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夏休み

体調不良

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屋城に言われた通りの間隔で、俺と清水さんは肝試しに出発する。

「そう言えば清水さんって怖いのは苦手か、それとも得意。どっちなのかな。」

二人で暗い夜道を歩きながら、俺はそう聞いてみた。

「全然得意ですよ。昔から兄が怖い話をしてくれたので。」

「へぇ、そうなんだね。」

呼春から吊り橋効果を狙おうと言われていたのに、全然怖いのが効果ない事が分かってしまった。

その後は、付かず離れずの距離で二人で、空気が美味しいねだとか、星がたくさん見えるね。そんな話をして肝試しではなくただの散歩をしていた。

「あれって、もしかして先に出た二人の明かりかな。」

俺はそう言って前方の小さな光に指さした。

「多分そうだと思いますよ。」

「ちょっとなにかあったかもしれないので見てこようと思う。」

そう言って懐中電灯を清水さんに渡して、俺はその光の方に走っていった。

その光の正体は、やはり先に出た二人の懐中電灯だった。

屋城が座り込んでいる。多分何かあったのは屋城の方だろう。

「どうしたんですか。」

「あぁ、屋城君が、体調不良みたいなの。」

「和人。ヤベェ、すげぇ気分悪い。助けてくれ。」

肝試しコースは三十分くらいで終わると、静海さんが教えてくれた。今はだいたい出発して二十分の地点だから、急げばそんなにかからないだろう。

「分かった。俺が背負って運ぶから少しの間我慢しとけ。」

「何があったのですか。」

そこに清水さんも到着する。

「緋茉莉先輩。後はお願いします。」

そう言って俺は屋城を背負い上げて走り出す。

「この後やる花火は俺達抜きでやってもらって大丈夫です。いないからしなかったってなるとこっちが気負いするので。」

とだけ走りながら伝えて、俺はその後振り返らずに真っ直ぐ走っていった。

肝試しコースとそこから施設への道、合わせて徒歩で二十分くらいの所を全力疾走を、しかも人を背負って行った訳で、施設についた頃には汗だくになっていた。

「和人。ほんとに言い難いんだけどさ。お腹痛かっただけなんだ。それに、必死に走ってたから言えなかったけど、もう治まってるんだ。」

「おい、マジか。あぁ、わかった俺はもう疲れたから、少し休んだら風呂に入る事にする。お前は戻ったらいいんじゃないか。」

「おう、一応トイレだけ行ったらみんなの所に戻る。」

そう言って屋城は俺を置いて走り出す。

あぁ、疲れたのに意味がなかった。
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