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続・魂の宿り木

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木の下に座り込んで途方に暮れていたアリアは、遠くに薄ぼんやりと明かりが灯っているのに気づくと

その明かりに誘われるように歩きだした。

小さく見えていた明かりは段々と大きくなり

近くまで来た時には目を開けていられない程に眩しくてアリアはクラクラしながらも

その明かりの正体を見極めようと目を凝らした。

何?木の実が全部光ってる?

アリアの前にそびえ立つ大樹になっている実のひとつひとつが光を放っているのだ。

「アリアはこれが何だかわかるかい?この実の中には魂が入っているんだよ。前世で悪いことをしたり、病で無くなってた人なんかの魂を浄化しているのさ。魂の中の不純物がこの木の栄養になって魂を浄化しているんだよ。この放光が治まったら魂の浄化が終了するんだよ。そして、浄化された魂の果実が母体に宿って新しい命が生まれるんだよ。この世界はそうやって命を繋いでいるんだよ。」

アリアに語りかけてくる声に納得するも

それが誰であるのか、何処にいるのか分からずにキョロキョロと辺りを見回すアリア。

クスクスッと笑い声が聞こえてアリアの目の前に紅く美しく輝く鳥が表れた。

「アリア、はじめまして!私はこの命の森の守り神だよ。今日はアリアにお話があったから、神様に頼んでアリアの夢の中に入らせてもらったんだ。」

はじめまして!貴女は私を知ってるの?

「勿論!貴女をこの世界に招いたのは神様だけど、元々のアリアの魂は今私が預かってるんだよ。美憂がアリアになる前のアリアの魂は病に侵されて死が近かったんだ。でもね、ミレディアとデイブが毎日神殿に来て神様にアリアを助けて下さいって御祈りしてたんだ。それで、神様が私にアリアの魂を預けて浄化する為に異世界から美憂の魂を招いてアリアの器に移動させたんだよ。」

どうして私だったの?

「それはね。美憂のお母さんが実はこの世界からの転生者でミレディアの亡くなった姉にあたる人なんだ。その縁もあってアリアの器に入るのにピッタリな魂が美憂の魂だったんだ。」

じゃあ、私はもう前の世界には戻れないの?

「神崎美憂としては無理かもしれないけど、本当のアリアの魂の浄化が終了した時に美憂が望めば前の世界に戻す事は可能だよ。その時になれば神様が美憂の意志を確認してくれるはずだから。」

そっかぁ。それまではアリアとしてこの世界で生きるしかないんだね。前に兄妹喧嘩が私の転生の原因て聞いたのは何だったのかな?

「兄妹喧嘩も関係はあるみたいですよ?詳しいことは神様に聞いて下さいね。美憂さん!今しばらくアリアさんとしてこの世界で暮らしてみて下さいね。貴女がこの世界に馴染む事がアリアの魂の浄化を早める事に繋がるんです。貴女がこの世界で楽しく生きる事が1番の浄化になるんですから。」

アリアの器に選ばれたのが、私の魂なのかぁ。選ばれたんだから頑張らないとね。何を頑張るかはまだわかんないけど‥

「うふふっ。美憂さん。そのうち解りますよ。貴女がこの世界に転生してきたわけが‥また、会いましょうね。目が覚めたらきっと私の事は忘れてると思いますけど‥」

それを聞いた美憂は笑いながら、またねと呟いて眠りに誘われていくのであった。



    
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