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7話
しおりを挟むこわごわ辺りを見回しながら、銃声が聞こえたと思う方向へ進んでいく。
途中で小高い丘の上に登って辺りを見回してみるが、本当に人がいない。
ここは本当にあの大坂なのか?
信じられない気もするが、遠くに見慣れた大坂城が見える。
どうやら城は無事らしい、ちょっとだけホッとした。
丘の坂道を下り、さらにしばらく歩いて行くと――いた。
工事用の黄色いヘルメットをかぶった中年の男の人が、壊れた建物の中を覗いている。
片手には棒のようなものを持ち、肩から猟銃のようなものを下げている。
さっきの銃声はこの人だと考えて間違いないだろう。
怖いから、物影からそのまま様子を観察する。
しばらく見ていた感じ、悪い人じゃないような感じがする。
何かあれば走って逃げれば大丈夫だろう。
俺は物陰から出て、少し離れた位置から思い切って声を掛けた。
「あのー!」
「君、そんなとこで何してんねんっ!」
おじさんはビックリして振り向き、俺を見た瞬間大慌てで走ってきた。
俺も一瞬身構えたけど、別に襲う気じゃなさそうだと思って耐えた。
「こんな所にいたら危ないやないか! しかも手ぶらで。何考えてんねん!」
なんだか血相変えて怒ってる、怖い。
いきなりそんなこと言われても、何がダメなのか全然分かんないし。
「あの、人を探してたんです」
「……人探しか、家族かなんかか。話した感じ、君この辺の人やないな。遠くから来たんか?」
あれ「人間を探してた」って言ったつもりが特定の人を探してると取られたらしい。
まあその方が話がスムーズみたいだから、あえて誤解は解かないでおく。
「ええ、○○の出身なんです」
「そんなとこからよく来れたな。大変やったやろう。で、何してる人なんや」
「城東大学の学生なんですけど」
「城東大学はだいぶ前から休校になってるけどなあ。でもまだあそこにおるかもしれん……大学には行ってみたんか?」
自分が城東の学生だと言ったつもりが、学生を探しに来たんだとまたまた勘違いされたみたいだ。
というか休校になってるってどういう事なんだろう。
あそこも無茶苦茶になってしまったんだろうか。
「いえ、まだ行ってないです」
「あそこがこの辺の人らの避難保護施設になってるからな、そこにおる可能性は高いやろ。君、大学の場所は分かるか?」
そりゃあ自分が通ってる大学だから場所は分かる。
「はい、分かります」
「そうか。オレもあそこから来てるから一緒に行ってやりたいんやが、まだこの辺もうちょっと調べなアカンからな。君、あそこまで一人で行けるか?」
「大丈夫です」
俺は頷いた。
でも避難保護施設ってどういうこと?
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