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海辺の街へ

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ようやく、レナとふたりだけの時間が過ごせると後先考えず転移で海辺の別荘に来てしまったリカルドはレナにお説教されていた。

「旦那様…どうしていきなり転移なのです?」

「それは…レナが早くここに来たいだろうと思って…」

レナ…

普段は厳しくないのに…

納得いかないと追求激しいんだよな…

めちゃくちゃ追い込んでくるし?

それにしても…真剣に怒るレナも可愛らしいな!

レナからの質問に答えながらニヤニヤしているリカルドである。

旦那様って呼ばれるのもいいなぁ…

はぁ…幸せ!

目の前でぷんぷんしているレナが可愛すぎてたまらない…

自分だけに向けられたレナの怒り…

えぇ…もう最高なんですよ?

◇◇◇◇◇

幼き頃から人前で自分の感情を出さないようにしてきたリカルドだが、レナの事になると長年培ってきたポーカーフェイスが崩されてしまうのだ。

普段みたいな冷静な判断も出来なくなってしまう。

リカルドからクールな王子である仮面を瞬時にはがせるのは、昔からレナだけなのだ。

それが、リカルドがレナと結婚したいと思った理由のうちのひとつだ。

レナといればいつだって自分は重責のある王子としての立場を忘れられるから…

レナにはヒトに安らぎを与える力があるのだ。

リカルドの母である王妃もレナちゃんといると癒やされるわぁ…といつも言っているし…

義姉である聖女リリスも、レナにしばらく会わないと落ち着かない!と足繁くリカルド達の新居にやってくるのだ。

レナにはヒトを無意識に惹きつける力がある。

◇◇◇◇◇◇

「リカルド様?私の話をちゃんと聞いて下さってますの?」

脳内で色々レナとのこれまでの事を思い出していたリカルドはようやく我に返る。

「レナ…勿論だよ。」

「それならよいのです。私…前にリカルド様と一緒に行ったあのアイスクリームが沢山あるところで食事がしたいのです!」

アイスクリームが食べたいと目を輝かしているレナはやはり可愛すぎるな…と思いながら…

「では、明日にでも行こうか。私もアイスクリームが食べたいと思っていたんだよ。季節ごとに違うフレーバーが増えるんだろ?」

「そうなのです!季節限定のフレーバーが気になっているのです…」

どうやらまだまだレナは色気より食い気が勝るようで…

ふたりだけの甘い夜といった雰囲気にはならないようです…

ふたりのところには…

しばらくコウノトリは来そうにないですね…



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