78 / 95
小さな聖女
しおりを挟む
「うわぁん…ミリぢゃあん、いだぁい…」
「どうしたの?ユウちゃん?いたいいたいなの?」
こども園のプレイルームでつみきで遊んでいたミリアのところへ、泣きながらやって来たのは仲良しのユウくんです。
外遊びをしていて転んだらしく、ヒザをすりむいて血がでています。
「ユウくん…ちがでてる」
「ゆうくん、いたいいたいね。
りりせんせよぼう」
ケガしているユーリは中々のイケメンなので、女子たちが周りをかこみ、気を利かした誰かがリリス先生を呼びにいきます。
ユーリに泣きつかれたミリアは、
「ユウちゃんは、なきむしね…いたいのいたいのとおいおそらにとんでけー」と言いながら頭をなでている。
「あれ?いたくない?
おヒザいたくなくなった。
ミリちゃんありがとう」
ユーリはピリピリ、ズキズキしていたヒザから痛みが消えたのでビックリしている。
ミリアは、ニコニコしながら答え
「わたしがころんだときに、ばばさまがおしえてくれたおまじないなの。
いたいのなくなったでしょ?」
「うん!ミリちゃんありがとう。
これからも、ぼくがケガしたらミリちゃんがなおしてくれる?」
「ユウちゃん!おまじないおしえたからつぎからはじぶんでなおせるよ?」
ふたりのやり取りを一部始終見ていた子供たちは、冷静な判断を下しているようだ。
(ゆうくん、ふられたね)
(ミリちゃんはドンカンだよね)
(ミリちゃん…)
(ユウくんはヘタレ)
(ゆうりくんはイケメンだけど、おしがよわいのね)
このこども園は、将来南海地区を支えていくであろう貴族の子女が通っている事もあり、
社交界デビュー前ながら、未来のお婿さんやお嫁さんを探す場所になりつつあるようだ。
第二王子妃であるレナが経営する商会の付属施設という事もあり、こども園に通うのは南海地区の貴族たちのステイタスとなっているのだとか。
ハロルドやミリアと仲良くなるようにと子供をけしかける親もいるようで…
やたらとミリアやハロルドに群がる子供達は、心配症のじいじがつけた影から危険認定された場合、速やかに処分されているのだ。
こども園は、元々はシャルマン商会の従業員のこどもを預かる施設だったのですからね。
現在は、レナやリリスと親しくしている貴族の子供達も受け入れているのだが…
自分の子供を、高位貴族の婚約者にしようと画策している様子が見られたら直ぐに退園してもらう事にしている。
それでも、ハロルドやミリアと無理やりに縁を繋ごうとしてくる者には、
「ここは、学びの場であり、社交場ではありません!直ぐに出ていきなさい」とリリスが最後の忠告をするのだ。
最強聖女リリスに逆らう事は、即ちこの国では生きていけない事を意味するので、忠告された者は震え上がり彼女に許しを請うのだ。
聖女リリスが、レナの姉であり、レナとその子供たちを溺愛している事を知らなかった者の行く先には…
破滅しかない。
◇◇◇◇
子供たちに呼ばれたリリスが駆けつけた時には、ユーリは泣きやみヒザの傷もふさがっていた。
「ユーリくんが転んで怪我をしたって聞いたけど…大丈夫そうね?
血も出ていないし…」
リリスは、ユーリの膝を確認しながら不思議そうにしている。
「りりせんせ、あのね。ミリちゃんがいたいいたいなおるおまじないしてくれたの」
「ミリがいたいのとんでけーしたのよ、りりちゃん。
ばばさまのおまじないきくの」
それを聞いたリリスは…
王妃様は、ミリアを大聖女に推すつもりなのかしら?
