様に仕向けて楽しんでいた。
周りの皆がそろそろ異性に興味を持ち始める頃、神崎定進は最早異性の身体は従姉ので見飽きる程見ており、あまり興味も無くなっていた。その為、告白された時にも「俺は全く恋愛には興味がないから」とその不完全燃焼ぶりを発揮していた。
そのまま半田冬と出会い、その従姉とは別れて暮らし始めて一年が経ったが、やはり異性に興味は出なかった。
「それに、もしそう言うのに興味が出たとしても、俺がこの世界に生まれて来た意味って言うのはこの地球を取り戻すためだから、俺は大陸の遥かな空をこの手にするまで恋愛とかはしないな」
神崎定進は能力を使う様になったが、それはあくまでも世界を取り戻すためにである。その厳格さは少しづつ薄れているのだが、本人はそれを貫いているつもりであった。
「なら、やっぱり先輩なら一緒の部屋で大丈夫ですよ。なんだか少しだけ私に魅力がないみたいで残念な気もしますが…ね」
最後の一文をどこまで深刻に捉えるかだが、神崎定進はそこまで深刻には捕えなかった。
「まぁ、でも穂月は可愛いんじゃないか」
自身だけの意見では真の回答は出ない。しかし神崎定進は津田穂月を一般的に見ても顔立ちの整っていて可愛いと考えているが、あくまでも主観を抜け出さない為に断言は出来なかった。しかしここで津田穂月にかけるべきは客観性を含めた意見ではなく、神崎定進の主観的意見であることを神崎定進は知らない。
「そうですか、ありがとうございます」
津田穂月は少し不服そうな顔ではあるが、既に神崎定進があまり主観的意見を述べない事を知っていた。
「じゃあ俺はこれから会議に行かないといけない。今日は皆食事をしてシャワーを浴びたら自室待機だな。まぁ俺もやる事が終わったら部屋に行くから。また後で」
そして神崎定進はゆっくりと艦内を進んでいった。津田穂月は神崎定進がいなくなった後、一人で行動をする。一通りやる事を済ませて一人自室待機をしていた。
一人でもやることはなく考え事をするのだが、改めて考えてしまうのは神崎定進と相部屋である事。神崎定進はその気は無いと言っていたがそれは未知であり、その気になることになったらどうなるのだろうか。怖いーーーそして神崎定進に対する信頼は砕け、残るのは嫌悪と軽蔑なのだろう。津田穂月は一人そんな事を考えてしまっていた。
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