最弱な奴が実は最強?

レン

文字の大きさ
上 下
21 / 53

仲間

しおりを挟む
 そうして俺は奈津たちに全てを話した。
 あの事件の真相や実は能力を持っていることなどを。
 俺の話が終わったあと煌が質問をしてきた。
「お前の能力って具体的にどんな能力なんだ?」
 その質問に答えようとした時、ドアの向こうからロキの声が聞こえてきた。
「先程はすまなかった。ネメシスが改めて話があるらしいからまたあの場所に来て欲しい。」
 その言葉を聞いて俺たちは暫く悩んだ。
 話を聞かず逃げたとしても追いつかれ殺されるのがオチだろう。
 行くことを決心し俺たちは再びあの場所へと足を運んだ。
 そこには先程と同じ様に二人が立っていた。
 立ち止まるとネメシスが口を開いた。
「やはり貴方という人間があんな学校にいるのは惜しい。宝の持ち腐れです。」
 口調が元に戻っていた。
「交渉をしましょう。貴方が仲間に加わる代わりに他の人には危害を加えないと約束しましょう。」
 その言葉を聞いて俺は少し悩んだ。
 確かにここで断れば俺はまだしも奈津たちは一瞬で殺されてしまうだろう。
 それを踏まえて交渉成立のため返答しようと口を開き喋ろうと声を上げたと同時に誰かがその言葉を遮った。
 見ると奈津だった。奈津は俺を見て告げた。
「誰か一人でも欠けてはダメです!帰るならこの四人で帰りましょう!」
 その言葉を聞いて改めて実感した。
 この三人は足手纏いなんかじゃない。一人一人が心強い仲間だと。
 どうやら焦っていたのは俺の方らしい。奈津の言葉のおかげで冷静になった。
 気持ちの整理がついた俺はネメシスを睨む。
「悪いが断らさせてもらう。」
 その返事にネメシスが残念そうな顔をしながらも告げた。
「そうですか・・・。なら仕方がありません。殺させてもらいます!」
 そうして戦いの火蓋は切られたのだった。
 最初に仕掛けてきたのはロキだった。それに煌と天音が対応した。三人とも凄まじい速度で攻撃を繰り出していた。
 ロキはあの二人に任せておいて奈津と俺はネメシスを相手にする。
 相手の能力の詳細が分からない以上は迂闊に責めるのは得策ではない。
 かと言って守りに徹し続けてもジリ貧で殺される。
 悩んでいるとネメシスの方から攻撃を仕掛けてきた。
 よほど力に自信があるのか攻めるのに躊躇いは感じられない。
 俺は奈津に安全な場所にいるように指示しネメシスの攻撃を躱す。
 ギリギリで躱しながらも相手の能力について考える。
 だけどどれだけ考えても結論には至らなかった。
 俺が考えている最中でも加速し続ける攻撃。流石の俺でも苦しくなってきた。
 俺が疲労するその瞬間を狙っていたのだろう。
 ネメシスの打撃が俺の横腹を強打する。
 ものすごい勢いで俺は壁に激突した。
 体中が痛む。骨も何本かイカれている。呼吸することすら困難になっていた。
 そしてその隙を逃さず放たれた一撃。これを喰らったらいくら俺でも即死してしまうだろう。
 死を覚悟し俺は目を瞑った。そして心の中で俺が殺した人々に懺悔した。
 だがその拳は俺に届く事はなかったのである。
 不思議に思い目を開けると目の前に信じ難い光景が広がっていた。
 なんと奈津が俺を庇ってネメシスに腹部を貫かれていたのだ・・・。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた

リオール
恋愛
だから? それは最強の言葉 ~~~~~~~~~ ※全6話。短いです ※ダークです!ダークな終わりしてます! 筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。 スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。 ※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

どうぞお好きに

音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。 王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!

ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。 なのに突然のパーティークビ宣言!! 確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。 補助魔法師だ。 俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。 足手まといだから今日でパーティーはクビ?? そんな理由認められない!!! 俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな?? 分かってるのか? 俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!! ファンタジー初心者です。 温かい目で見てください(*'▽'*) 一万文字以下の短編の予定です!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...