最弱な奴が実は最強?

レン

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懺悔

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 これこそがあの事件の真相である。
 忌まわしき過去であると同時に俺の罪である。
 大切な人を守れず見殺しにしてしまった罪。忘れてはいけないものである。
 義理の妹である杏花は俺が暴走してしまった際に運良く生き残っていて俺が拾って育てたのだ。
 今、思えば杏花を育てたのは心の奥底で罪悪感を抱いていたからかもしれない。
 杏花の親を死なせてしまった原因は少なくとも俺にある。
 俺がちゃんとしていれば誰も死なずに済んだのだ。
 今更、あの時の行動を悔いたところで所詮は結果論である。
 ネメシスの話が終わり奈津たちが驚いた表情で俺を見つめている最中、ロキが話しかけてきた。
「斗真って言ったか?お前、俺たちの仲間になる気はないか?」
「・・・・・は?」
 その思いがけない言葉に俺は素っ頓狂な言葉をあげるしかなかった。
 名前を言った覚えはないので多分、調べたのだろうがそんなこと今はどうでもいい。
 困惑している俺を無視して話は続く。
「お前は俺たちと同様に絶望したはずだ!弱者が一方的に淘汰され蹂躙されるこの世界に!」
「だからこそ共にこの世界を壊そうじゃあないか!」
 ・・・確かに俺はあの日、世界に絶望した。能力者だけが優遇され「スラム」に居る様な力無き人を差別する世界に。だけど・・・。
「そんなのお断りだな。」
 俺ははっきりと言ってやった。 
 予想外の返答だったのかロキは驚いていた。
 それでもなお俺は話を続けた。
「仮にこの世界を壊してもその先にみんなが望む幸福があるのかわからない。」
「だから俺はお前たちの仲間になんてならない。」
 その言葉を聞いたからかそれとも別のことを思ったのか定かではないがいきなりロキが襲いかかってきた。
 俺たちも構えるとそれまでずっと黙っていたネメシスがロキに向かって静かな声音で命令した。
「下がれ。ロキ・・・。」
 さっきのお淑やかな言葉遣いは何処へやらいきなりネメシスの口調が変わった。
 キレている。それだけは分かった。だがそんな事は今この一瞬でどうでも良くなった。
 一気にその場の空気が変わったのだ。先程とは比べ物にならないほどの威圧感を発していた。
 冷や汗が止まらなかった。その場を離れなければ命は無いと本能が理解していた。
 その圧に耐えられなかったのか奈津が呼吸を乱しその場にしゃがみ込んでしまった。
 怒りが収まったのか威圧感が和らいだ瞬間に俺たちは奈津を抱えて部屋を飛び出した。
 辿り着いたのは小部屋。そこで息が整うまで居ることに決めた。
 奈津を地面に降ろし深呼吸をさせる。
 少しの間やり続け奈津の呼吸が安定したのを確認したからか煌が問いただしてきた。
「斗真。あの女の話って本当なのかよ?」
 その問いに俺はこう返すしかなかった。
「真実だよ。」と・・・。
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