ミリアが聖女になりたいなら、私はサポートしないとね!と張り切るのだった。
リリスがミリアの指導に燃える事までを見越している王妃様は、間違いなく確信犯である。
「どうしたの?ユウちゃん?いたいいたいなの?」
こども園のプレイルームでつみきで遊んでいたミリアのところへ、泣きながらやって来たのは仲良しのユウくんです。
外遊びをしていて転んだらしく、ヒザをすりむいて血がでています。
「ユウくん…ちがでてる」
「ゆうくん、いたいいたいね。
りりせんせよぼう」
ケガしているユーリは中々のイケメンなので、女子たちが周りをかこみ、気を利かした誰かがリリス先生を呼びにいきます。
ユーリに泣きつかれたミリアは、
「ユウちゃんは、なきむしね…いたいのいたいのとおいおそらにとんでけー」と言いながら頭をなでている。
「あれ?いたくない?
おヒザいたくなくなった。
ミリちゃんありがとう」
ユーリはピリピリ、ズキズキしていたヒザから痛みが消えたのでビックリしている。
ミリアは、ニコニコしながら答え
「わたしがころんだときに、ばばさまがおしえてくれたおまじないなの。
いたいのなくなったでしょ?」
「うん!ミリちゃんありがとう。
これからも、ぼくがケガしたらミリちゃんがなおしてくれる?」
「ユウちゃん!おまじないおしえたからつぎからはじぶんでなおせるよ?」
ふたりのやり取りを一部始終見ていた子供たちは、冷静な判断を下しているようだ。
(ゆうくん、ふられたね)
(ミリちゃんはドンカンだよね)
(ミリちゃん…)
(ユウくんはヘタレ)
(ゆうりくんはイケメンだけど、おしがよわいのね)
このこども園は、将来南海地区を支えていくであろう貴族の子女が通っている事もあり、
社交界デビュー前ながら、未来のお婿さんやお嫁さんを探す場所になりつつあるようだ。
第二王子妃であるレナが経営する商会の付属施設という事もあり、こども園に通うのは南海地区の貴族たちのステイタスとなっているのだとか。
ハロルドやミリアと仲良くなるようにと子供をけしかける親もいるようで…
やたらとミリアやハロルドに群がる子供達は、心配症のじいじがつけた影から危険認定された場合、速やかに処分されているのだ。
こども園は、元々はシャルマン商会の従業員のこどもを預かる施設だったのですからね。
現在は、レナやリリスと親しくしている貴族の子供達も受け入れているのだが…
自分の子供を、高位貴族の婚約者にしようと画策している様子が見られたら直ぐに退園してもらう事にしている。
それでも、ハロルドやミリアと無理やりに縁を繋ごうとしてくる者には、
「ここは、学びの場であり、社交場ではありません!直ぐに出ていきなさい」とリリスが最後の忠告をするのだ。
最強聖女リリスに逆らう事は、即ちこの国では生きていけない事を意味するので、忠告された者は震え上がり彼女に許しを請うのだ。
聖女リリスが、レナの姉であり、レナとその子供たちを溺愛している事を知らなかった者の行く先には…
破滅しかない。
◇◇◇◇
子供たちに呼ばれたリリスが駆けつけた時には、ユーリは泣きやみヒザの傷もふさがっていた。
「ユーリくんが転んで怪我をしたって聞いたけど…大丈夫そうね?
血も出ていないし…」
リリスは、ユーリの膝を確認しながら不思議そうにしている。
「りりせんせ、あのね。ミリちゃんがいたいいたいなおるおまじないしてくれたの」
「ミリがいたいのとんでけーしたのよ、りりちゃん。
ばばさまのおまじないきくの」
それを聞いたリリスは…
王妃様は、ミリアを大聖女に推すつもりなのかしら?
ミリアが聖女になりたいなら、私はサポートしないとね!と張り切るのだった。
リリスがミリアの指導に燃える事までを見越している王妃様は、間違いなく確信犯である。
0
お気に入りに追加
288
あなたにおすすめの小説
【完結】「私は善意に殺された」
まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。
誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。
私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。
だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。
どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿中。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる