最弱な奴が実は最強?

レン

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固執

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 ネメシスとは比べものにならないほど強大な力を感じる。
 流れる沈黙の中、最初に口を開いたのはクレアだった。
「まずは能力なしで殴り合おうか・・・。」
 するとクレアは構えを解いて悠々とこちらに歩み寄ってきた。
 なるほどまずは単純な力比べをしたいと言うわけだな。俺も様子見を兼ねて応じるとしよう。
 そして俺も構えを解きクレアの元に歩み寄った。
 両者、向かい合い歩みを止めた。俺はクレアを睨むなか目の前の男の顔にはまだ余裕の表情が窺える。
 息が詰まりそうな緊迫した空気を打ち破るように俺はクレアに攻撃を繰り出した。
 顔面目掛けてパンチを繰り出したのだがそれに対してクレアは笑って見せた。
 そして軽々しく受け止められた。
 びっくりするのも束の間、俺は宙を舞っていた。
 足払いをされたのだ。そして足を片手で掴まれ投げ飛ばされた。
 なんてパワーだ。ネメシスの時の数十倍はあるぞ。
 そして吹き飛ばされている俺にクレアは追いつきそのまま踵落としを放ってきた。
 なんとか受け止めたもののあまりの衝撃により俺は地面に向かってものすごいスピードで衝突した。
 衝突したがすぐにクレアのいる方向を見る。すると後ろから声が聞こえた。
「無能力者。何やってんだこんなところで?」
 そこに居たのは今回の任務で俺たちと共に来たクラスの連中だった。
「聞いているのか?無能力者。任務はどうなったんだ?いま中はどんな状況なんだ?」
 相変わらず俺を蔑んだ声が聞こえてくるが今はそんなことどうでも良い。
「驚いた。外にもお前の仲間がいたのか・・・。」
 その声の方向を見るとクレアが居た。
「なんだこいつ?ヒョロヒョロして弱そうだな~。」
「まさか無能力者。お前こんな弱そうな奴と戦ってそんなボロボロになったのか?」
「ハハハハハハハ!こんな雑魚みたいなやつに!お前にはお似合いだな。」
 学校の連中は相手の実力を推し量ることができないらしい。傲慢な態度でクレアに向き直る。
「あとは俺がやってやるよ。無能力者は家にでも帰ってろ。」
 クラスの連中の中の一人がそう言うとクレアの目の前まで歩を進めた。
「やめろ!殺されるぞ!」
 俺は止めようと動いたがさっきのダメージが残っているのか動くことができなかった。
「なにビビってんだよ?これだから無能力者は・・。」
 そして男はクレアに向かって拳を振るった。
「バカ!そいつに近づくな!」
 体が動けるようになったためクラスの男を止めようとしたのだが時すでに遅かった。
 他の連中も含め全員が倒れた。俺の目にも映らないほど高速で攻撃したのだ。
 近づいて生死を確認したが息はしていた。どうやら気絶しただけらしい。
「なぜ殺さなかった?お前の力ならすぐに殺せたはずだ。」
 俺は率直な疑問をクレアにぶつけた。
 その問いに対してクレアは表情を変えず答えた。
「俺からしたらこいつらなど殺す価値もない。メリットもなければデメリットもない。」
「あともう一つ。お前と戦闘をする上でコイツらは邪魔だと判断したからだ。」
「なぜ俺に固執する?」
「特に考えてないけど強いて言うなら強いから。」
「は?・・・」
「『スラム』をたった一夜で消すほどの力!俺はお前を倒して最強になる。」
「なんでそんなにも最強になろうとする?」
「・・・そんなことはどうでも良いだろ?さっきの続きと行こうぜ。井口 斗真。」
 そしてクレアは能力を発動した。
「手始めに『剣山』。」
 その言葉を皮切りに大地が揺れた。
「まずい!」
 俺は気絶した奴らを抱え上へ飛んだ。
 すると俺の下からネメシスの時とは比べものにならないほどの規模の剣が出てきた。
 ネメシスの時は屋上の面積でやっとだったのにクレアはその数百倍ほどの規模で能力を使用している。
 嫌な汗が流れる。地上に降りた俺はクラスの連中の一人を叩き起こすと気絶したやつらを全員連れてここから離れるよう指示した。
 そいつはクレアのヤバさを理解したのかすんなりとその場を離れた。
 離れたことを確認した俺は改めてクレアと対峙する。
 俺はナイフを取り出し戦闘態勢へと移行するのであった。
 
 

 
 
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