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#何もない世界#
ここはどこだろう...
真っ白な世界。
誰もいない世界。
ただ1人だけこの世に存在する。
なにも罪を犯したわけでもない。
誰かに殺されたわけでもない。
ある日突然、この世界にいた。
周りを見渡してもなにもない。
ただただ地平線を歩くだけの退屈な世界。
1つだけ疑問に思ったのだ。
そうそれはなぜここにいるのか。
なぜ俺だけがここにいるのか。
それは悲しくもつらい現実だったのだ。
ひたすら泣くだけだった。
この世界に来てしまうまでは俺は普通の日常を送っていた。普通と言っても、朝起きて、朝ご飯を食べて、学校に行って、勉強して、部活は入ってなかったからそのまま友達と帰って、家に着いたらご飯食べて、お風呂に入って、ゴロゴロして、眠たくなったら寝る。そんな日々を送っていたんだ。それなのになぜ俺はこんな世界に来てしまったのか、まったく見当もつかない。
特に、問題を起こしていたわけでもない、成績が悪いわけでもない、先生や親への態度が悪いわけでもない。なのになんでだろうか。
そのまま時が過ぎているのかもわからず、俺は悩みながら過ごしていた。
この世界は特殊だと思う。なぜなら走っても走っても行き止まりがない。ゴミ1つ落ちていない。木も草も生えていない。虫もいない。
さらに、走っても疲れない、永遠に走っていても多分、息が切れないと思う。時が経っているのかわからないが、腹も減らない。一生ここにいても、ご飯がなくても生きれる気がする。そんくらい不自由というほど不自由ではなかった。
だからと言ってこの世界を気に入ってるわけでもない。むしろ早く帰りたい。帰って寝たい。まぁこの世界だと寝なくても、1日中起きてても眠気なんて来ないんだけども。
#暇な世界#
誰もいないのにこんな広いだけの何もない世界で1人だけって考えると、
「暇すぎる」 なんてつい声に出てしまうほど暇すぎた。特にやることないし、暇つぶしの道具もゲームもないし、やることって言ったら、普通の世界に戻れる方法を考えたり、近くに扉ないか探したり~とか、少し歩いてゴール地点探したり~とか、そんくらいだけだった。というか俺は今まで過ごしてきた日常生活をしてきた世界に戻れるのか不安になってきた。
それにこれって親とか学校の先生や友達とかどう思ってるのかな。 俺がいなくて慌てたり、焦ったりしてないのかな。挙げ句の果てに行方不明で捜索されたりとかしてないのかな。
そう思うと早く戻りたいし、みんなに俺が行った何もない世界の事を説明して理解してもらいたい。多分、普通に言ったら誰も信じてくれないだろうし、夢としか思われないんだろうな。それでもみんなに理解してもらうためだったらいくらでも説明してやる!とりあえず今は普通の世界の戻り方を見つけるんだ。
こうして俺は、自分を奮い立たせ普通の世界への戻り方を探した。
#いた世界#
時間が経っているのかもわからずに、ひたすら戻る方法を探っていた。やっぱり何をやっても疲れないから永遠に身体を動かしていれる。こんなにも必死でなにかを探すのは、初めてかもしれない。そう思いつつ、1人で惨めに身体を動かす。
でもこれが普通の世界と繋がっているのなら、人がいてもいいくらいなのだが...ってことはまったく普通の世界と関係ないのか?よくわかんない世界に来てしまったというわけか。これじゃ刑務所の中より苦しいような気がする。不自由はないけど誰もいない中、1人だけでこんな広い空間を占領するのは良くもあり、悪くもあると思う。
俺はあきれたように
「はぁ~、なんなんだよ本当にこの世界は。」
とつぶやいた時、
「おーい」
なんか声がした。無意識に声を出してしまったのだろうと思っていたら、
「無視かーい?なんか嫌なことしちゃった?」
俺は、驚きながら、振り返るとそこには女の人が困った顔をして立っていた。
俺は思った。 待て、俺は今までこの世界に1人しかいなかったのに、なんでいきなり人が現れるんだ?と思いながらも、俺は何も聞けずに呆然としていたら、
「どうしたの?そんなびっくりした顔して。そんなに驚かなくてもいいと思うのに。」
いや、今まで1人しかいなかったのにいきなり人が現れたらそりゃ驚くだろ。と思いながらも、何も言えなかった。
#2人の世界#
俺はずっと驚きっぱなしだった。同時に悲しみ、寂しさの一色だった感情に、嬉しさという色が増えた。でも実際そうだ。今まで1人だったのだから。本当に嬉しかったのだ。
バチンっ!
