彼女と私の冷戦と部活

阿峰 剛

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第4話 仲間

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「どういうこと?」

 思ってもみなかったその発言に驚き、眉をひそめて瑠衣を見た。

 私の刺すような視線を、瑠衣は綺麗な瞳で受け止めた。

「2人ともね、とっても負けず嫌いなの。そりゃみんなお互いに負けたくないって思ってるけど、2人はそれがずば抜けて強いの。」

 まさか。私はいつも諦めてたのに。メンバーなんて、私には務まらないって、どこかで選ばれないように祈ってたこともあったのに。

 「あ、自分で自覚ないでしょー」

 ビクッ

 顔に出てたかな。
 瑠衣は天然に見えてとても敏感なのだ。

 「そういうとこなの。真奈と亜梨沙の違い。」

 後ろから話し声が聞こえ始めた。後輩たちも帰り支度を終えて、部室から出てきたのだ。バッグに付いたキーホルダーのチャラチャラいう音や、たくさんの足音と笑い声が廊下に響く。

 とりあえず行こっか、と、瑠衣は私の背中をぽんぽんと叩いた。

 「何はともあれ、自信持って大丈夫だよー。」

 出た、瑠衣節。必殺大丈夫だよ。
 
 私も思わず顔が綻んだ。
 この子は素直だし、絶対に嘘を付かない。この子が大丈夫と言えば、辛い状況でもどうにかなりそうになるのだ。
 結局、私がメンバーに選ばれた理由は聞けなかった。でも、少なくとも瑠衣は応援してくれている。この子は裏切れない。
 
 よし、明日の練習頑張るか。

 私は久しぶりにそう思えた。
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