20 / 21
20話
しおりを挟む
「君にこれから会ってもらうんは、ここの防衛を担当している人たちや」
「異能者ですね?」
俺の問いに高木さんはうなづいた。
「そう、『紅蓮』と言えばこの大坂でも有数のチームや。彼らのお陰でここの安全は保たれてる」
周囲の荒れた状況を見れば、この辺りのモンスターがかなり強いのだろうということは想像できる。
それからここを守っているんだ、かなりの実力なんだろう。
どんな人たちか興味あるな。
「高木です。新しい避難者を連れてきました」
かなり奥まった研究棟にある一室の扉をノックし、高木さんが声を掛けた。
扉には『紅蓮』という目立つ赤い札が掛けられている。
「――ええよ、入ってもらって」
「失礼します」
高木さんが扉を開ける。
その表情から少し緊張しているのが分かる。
やはりここの人たちの方が立場が上みたいだ。
高木さんは俺に中に入るよう促した。
――俺一人で入るのか、何だか緊張するな。
部屋に入ると奥に大きめの立派な机が一つ。
手前にローテーブルを挟んで2台のソファーが向かい合って置いてある。
ソファーには男の人が二人、奥に立っている眼鏡をかけた女の人が一人。
その奥の女性の隣の机の上には別の若い男の人が片膝を立てて座っている。
「へえ~この人か、いきなり小鬼を2匹倒したって人は」
脚を組んでソファーに座っていた男の人の片方が興味深げに俺を見る。
ハーフっぽい顔立ちのかなりのイケメンだ。
たぶん年齢は20代半ば、女の子にはモテそうだけど軽そうな感じだな。
「……ふん」
ソファーのもう一人の男の人が一瞬チラッとこっちを見て、つまらなさそうにすぐ視線を手元に戻す。
なんだか針のようなものを一生懸命磨いている。
髪がボサボサで顔が良く見えないけど多分30代半ばくらい、愛想の悪い役所のおじさんって感じかな。
「あなた、お名前は?」
眼鏡をかけた女の人が聞いてきた。
年は20代かな、きっちりとしたスーツを着た、いかにも仕事が出来るといった感じの美人だ。
とても特殊な能力を持って戦っているようには見えないけど。
「杉谷幸平です。年は18です」
「なんや、俺と近いやんかー。もうちょっと行ってるか思たけど」
俺が答えると、奥の机の上に行儀悪く座っている若い人が言った。
男の人というより男の子だろうか、明らかに俺より年下だ。
多分高校生だろう。
いかにも活発そうな、スポーツは得意であまり勉強は出来なさそうな、そんな感じ。
彼が話を続けた。
「この『紅蓮』のリーダー、新堂夏彦や。年は16、年下やけどよろしくな」
どう見ても一番若い彼がここのリーダーなのか、ちょっと意外だな。
「で、そこで針磨いてるのが副リーダーの小島隆司さんや」
この小島って人は紹介されても反応もしない。
暗くて無愛想で苦手なタイプだなー。
「で、そこのハーフが竹田レイモンド遼真」
「母がアメリカ人でね。年は24歳だ。よろしく、杉谷幸平君」
背は高いし彫りの深い美男子だが、向こうの世界でアンタ以上のいい男を散々見てきたんだ。
イケメン耐性の強い俺はこれぐらいでビビったりしないぞ、フン。
――泣いてなんかないやい。
「最後にメンバーでただ一人の女、飯島さん。年は言うと怒られるから言わへん」
そう言ってリーダーの新堂がニヤッと笑う。
「失礼ね、そんなに年はいってないわ。飯島冴子、22歳よ」
飯島さんが新堂君をキッと睨んだ。
綺麗な人だけに怒ると怖いなあ。
「異能者ですね?」
俺の問いに高木さんはうなづいた。
「そう、『紅蓮』と言えばこの大坂でも有数のチームや。彼らのお陰でここの安全は保たれてる」
周囲の荒れた状況を見れば、この辺りのモンスターがかなり強いのだろうということは想像できる。
それからここを守っているんだ、かなりの実力なんだろう。
どんな人たちか興味あるな。
「高木です。新しい避難者を連れてきました」
かなり奥まった研究棟にある一室の扉をノックし、高木さんが声を掛けた。
扉には『紅蓮』という目立つ赤い札が掛けられている。
「――ええよ、入ってもらって」
「失礼します」
高木さんが扉を開ける。
その表情から少し緊張しているのが分かる。
やはりここの人たちの方が立場が上みたいだ。
高木さんは俺に中に入るよう促した。
――俺一人で入るのか、何だか緊張するな。
部屋に入ると奥に大きめの立派な机が一つ。
手前にローテーブルを挟んで2台のソファーが向かい合って置いてある。
ソファーには男の人が二人、奥に立っている眼鏡をかけた女の人が一人。
その奥の女性の隣の机の上には別の若い男の人が片膝を立てて座っている。
「へえ~この人か、いきなり小鬼を2匹倒したって人は」
脚を組んでソファーに座っていた男の人の片方が興味深げに俺を見る。
ハーフっぽい顔立ちのかなりのイケメンだ。
たぶん年齢は20代半ば、女の子にはモテそうだけど軽そうな感じだな。
「……ふん」
ソファーのもう一人の男の人が一瞬チラッとこっちを見て、つまらなさそうにすぐ視線を手元に戻す。
なんだか針のようなものを一生懸命磨いている。
髪がボサボサで顔が良く見えないけど多分30代半ばくらい、愛想の悪い役所のおじさんって感じかな。
「あなた、お名前は?」
眼鏡をかけた女の人が聞いてきた。
年は20代かな、きっちりとしたスーツを着た、いかにも仕事が出来るといった感じの美人だ。
とても特殊な能力を持って戦っているようには見えないけど。
「杉谷幸平です。年は18です」
「なんや、俺と近いやんかー。もうちょっと行ってるか思たけど」
俺が答えると、奥の机の上に行儀悪く座っている若い人が言った。
男の人というより男の子だろうか、明らかに俺より年下だ。
多分高校生だろう。
いかにも活発そうな、スポーツは得意であまり勉強は出来なさそうな、そんな感じ。
彼が話を続けた。
「この『紅蓮』のリーダー、新堂夏彦や。年は16、年下やけどよろしくな」
どう見ても一番若い彼がここのリーダーなのか、ちょっと意外だな。
「で、そこで針磨いてるのが副リーダーの小島隆司さんや」
この小島って人は紹介されても反応もしない。
暗くて無愛想で苦手なタイプだなー。
「で、そこのハーフが竹田レイモンド遼真」
「母がアメリカ人でね。年は24歳だ。よろしく、杉谷幸平君」
背は高いし彫りの深い美男子だが、向こうの世界でアンタ以上のいい男を散々見てきたんだ。
イケメン耐性の強い俺はこれぐらいでビビったりしないぞ、フン。
――泣いてなんかないやい。
「最後にメンバーでただ一人の女、飯島さん。年は言うと怒られるから言わへん」
そう言ってリーダーの新堂がニヤッと笑う。
「失礼ね、そんなに年はいってないわ。飯島冴子、22歳よ」
飯島さんが新堂君をキッと睨んだ。
綺麗な人だけに怒ると怖いなあ。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説

亡霊剣士の肉体強奪リベンジ!~倒した敵の身体を乗っ取って、最強へと到る物語。
円城寺正市
ファンタジー
勇者が行方不明になって数年。
魔物が勢力圏を拡大し、滅亡の危機に瀕する国、ソルブルグ王国。
洞窟の中で目覚めた主人公は、自分が亡霊になっていることに気が付いた。
身動きもとれず、記憶も無い。
ある日、身動きできない彼の前に、ゴブリンの群れに追いかけられてエルフの少女が転がり込んできた。
亡霊を見つけたエルフの少女ミーシャは、死体に乗り移る方法を教え、身体を得た彼は、圧倒的な剣技を披露して、ゴブリンの群れを撃退した。
そして、「旅の目的は言えない」というミーシャに同行することになった亡霊は、次々に倒した敵の身体に乗り換えながら、復讐すべき相手へと辿り着く。
※この作品は「小説家になろう」からの転載です。
女神様の使い、5歳からやってます
めのめむし
ファンタジー
小桜美羽は5歳の幼女。辛い境遇の中でも、最愛の母親と妹と共に明るく生きていたが、ある日母を事故で失い、父親に放置されてしまう。絶望の淵で餓死寸前だった美羽は、異世界の女神レスフィーナに救われる。
「あなたには私の世界で生きる力を身につけやすくするから、それを使って楽しく生きなさい。それで……私のお友達になってちょうだい」
女神から神気の力を授かった美羽は、女神と同じ色の桜色の髪と瞳を手に入れ、魔法生物のきんちゃんと共に新たな世界での冒険に旅立つ。しかし、転移先で男性が襲われているのを目の当たりにし、街がゴブリンの集団に襲われていることに気づく。「大人の男……怖い」と呟きながらも、ゴブリンと戦うか、逃げるか——。いきなり厳しい世界に送られた美羽の運命はいかに?
優しさと試練が待ち受ける、幼い少女の異世界ファンタジー、開幕!
基本、ほのぼの系ですので進行は遅いですが、着実に進んでいきます。
戦闘描写ばかり望む方はご注意ください。
Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――
金斬 児狐
ファンタジー
ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。
しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。
しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。
◆ ◆ ◆
今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。
あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。
不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

異世界無宿
ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。
アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。
映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。
訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。
一目惚れで購入した車の納車日。
エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた…
神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。
アクション有り!
ロマンス控えめ!
ご都合主義展開あり!
ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。
不定期投稿になります。
投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。

オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる