【完結】婚約破棄しろとうるさい幼なじみを溺愛して幸せな結婚を目指します!

まゆら

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小さな聖女

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「うわぁん…ミリぢゃあん、いだぁい…」

「どうしたの?ユウちゃん?いたいいたいなの?」

こども園のプレイルームでつみきで遊んでいたミリアのところへ、泣きながらやって来たのは仲良しのユウくんです。

外遊びをしていて転んだらしく、ヒザをすりむいて血がでています。

「ユウくん…ちがでてる」

「ゆうくん、いたいいたいね。
りりせんせよぼう」

ケガしているユーリは中々のイケメンなので、女子たちが周りをかこみ、気を利かした誰かがリリス先生を呼びにいきます。

ユーリに泣きつかれたミリアは、

「ユウちゃんは、なきむしね…いたいのいたいのとおいおそらにとんでけー」と言いながら頭をなでている。

「あれ?いたくない?

おヒザいたくなくなった。

ミリちゃんありがとう」

ユーリはピリピリ、ズキズキしていたヒザから痛みが消えたのでビックリしている。

ミリアは、ニコニコしながら答え

「わたしがころんだときに、ばばさまがおしえてくれたおまじないなの。

いたいのなくなったでしょ?」

「うん!ミリちゃんありがとう。

これからも、ぼくがケガしたらミリちゃんがなおしてくれる?」

「ユウちゃん!おまじないおしえたからつぎからはじぶんでなおせるよ?」

ふたりのやり取りを一部始終見ていた子供たちは、冷静な判断を下しているようだ。


(ゆうくん、ふられたね)

(ミリちゃんはドンカンだよね)  

(ミリちゃん…)

(ユウくんはヘタレ)

(ゆうりくんはイケメンだけど、おしがよわいのね)

このこども園は、将来南海地区を支えていくであろう貴族の子女が通っている事もあり、

社交界デビュー前ながら、未来のお婿さんやお嫁さんを探す場所になりつつあるようだ。

第二王子妃であるレナが経営する商会の付属施設という事もあり、こども園に通うのは南海地区の貴族たちのステイタスとなっているのだとか。

ハロルドやミリアと仲良くなるようにと子供をけしかける親もいるようで…

やたらとミリアやハロルドに群がる子供達は、心配症のじいじがつけた影から危険認定された場合、速やかに処分されているのだ。

こども園は、元々はシャルマン商会の従業員のこどもを預かる施設だったのですからね。

現在は、レナやリリスと親しくしている貴族の子供達も受け入れているのだが…

自分の子供を、高位貴族の婚約者にしようと画策している様子が見られたら直ぐに退園してもらう事にしている。

それでも、ハロルドやミリアと無理やりに縁を繋ごうとしてくる者には、

「ここは、学びの場であり、社交場ではありません!直ぐに出ていきなさい」とリリスが最後の忠告をするのだ。

最強聖女リリスに逆らう事は、即ちこの国では生きていけない事を意味するので、忠告された者は震え上がり彼女に許しを請うのだ。

聖女リリスが、レナの姉であり、レナとその子供たちを溺愛している事を知らなかった者の行く先には…

破滅しかない。

◇◇◇◇

子供たちに呼ばれたリリスが駆けつけた時には、ユーリは泣きやみヒザの傷もふさがっていた。

「ユーリくんが転んで怪我をしたって聞いたけど…大丈夫そうね?

血も出ていないし…」

リリスは、ユーリの膝を確認しながら不思議そうにしている。

「りりせんせ、あのね。ミリちゃんがいたいいたいなおるおまじないしてくれたの」

「ミリがいたいのとんでけーしたのよ、りりちゃん。

ばばさまのおまじないきくの」

それを聞いたリリスは…

王妃様は、ミリアを大聖女に推すつもりなのかしら?

ミリアが聖女になりたいなら、私はサポートしないとね!と張り切るのだった。

リリスがミリアの指導に燃える事までを見越している王妃様は、間違いなく確信犯である。




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