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11話
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「よいしょっと」
俺はおじさんの遺体を抱え上げた。
出会ったばかりとはいえ、俺のせいだから放っておくわけにはいかない。
おじさんも大学から来てると言ってたから、そこまで連れて行こう。
身体強化のスキルのお陰で楽に抱えて歩くことが出来る。
そうは言ってもこれが向こうの世界だったら超人クラスまで強化できるんだけど、さっき吸収したくらいではエーテルが少ないから大したことは無い。
力や敏捷性、あと視力や聴力、嗅覚なんかがそれぞれ2割ぐらいアップした感じだろうか。
30分ほど歩くと、東城大学が見えてきた。
俺が通っていたのとはずいぶん雰囲気が変わってるけど。
正門は頑丈に補強され、壁の上には有刺鉄線が張り巡らされている。
門の内側には見張り台のようなやぐらが組まれていて、相当物々しい雰囲気だ。
「すいませーん!」
「ちょっと待ってろ」
俺が門の前で叫ぶと声がして、やぐらの上に人が現れた。
「あっ、田辺さん!」
その人は俺が抱えていたおじさんを見て慌てて叫んだ。
門の向こうで慌ただしい音がして、脇の通用口から人が出てきた。
20代半ばくらいの男の人だ。
痩せてるけど引き締まったいい身体をしてる。
「田辺さん、どないしたんや、しっかりせいや!」
おじさんを地面に寝かせて声を掛けるけど、当然返事はない。
「くそ、あかんか。なんでこんなことに……」
悔しそうに唇を噛む。
そして俺の方を向いて言った。
「田辺さんをここまで運んでくれたんやな、感謝するわ。俺は高木圭介や。君は?」
「杉谷幸平です。さっきこの人と出会って、話している途中に急にゴブリンに襲われて……」
「……ゴブリン?」
あ、この世界ではゴブリンと言う呼び方はされてないのか。
「えっと、小さくて緑色の奴です」
「ああ、あの小鬼か。あんな奴に……杉谷君、いうたな。中で詳しく聞かせてもらえるか?」
俺は高木さんに連れられて、大学の中に入った。
田辺さんというらしいおじさんの遺体を別の人たちに預けた。
俺は高木さんに連れられて久しぶりに学内を歩く。
通っていた時とは全く様子は変わっているけど、それでも懐かしい。
中はさながら地震の時の避難所のようだった。
各教室の中には多くの人たちがダンボールのパーテーションで小部屋のようなものを作っていた。
教室のいくつかには救護所や物資分配所、娯楽室などの張り紙がされている部屋もある。
この感じからするとみんな結構長い間ここにいるようだ。
「こっちや。ちょっと行ったところにこの施設の運営管理事務所がある。そこで話を聞かせてくれ」
俺はおじさんの遺体を抱え上げた。
出会ったばかりとはいえ、俺のせいだから放っておくわけにはいかない。
おじさんも大学から来てると言ってたから、そこまで連れて行こう。
身体強化のスキルのお陰で楽に抱えて歩くことが出来る。
そうは言ってもこれが向こうの世界だったら超人クラスまで強化できるんだけど、さっき吸収したくらいではエーテルが少ないから大したことは無い。
力や敏捷性、あと視力や聴力、嗅覚なんかがそれぞれ2割ぐらいアップした感じだろうか。
30分ほど歩くと、東城大学が見えてきた。
俺が通っていたのとはずいぶん雰囲気が変わってるけど。
正門は頑丈に補強され、壁の上には有刺鉄線が張り巡らされている。
門の内側には見張り台のようなやぐらが組まれていて、相当物々しい雰囲気だ。
「すいませーん!」
「ちょっと待ってろ」
俺が門の前で叫ぶと声がして、やぐらの上に人が現れた。
「あっ、田辺さん!」
その人は俺が抱えていたおじさんを見て慌てて叫んだ。
門の向こうで慌ただしい音がして、脇の通用口から人が出てきた。
20代半ばくらいの男の人だ。
痩せてるけど引き締まったいい身体をしてる。
「田辺さん、どないしたんや、しっかりせいや!」
おじさんを地面に寝かせて声を掛けるけど、当然返事はない。
「くそ、あかんか。なんでこんなことに……」
悔しそうに唇を噛む。
そして俺の方を向いて言った。
「田辺さんをここまで運んでくれたんやな、感謝するわ。俺は高木圭介や。君は?」
「杉谷幸平です。さっきこの人と出会って、話している途中に急にゴブリンに襲われて……」
「……ゴブリン?」
あ、この世界ではゴブリンと言う呼び方はされてないのか。
「えっと、小さくて緑色の奴です」
「ああ、あの小鬼か。あんな奴に……杉谷君、いうたな。中で詳しく聞かせてもらえるか?」
俺は高木さんに連れられて、大学の中に入った。
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俺は高木さんに連れられて久しぶりに学内を歩く。
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中はさながら地震の時の避難所のようだった。
各教室の中には多くの人たちがダンボールのパーテーションで小部屋のようなものを作っていた。
教室のいくつかには救護所や物資分配所、娯楽室などの張り紙がされている部屋もある。
この感じからするとみんな結構長い間ここにいるようだ。
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