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二学期

一人の気持ち

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二学期になって半月ほぼ経ったある日の昼休み、呼春二人でお弁当を食べながら、部室に誰も来ていないと話した。

「て事は和くんは今毎日一人で部活してるって事?」

驚いた様子の呼春はさらに質問を続ける。

「どうしてあの二人は来なくなったの?」

清水さんのことは正直には言えない。折角あの日呼春と恋人になったのに、清水さんを放って来た事が知られれば呼春は多分その事を気にする。

「九頭竜先輩は他にやる事があるらしくて、清水さんは…清水さんも忙しくて部室には来れないって」

やはり本当の事は言えず咄嗟に嘘をついた。

「じゃあ、部室には私が行くから、これで一人じゃない。でも、部室には勉強しに行くだけだから、和くんは部活頑張って」

呼春は少し悲しそうな笑顔でそう言った。それを見て心が苦しくなる。

「それより、作ってくれたお弁当やっぱり美味しいね」

急いで話を切り替えても昼休みはそれ以降、少し悲しそうな様子は変わらなかった。

放課後、昼休みには嘘をついてしまったとは言え、いつも一人だった教室に呼春が来てくれるのはやはり嬉しかった。

「あぁ、久しぶりだなぁってやっぱり一人なんだね」

呼春は昼休みの時とは違い単純に嬉しそうに部室に入ってくる。

「そう言えば、昼休みはどうして悲しそうにしてたの?」

「私が一年生だった年の半分くらいはずっと一人で部活をしてたから寂しいのを思い出してた」

呼春が一年生で文芸部に入部した時には、清水翔と同い年の生徒は卒業しており、残っていた上級生は清水翔と同じ部活に入りたいという理由の者ばかりで、みんな直ぐに辞めてしまい、九頭竜緋茉莉が入部するまでは、結果一人で部活動をしていた。

みんながいなくなる寂しさも、一人で部活をする寂しさも鶯谷野呼春は知っていた。昼休みはそれを思い出していた。

「でも、掃除とかしていたら面白い物も見つけたので良かった事もありましたよ?」

自分の席から、呼春が一年生の時に書いていたお話の原稿用紙を取り出して見せる。

「もしかして、それ見たの?」

慌てた様子の呼春。

「あはは、とってもいいお話でしたよ?」

ニヤけが抑えられずにいた。

「あぁ、もう最悪だ。返して!返してくれないと帰るし、もう来ない!」

十分恥ずかしがる顔は見れた。大人しく原稿用紙を手渡しして、呼春が帰るのを免れた。
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