【完結】サヨナラの向こう側にあるもの

愛してるって云わないで

もう顔も忘れた人なのに

彼の最後の言葉と夏の暑い日差しを私の脳は記憶している

今日会えないのなら、もう連絡して来ないで…

そう告げた後、黙る私に…

愛してるって、最後の言葉を熱っぽく告げたのだ

これが最後とは思えない甘い声で

愛してるって云ったくせに、もう連絡するなとか…

意味が分からなくて、私は混乱していた

一方的に終わらされた恋だった

私の中では、まだ愛になりきれていなかったからダメだったのかな？

通話が切れた後、かけ直して私も愛してるからって云う事が出来たなら恋は続いていたのだろうか？

あの頃の私は、恋に恋していて彼の事をきちんと見る事が出来ていなかったから

彼にとっては最後の賭けだったのかな？

私は、試されていた？

彼が気持ちを何度も伝えてくれても、それを本気だと思えなかった私

好きとか、大好きとか、愛してるって云われても、その言葉を信じる事が出来なかった

自分に全然自信がなくて、彼の想いを受け止められなかった

誰かを好きになる、恋する、愛する準備が整っていなかった

それでも恋はしたくて…

迷惑かけちゃったね

あれから時は流れて、今は自分から好きだと伝えられるヒトに出逢えたけれど…

まだ愛してるって云う自信が持てない

愛を育めているか、自信がないから…