【完結】サヨナラの向こう側にあるもの

feel blue ◈少女幻想◈

後ろ姿を見つめるだけでドキドキしてたあの頃。

うっかり視線が合えば赤面して俯いてしまうだけ。

話しかけられたら心臓が飛び出てしまいそうな程に緊張して

片想いの見本みたいだったあの頃。

自分の気持ちに自信が持てなくて想いを告げるなんて恐ろしくて出来やしなかった。

私に好かれて嬉しいはずない。

恋なんて叶うはずないって思ってた。

大人になった今も恋なんてよくわからないし

愛なんて到底理解出来ない。

誰かに想いを寄せてときめく時もあるけど。

少女の頃のように

純粋に

叶わないと知りながらも甘い片想いに身を焦がす事はない。

恋なんて全然甘くないと知ってしまったから。

甘い溜め息をついて

うっとりと二人の世界に浸っているような恋なんて存在しないと分かったから。

恋って苦くて辛くてどうしようもないものだよとあの頃の私に伝えたい。

でもね。

その苦さに慣れると不意に甘くなったりするからね。

やっぱり恋する事はやめられないんだ。