私達、怪奇研究部!!

たけまる

文字の大きさ
上 下
4 / 34
学校の七不思議編

第2怪

しおりを挟む
 夜の学校、そこには昼間とは違う怪異が存在する時間。美玲と純が暗闇の廊下を歩いている。ザザッ……ザァー………と夜に鳴るはずのない校内放送の音がする。

「じゅ、純。今、校内放送なんて言ってた?」

『ザァー…か……み…こ……ザザッ……す……し…ね』

(いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

 何故こんな目にあったかと言うとそれは今日の放課後のこと。





「じゃーん! ここが怪奇研究部の部室でーす!」

 校長室と書かれた札の上に貼り付けてある手書きの『怪奇研究部』という文字。その扉は他の教室より立派だ。心優しい校長が、半ば無理矢理自室を開け渡されたのだ。

「良く来たなぁ! じゅーーーん!!」

 突然バンっと扉が開き、中から少年が手を広げ飛び出して来た。純はサッと横に避け、行き場を無くした少年はそのままの勢いで向かいの壁際に置かれていたダンボールへ、ボウリング球のようにぶつかる。

「あっ、部長!」

 唖然とする純を横に、私はやっとその人の正体に気がついた。ボサっとしている銀髪にメガネの奥に隠れた深碧しんぺき色の瞳が伺える。

「いてて……酷いぞ、純! この兄の抱擁ほうようを無視するとは!」

「いつの話だ、俺はお前の弟じゃねぇ! 不名誉なっ!」

「不名誉?!」

 二人をなだめながら部室に入れる。そこには他のメンバーが揃っていた。

「純、紹介するね! こちら……」

 長い茶色の髪は艶めいていて儚い美しさがあり、ジトっとした瞳は常に警戒心丸出しの子猫のような女の子。この部室唯一の一年生、桜田京子さくらだきょうこ。続いて二年生は円城寺美玲と佐々木純、そして私達の隣のクラスに属している真野岬しんのみさき。岬というが男の子である。サラサラの栗毛色の髪は短く切られ、縁の黒いメガネをかけたぶっちゃけ陰キャなビビり。なぜ怪奇研究部に入部したかは不明。

「んで……あれ?」

 鮮やかなオレンジ色のウェーブのかかった髪をなびかせる見知らぬ女の子が一人。部長が勝ち誇った顔で指を差してアピールしている。

「いや、あの。どなた?」

 それに真野がハッとして答える。

「僕のクラスに転校してきた宮本みやもとルルカさんです。怪奇研究部に入部するそうで僕が案内しました」

「え、えぇ!? 私たち、転校生も交換留学生もゲットしちゃったの?! 他の部活には悪いけど」

 内心とてもワクワクしている。そこに恨めしそうに見つめていた部長が乱入する。

「俺がスカウトしましたっ!」

 新たなメンバーが二人も増え、怪奇研究部はスタートを切った。



「そういえば部長と純さんは知っているようでしたけど、お友達なんですか?」

 自己紹介を終わらせ、親睦を深める雑談会議が始まった。そこに真野が疑問を投げかけ、純が答えた。

「友達というか……もともと俺は地元こっちだし、美玲とも小さい頃からずっと一緒にいたから幼馴染ってやつじゃないかな?」 

 歯切れ悪く純が答えた。それに井戸端会議をしているマダムのように部長が割り込んできた。

「はぁ、昔は兄ちゃん兄ちゃんって……あの時の可愛い純はどこへやら。ねぇ? 奥さん」

「あらいやだ、きっと反抗期ってやつですわ」

 部長の問いかけに美玲もマダムモードで乱入する。集結した幼馴染は強いのだ。真野が少し引き目に「仲がいいんですね」とだけ答えた。あれだけ仲良く遊んでいた美玲たちはとある日に離れ離れになった。私たちは小学校が違った為、お互い学校が終わった後に公園に集まっていた。しかし、純は父親の仕事の都合で四年生の時に東京へ引っ越してしまった。

「さて、新メンバーも増えたことだし……」

 部長が手を叩いて合図する。それに皆が注目した。

「まずはこの学校を知って貰おうという事で『学校の七不思議検証』を行いたいと思います!」

 学校の七不思議検証!?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

人形学級

杏樹まじゅ
キャラ文芸
灰島月子は都内の教育実習生で、同性愛者であり、小児性愛者である。小学五年生の頃のある少女との出会いが、彼女の人生を歪にした。そしてたどり着いたのは、屋上からの飛び降り自殺という結末。終わったかに思えた人生。ところが、彼女は目が覚めると小学校のクラスに教育実習生として立っていた。そして見知らぬ四人の少女達は言った。 「世界で一番優しくて世界で一番平和な学級、『人形学級』へようこそ」

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

ロボリース物件の中の少女たち

ジャン・幸田
キャラ文芸
高度なメタリックのロボットを貸す会社の物件には女の子が入っています! 彼女たちを巡る物語。

【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。

千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。 風月学園女子寮。 私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…! R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。 おすすめする人 ・百合/GL/ガールズラブが好きな人 ・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人 ・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人 ※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。 ※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

あやかし学園

盛平
キャラ文芸
十三歳になった亜子は親元を離れ、学園に通う事になった。その学園はあやかしと人間の子供が通うあやかし学園だった。亜子は天狗の父親と人間の母親との間に生まれた半妖だ。亜子の通うあやかし学園は、亜子と同じ半妖の子供たちがいた。猫またの半妖の美少女に人魚の半妖の美少女、狼になる獣人と、個性的なクラスメートばかり。学園に襲い来る陰陽師と戦ったりと、毎日忙しい。亜子は無事学園生活を送る事ができるだろうか。

処理中です...