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19話
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「魔法の事はとりあえずいいや。それより問題はバルサ、お前のことだよ」
「ボクの何が問題なの?」
バルサが首をかしげる。
「俺はしばらくここでお世話になろうかと思うんだ。でもお前が見つかったら大変な事になる。だからどうしようかと思ってさ」
こっちの世界でバルサが見つかれば、確実にモンスターの仲間だと思われるだろう。
パニックになるのは確実だし、バルサがここの人たちに襲われたら大変なことになる。
……もちろんここの人たちが、だけど。
「見つからなきゃいいんだよね?」
そう言うと、バルサの身体が急に縮み始めた。
どんどん縮んで、10センチ強あった大きさが2センチくらいにまで小さくなってしまった。
「これでどうかな?」
ちびバルサが目をくりくりしながら聞いてくる。
「何時からこんなことできるようになったんだ……」
バルサにこんな能力があると知らなかった俺はビックリした。
「前から出来てたよ?」
本当に小さい、これじゃまるでガチャガチャの景品だ。
「このままいても平気なのか?」
「平気って言うか、かえってお腹も減らないよ?」
なるほど、体が小さい分省エネってことか。
これなら何とか隠せそうだし、もしばれてもオモチャだといえば何とかなりそうな気がする。
「逆に大きくもなれるよ? やって見せようか?」
「いや、それは絶対にやめてくれ」
デカくなったらもうそれは普通にドラゴンだから。
そんなの見つかっちゃったら終わりだから。
「とにかく、この大きさのままで誰にも見つからないように注意すること。周りに人がいる時は話もしないこと。万が一見つかったら、絶対に動かないこと。いいか、尻尾の先までピクリとも動いちゃダメだぞ」
「ボクはだるまさんが転んだ得意だよ?」
俺が向こうの世界で教えてやった遊びの中で、だるまさんが転んだはバルサのお気に入りだ。
遊んでいる最中、確かにピクリとも動いてなかった。
ただどうも遊び気分で真剣みが足りないのが気になるな。
いろいろ試した結果、バルサは普段は俺のリュックの中にいるのが一番いいという結論になった。
リュックの中でもこの大きさなら窮屈ではないし、ドラゴンは暗闇でも目が利くからいいだろう。
そうしてバルサがリュックの中にもぐりこんだ時に、部屋の扉をノックする音がした。
俺はバルサに隠れているように目で合図をした。
「はい、どうぞ」
扉を開けて入ってきたのは高木さんだ。
「すこしは休めたか?」
「はい、おかげさまで。ありがとうございます」
俺が頭を下げると、高木さんは頷いた。
「そりゃよかった。それでな、さっき言ってた君に会わせたい人たちが戻ってきた。悪いんやけど、ちょっと付き合ってくれるか」
奈保子が言っていた「異能者」の人たちに違いない。
俺はバルサの入ったリュックを部屋に残し、少し緊張しながら高木さんと一緒に部屋を出た。
「ボクの何が問題なの?」
バルサが首をかしげる。
「俺はしばらくここでお世話になろうかと思うんだ。でもお前が見つかったら大変な事になる。だからどうしようかと思ってさ」
こっちの世界でバルサが見つかれば、確実にモンスターの仲間だと思われるだろう。
パニックになるのは確実だし、バルサがここの人たちに襲われたら大変なことになる。
……もちろんここの人たちが、だけど。
「見つからなきゃいいんだよね?」
そう言うと、バルサの身体が急に縮み始めた。
どんどん縮んで、10センチ強あった大きさが2センチくらいにまで小さくなってしまった。
「これでどうかな?」
ちびバルサが目をくりくりしながら聞いてくる。
「何時からこんなことできるようになったんだ……」
バルサにこんな能力があると知らなかった俺はビックリした。
「前から出来てたよ?」
本当に小さい、これじゃまるでガチャガチャの景品だ。
「このままいても平気なのか?」
「平気って言うか、かえってお腹も減らないよ?」
なるほど、体が小さい分省エネってことか。
これなら何とか隠せそうだし、もしばれてもオモチャだといえば何とかなりそうな気がする。
「逆に大きくもなれるよ? やって見せようか?」
「いや、それは絶対にやめてくれ」
デカくなったらもうそれは普通にドラゴンだから。
そんなの見つかっちゃったら終わりだから。
「とにかく、この大きさのままで誰にも見つからないように注意すること。周りに人がいる時は話もしないこと。万が一見つかったら、絶対に動かないこと。いいか、尻尾の先までピクリとも動いちゃダメだぞ」
「ボクはだるまさんが転んだ得意だよ?」
俺が向こうの世界で教えてやった遊びの中で、だるまさんが転んだはバルサのお気に入りだ。
遊んでいる最中、確かにピクリとも動いてなかった。
ただどうも遊び気分で真剣みが足りないのが気になるな。
いろいろ試した結果、バルサは普段は俺のリュックの中にいるのが一番いいという結論になった。
リュックの中でもこの大きさなら窮屈ではないし、ドラゴンは暗闇でも目が利くからいいだろう。
そうしてバルサがリュックの中にもぐりこんだ時に、部屋の扉をノックする音がした。
俺はバルサに隠れているように目で合図をした。
「はい、どうぞ」
扉を開けて入ってきたのは高木さんだ。
「すこしは休めたか?」
「はい、おかげさまで。ありがとうございます」
俺が頭を下げると、高木さんは頷いた。
「そりゃよかった。それでな、さっき言ってた君に会わせたい人たちが戻ってきた。悪いんやけど、ちょっと付き合ってくれるか」
奈保子が言っていた「異能者」の人たちに違いない。
俺はバルサの入ったリュックを部屋に残し、少し緊張しながら高木さんと一緒に部屋を出た。
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