「痛っ」、額を叩かれてつい言葉が出てしまった。
「あっごめん。強く叩きすぎちゃったかな?でも全然動かないから、驚いた顔で意識失ってるのかと思ったよ。」 と笑みを浮かべて話した。
「こっちこそごめん。ぼーっとしすぎたみたいだね。」 と一応謝っといた。
「まぁそりゃ驚くよね~、突然現れたりしちゃったらさ~。」
「あっうん、そうだな。あっそういや君の名前ななんて言うの?」 ふと思いついたように質問した。
「真美」
「真美か、よろしく。」と挨拶をした。
よく見ると彼女はすごくいいスタイルをしている。髪はショートで、碧眼な瞳で、ウエストも脚も細い、さらに、まぁまぁ胸もでかい。ここまで揃っていたら文句はないだろうというくらいの美少女だ。
その上、俺なんて天パで、メガネで太ってはいないが文化系男子みたいな容姿だ。こんな俺とは正反対の彼女がなぜここにいるんだろうと不思議に思った。
「君の名前を聞いていなかったね。教えたんだから、ちゃんと自分のも教えなきゃダメだよ。」
「そうだったな。わりわり。俺は...えっと」
あれ?俺、自分の名前忘れちまったのか。そんなことはないだろ。ただ違う世界に行ったってだけで、あれ?なんで彼女は覚えてるのに俺は自分の名前がわかんないんだ?おかしいだろ。
「どうしたの?」
俺は名前を思い出せず、顔を下げ、
「ごめん。わからない。」
俺は自分の名前を思い出せないことに怒りと同時に悲しみが込み上げてきた。なんで。なんで。俺は自分の名前すら思い出せない。この世界は自分の事すら記憶にないのかよ。彼女は自分の名前を知っているのに。なんで。なんで。俺だけ。
俺は震えていた。
「大丈夫だよ。これから思い出すよ!ね?だから元気だして。私がいるから。」 そう言って彼女は俺の手を両手で包むように握ってくれた。
俺は、彼女のおかげで震えていた身体も治まり、心も落ち着いた。そして、俺は涙目になりながらも彼女にちゃんと伝えた。
「ありがとう」俺は初めてこんなにも感情を込めた感謝をしたような気がした。
彼女は、
「うん!」 満面の笑みで僕の気持ちを受け入れてくれた。
そして、俺は互いの気持ちが通じ合える友達に巡り会ってホッとした。
しかし、俺はまだ彼女がこの世界に来た理由を知らない。彼女は理由を知るのかわからないが、聞かなければならない訳にはいかない。じゃないと、なにも話が進まないからだ。
こうして、俺たちは、何もない世界で2人となり、協力して過ごすことになった。
#あの世界#
俺たちは普段通り、普通の世界への戻り方を探していた。探すと言っても何もないからそこらへんをうろちょろするだけなんだけど。いずれ聞かなきゃいけないなら今の内に聞いておこうと思い、俺は彼女がこの世界に来た理由を聞く。
「ま、真美、お前はどうやってこの世界に来たんだ?聞きたい事は山ほどあるんだけど1番大事だと思うから聞いてみたんだけど。」
俺は少し不安な表情を見せながらもはっきりと伝えた。
その時、真美はこちらも向かずに
「知らない」
少し冷めたような口調でそう言った。
でもまだ口元が動き、
「でもね、たしか現実世界にいた時は、トラックにひかれたような気がした。」
そうこっちも向かず、少し震え声でそう言った。表情は見えないが、多分泣きそうだと思う。
「こんな若い年で.....って事はお前死んだのか?」
迷惑だと思いながらも単刀直入に聞いた。
「多分。私ね、犬を飼ってて、一緒に公園で遊んでたの。それで急に道路に飛び出してそれを助けるために飛び出したんだー。そしたらちょうどトラックがきてね。避けることも考えずにもういいやって思って、ひかれたんだ。でもチビは助かったよ!ちゃんと生きてた!それだけは覚えてる」
その時、やっとこっちを向いてくれた。でも案の定、彼女は目に涙が溢れてきていた。
「その犬の名前チビって言うんだな」
「うん!チビは可愛いんだからね!人懐っこいしまた遊びたいなぁ」
「また遊びたいから頑張って生きたいとか考えなかったのか?」
「その時はパニクってたから、全然考えなかったけど、でも今はもういいんだ!チビは助かったんだし。私はもう.....あれ?なんで泣いてるだろ?もう後悔なんてしてないのに。」
彼女はもう涙が溢れるのが耐えきれず、外に出てきてしまった。これ以上はもうなにも喋らなかった。そしてまた俺に泣いてる姿を見せないように後ろを向いた。
俺は彼女が泣き止むまでなにも言えず、しゃがみこんでぼーっとしていた。とりあえず泣き止むまで待っていた。
#疑問の世界#
あれからしばらくして、真美はしゃくりあげるくらいでさっきよりは落ち着いていた。とりあえず一安心したところで俺はふと思ったんだ。
(この世界って天国?地獄?それとも生と死の境界線?)
そうなると俺は死んだのか?なにか思い出せそうで思い出せず俺は顔を下げた。
その時
「ごめんね。みっともないところ見せちゃって。もう大丈夫だよ」
泣き止んだ真美はもうすでに元気そうな顔していた。
「だ、大丈夫だよ。そりゃ誰だって悲しいよそんな死に方なんて、俺だって泣くよ」
俺も同情するように言った。
でも実際俺もこんな若い頃に死ぬのは嫌だよなぁ
まだまだこれからなのにそんなのは嫌だと感じた。
そして俺は続けて
「じゃあここって死後の世界ってことになるのかな?話からすればそうなると思うんだが」
真美は疑問を抱いたような表情で
「うーん、でもこの世界に来たの2回目なんだよね」
「2回目!?それ本当か!?」
「うん」
2回目だと!?今更そんな驚愕の事実言われたらどうすればいいんだ!?どうなってんだこの世界は!
俺はさらにこの世界がわからなくなった。
「じゃあ1回目は覚えてないのか?」
驚きながらもこれはいずれ大事になるであろうと思ったから聞いたら、
「うーん、1回目は君みたいにパニクってたし、よくわかんないけどなんか...よく覚えてないの」
実際の所2回目だったら1回目の事なんて覚えてるわけがないよな。
でもなんなんだろあの驚愕の事実を聞いてさらにわけのわからん世界に来てしまったんだと思う気持ちが強くなった。同時に、この世界が2回目の彼女となら、この世界の抜け出し方が探し出せるかもしれないと強く思った。
#何もない世界#
ここはどこだろう...
真っ白な世界。
誰もいない世界。
ただ1人だけこの世に存在する。
なにも罪を犯したわけでもない。
誰かに殺されたわけでもない。
ある日突然、この世界にいた。
周りを見渡してもなにもない。
ただただ地平線を歩くだけの退屈な世界。
1つだけ疑問に思ったのだ。
そうそれはなぜここにいるのか。
なぜ俺だけがここにいるのか。
それは悲しくもつらい現実だったのだ。
ひたすら泣くだけだった。
この世界に来てしまうまでは俺は普通の日常を送っていた。普通と言っても、朝起きて、朝ご飯を食べて、学校に行って、勉強して、部活は入ってなかったからそのまま友達と帰って、家に着いたらご飯食べて、お風呂に入って、ゴロゴロして、眠たくなったら寝る。そんな日々を送っていたんだ。それなのになぜ俺はこんな世界に来てしまったのか、まったく見当もつかない。
特に、問題を起こしていたわけでもない、成績が悪いわけでもない、先生や親への態度が悪いわけでもない。なのになんでだろうか。
そのまま時が過ぎているのかもわからず、俺は悩みながら過ごしていた。
この世界は特殊だと思う。なぜなら走っても走っても行き止まりがない。ゴミ1つ落ちていない。木も草も生えていない。虫もいない。
さらに、走っても疲れない、永遠に走っていても多分、息が切れないと思う。時が経っているのかわからないが、腹も減らない。一生ここにいても、ご飯がなくても生きれる気がする。そんくらい不自由というほど不自由ではなかった。
だからと言ってこの世界を気に入ってるわけでもない。むしろ早く帰りたい。帰って寝たい。まぁこの世界だと寝なくても、1日中起きてても眠気なんて来ないんだけども。
#暇な世界#
誰もいないのにこんな広いだけの何もない世界で1人だけって考えると、
「暇すぎる」 なんてつい声に出てしまうほど暇すぎた。特にやることないし、暇つぶしの道具もゲームもないし、やることって言ったら、普通の世界に戻れる方法を考えたり、近くに扉ないか探したり~とか、少し歩いてゴール地点探したり~とか、そんくらいだけだった。というか俺は今まで過ごしてきた日常生活をしてきた世界に戻れるのか不安になってきた。
それにこれって親とか学校の先生や友達とかどう思ってるのかな。 俺がいなくて慌てたり、焦ったりしてないのかな。挙げ句の果てに行方不明で捜索されたりとかしてないのかな。
そう思うと早く戻りたいし、みんなに俺が行った何もない世界の事を説明して理解してもらいたい。多分、普通に言ったら誰も信じてくれないだろうし、夢としか思われないんだろうな。それでもみんなに理解してもらうためだったらいくらでも説明してやる!とりあえず今は普通の世界の戻り方を見つけるんだ。
こうして俺は、自分を奮い立たせ普通の世界への戻り方を探した。
#いた世界#
時間が経っているのかもわからずに、ひたすら戻る方法を探っていた。やっぱり何をやっても疲れないから永遠に身体を動かしていれる。こんなにも必死でなにかを探すのは、初めてかもしれない。そう思いつつ、1人で惨めに身体を動かす。
でもこれが普通の世界と繋がっているのなら、人がいてもいいくらいなのだが...ってことはまったく普通の世界と関係ないのか?よくわかんない世界に来てしまったというわけか。これじゃ刑務所の中より苦しいような気がする。不自由はないけど誰もいない中、1人だけでこんな広い空間を占領するのは良くもあり、悪くもあると思う。
俺はあきれたように
「はぁ~、なんなんだよ本当にこの世界は。」
とつぶやいた時、
「おーい」
なんか声がした。無意識に声を出してしまったのだろうと思っていたら、
「無視かーい?なんか嫌なことしちゃった?」
俺は、驚きながら、振り返るとそこには女の人が困った顔をして立っていた。
俺は思った。 待て、俺は今までこの世界に1人しかいなかったのに、なんでいきなり人が現れるんだ?と思いながらも、俺は何も聞けずに呆然としていたら、
「どうしたの?そんなびっくりした顔して。そんなに驚かなくてもいいと思うのに。」
いや、今まで1人しかいなかったのにいきなり人が現れたらそりゃ驚くだろ。と思いながらも、何も言えなかった。
#2人の世界#
俺はずっと驚きっぱなしだった。同時に悲しみ、寂しさの一色だった感情に、嬉しさという色が増えた。でも実際そうだ。今まで1人だったのだから。本当に嬉しかったのだ。
バチンっ!
「痛っ」、額を叩かれてつい言葉が出てしまった。
「あっごめん。強く叩きすぎちゃったかな?でも全然動かないから、驚いた顔で意識失ってるのかと思ったよ。」 と笑みを浮かべて話した。
「こっちこそごめん。ぼーっとしすぎたみたいだね。」 と一応謝っといた。
「まぁそりゃ驚くよね~、突然現れたりしちゃったらさ~。」
「あっうん、そうだな。あっそういや君の名前ななんて言うの?」 ふと思いついたように質問した。
「真美」
「真美か、よろしく。」と挨拶をした。
よく見ると彼女はすごくいいスタイルをしている。髪はショートで、碧眼な瞳で、ウエストも脚も細い、さらに、まぁまぁ胸もでかい。ここまで揃っていたら文句はないだろうというくらいの美少女だ。
その上、俺なんて天パで、メガネで太ってはいないが文化系男子みたいな容姿だ。こんな俺とは正反対の彼女がなぜここにいるんだろうと不思議に思った。
「君の名前を聞いていなかったね。教えたんだから、ちゃんと自分のも教えなきゃダメだよ。」
「そうだったな。わりわり。俺は...えっと」
あれ?俺、自分の名前忘れちまったのか。そんなことはないだろ。ただ違う世界に行ったってだけで、あれ?なんで彼女は覚えてるのに俺は自分の名前がわかんないんだ?おかしいだろ。
「どうしたの?」
俺は名前を思い出せず、顔を下げ、
「ごめん。わからない。」
俺は自分の名前を思い出せないことに怒りと同時に悲しみが込み上げてきた。なんで。なんで。俺は自分の名前すら思い出せない。この世界は自分の事すら記憶にないのかよ。彼女は自分の名前を知っているのに。なんで。なんで。俺だけ。
俺は震えていた。
「大丈夫だよ。これから思い出すよ!ね?だから元気だして。私がいるから。」 そう言って彼女は俺の手を両手で包むように握ってくれた。
俺は、彼女のおかげで震えていた身体も治まり、心も落ち着いた。そして、俺は涙目になりながらも彼女にちゃんと伝えた。
「ありがとう」俺は初めてこんなにも感情を込めた感謝をしたような気がした。
彼女は、
「うん!」 満面の笑みで僕の気持ちを受け入れてくれた。
そして、俺は互いの気持ちが通じ合える友達に巡り会ってホッとした。
しかし、俺はまだ彼女がこの世界に来た理由を知らない。彼女は理由を知るのかわからないが、聞かなければならない訳にはいかない。じゃないと、なにも話が進まないからだ。
こうして、俺たちは、何もない世界で2人となり、協力して過ごすことになった。
#あの世界#
俺たちは普段通り、普通の世界への戻り方を探していた。探すと言っても何もないからそこらへんをうろちょろするだけなんだけど。いずれ聞かなきゃいけないなら今の内に聞いておこうと思い、俺は彼女がこの世界に来た理由を聞く。
「ま、真美、お前はどうやってこの世界に来たんだ?聞きたい事は山ほどあるんだけど1番大事だと思うから聞いてみたんだけど。」
俺は少し不安な表情を見せながらもはっきりと伝えた。
その時、真美はこちらも向かずに
「知らない」
少し冷めたような口調でそう言った。
でもまだ口元が動き、
「でもね、たしか現実世界にいた時は、トラックにひかれたような気がした。」
そうこっちも向かず、少し震え声でそう言った。表情は見えないが、多分泣きそうだと思う。
「こんな若い年で.....って事はお前死んだのか?」
迷惑だと思いながらも単刀直入に聞いた。
「多分。私ね、犬を飼ってて、一緒に公園で遊んでたの。それで急に道路に飛び出してそれを助けるために飛び出したんだー。そしたらちょうどトラックがきてね。避けることも考えずにもういいやって思って、ひかれたんだ。でもチビは助かったよ!ちゃんと生きてた!それだけは覚えてる」
その時、やっとこっちを向いてくれた。でも案の定、彼女は目に涙が溢れてきていた。
「その犬の名前チビって言うんだな」
「うん!チビは可愛いんだからね!人懐っこいしまた遊びたいなぁ」
「また遊びたいから頑張って生きたいとか考えなかったのか?」
「その時はパニクってたから、全然考えなかったけど、でも今はもういいんだ!チビは助かったんだし。私はもう.....あれ?なんで泣いてるだろ?もう後悔なんてしてないのに。」
彼女はもう涙が溢れるのが耐えきれず、外に出てきてしまった。これ以上はもうなにも喋らなかった。そしてまた俺に泣いてる姿を見せないように後ろを向いた。
俺は彼女が泣き止むまでなにも言えず、しゃがみこんでぼーっとしていた。とりあえず泣き止むまで待っていた。
#疑問の世界#
あれからしばらくして、真美はしゃくりあげるくらいでさっきよりは落ち着いていた。とりあえず一安心したところで俺はふと思ったんだ。
(この世界って天国?地獄?それとも生と死の境界線?)
そうなると俺は死んだのか?なにか思い出せそうで思い出せず俺は顔を下げた。
その時
「ごめんね。みっともないところ見せちゃって。もう大丈夫だよ」
泣き止んだ真美はもうすでに元気そうな顔していた。
「だ、大丈夫だよ。そりゃ誰だって悲しいよそんな死に方なんて、俺だって泣くよ」
俺も同情するように言った。
でも実際俺もこんな若い頃に死ぬのは嫌だよなぁ
まだまだこれからなのにそんなのは嫌だと感じた。
そして俺は続けて
「じゃあここって死後の世界ってことになるのかな?話からすればそうなると思うんだが」
真美は疑問を抱いたような表情で
「うーん、でもこの世界に来たの2回目なんだよね」
「2回目!?それ本当か!?」
「うん」
2回目だと!?今更そんな驚愕の事実言われたらどうすればいいんだ!?どうなってんだこの世界は!
俺はさらにこの世界がわからなくなった。
「じゃあ1回目は覚えてないのか?」
驚きながらもこれはいずれ大事になるであろうと思ったから聞いたら、
「うーん、1回目は君みたいにパニクってたし、よくわかんないけどなんか...よく覚えてないの」
実際の所2回目だったら1回目の事なんて覚えてるわけがないよな。
でもなんなんだろあの驚愕の事実を聞いてさらにわけのわからん世界に来てしまったんだと思う気持ちが強くなった。同時に、この世界が2回目の彼女となら、この世界の抜け出し方が探し出せるかもしれないと強く思った。
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