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16話
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東都の政府は自らを「中央政府」と称し、日本全体を八つの「地域国家」に分けた。
表向きは「各地域によって状況の異なる異界勢力との戦いに柔軟に対処し、地域の行政及び軍事的ニーズに迅速に対応する為」というのが理由となった。
「それからは国境を越えた他の地域へはよっぽどの理由がない限り行かれへんようになったんよ。特に西日本と東日本の間の国境は警戒が厳重で。それも異界勢力の侵入を防ぐため言うてるけど本音はどうだか」
実質的なこの制度の目的が西日本の斬り捨てと東日本の防衛にあるのは明らかだった。
戦力は西日本には必要最小限を残しただけで後は全て北海・北部・東部・中部の4国に集中された。
さらに地域国家の国境間の移動は厳しく制限された。
これにより西日本諸国での異界勢力との戦いは住民自らが行わざるを得なくなった。
警察や防衛隊でさえ敵わない異界勢力に、大した武器も持たない住民たちがどう対抗すればいいのか。
――住民たちはパニックになり、暴動も激化した。
都市部では自暴自棄になった者達が商店や金融機関、行政関係の施設などを襲い、西日本の各都市は怪物だけでなく人間たちの手でも破壊された。
世はまさに世紀末の様相を見せていた。
「そんな時やね。あちこちで『特別な力』を持った人らが出てきたんは」
ある時を境に、各地で一斉に特殊な能力に目覚めた人たちが現れはじめた。
それはフルマラソンを30分で走り切る、垂直跳びで3メートル、肌を鋼並みに硬くするなどの肉体強化系をはじめ、念動力、透視力、予知能力などの超能力系、さらには物を自由に燃やしたり切断したり爆破したりといったことまで、さまざまな種類の能力があった。
やがて分かってきたのは異界門が多く表れた地域に特殊能力に目覚めた人も多く表れたこと。
その能力の多くが「戦う」ことに向いた能力だったこと。
更にはその目覚めは異界からの怪物との戦いの中でしか起きないということだった。
従って自動的に能力者は西日本に特に多く現れる事になった。
目覚めたうちの一部は能力を悪用して自分の欲望を満たすために使った。
しかしその多くは怪物と戦う為に自分自身の能力を使う事を選んだ。
次第に彼らは「異能者」と呼ばれるようになり、異界勢力との戦いの中核を担うようになる。
各地域政府は社会の混乱を恐れて公的には彼ら「異能者」の存在を隠す事にした。
だがその一方で特別な権限を与え、彼らを防衛戦力として組織化する。
「隠す、ゆうてもこの辺で知らん人はおらへんけどね。あの人らがおらんかったら、きっと私ら今ごろ怪物に皆殺しにされとったわ。そう言う意味ではどれだけ感謝してもしきれへんねんよ」
表向きは「各地域によって状況の異なる異界勢力との戦いに柔軟に対処し、地域の行政及び軍事的ニーズに迅速に対応する為」というのが理由となった。
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実質的なこの制度の目的が西日本の斬り捨てと東日本の防衛にあるのは明らかだった。
戦力は西日本には必要最小限を残しただけで後は全て北海・北部・東部・中部の4国に集中された。
さらに地域国家の国境間の移動は厳しく制限された。
これにより西日本諸国での異界勢力との戦いは住民自らが行わざるを得なくなった。
警察や防衛隊でさえ敵わない異界勢力に、大した武器も持たない住民たちがどう対抗すればいいのか。
――住民たちはパニックになり、暴動も激化した。
都市部では自暴自棄になった者達が商店や金融機関、行政関係の施設などを襲い、西日本の各都市は怪物だけでなく人間たちの手でも破壊された。
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ある時を境に、各地で一斉に特殊な能力に目覚めた人たちが現れはじめた。
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やがて分かってきたのは異界門が多く表れた地域に特殊能力に目覚めた人も多く表れたこと。
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更にはその目覚めは異界からの怪物との戦いの中でしか起きないということだった。
従って自動的に能力者は西日本に特に多く現れる事になった。
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しかしその多くは怪物と戦う為に自分自身の能力を使う事を選んだ。
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だがその一方で特別な権限を与え、彼らを防衛戦力として組織化する。
「隠す、ゆうてもこの辺で知らん人はおらへんけどね。あの人らがおらんかったら、きっと私ら今ごろ怪物に皆殺しにされとったわ。そう言う意味ではどれだけ感謝してもしきれへんねんよ」
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