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第十二話

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リカルドside

私は緊張している。

今、シャルマン家でレナの母上とふたりでお茶を飲んでいるのだが…

何故なんだろう?

晩餐会の前にレナに直接お土産を渡したくて早く来たのが失敗だったらしい。

私はそんなに社交が得意でなく、ご婦人と楽しく会話をするのはどちらかというと苦手だし…

ともかく、レナの母上に嫌われないよう頑張って相槌を打つ事に必死になっていると…

「リカルド様は、うちのレナのどんなところがお好きなの?」という素晴らしい質問をされたので

私は、レナの魅力のありったけをレナの母上にお伝えしようと話していたのだが、途中で止められてしまった。

何故だ!

レナについてもう少し語らせてくれないか?と無言でレナの母上を見つめると…


「リカルド様のそのお気持ちは、レナにはまるっきり伝わってない事はお分かりですか?」と、私があ然とする事実を突きつけられた。

えっ!

私のこの熱い想いが一切レナに伝わっていない?

何故だ?

こんなにレナが好きなのに?

考えこんでいる私に、

「リカルド様、女はいつも愛しい方からの愛の囁きを待っていますのよ。

高価なプレゼントや花束や宝石では気持ちは伝わりませんわ。

それよりも、たったひと言が欲しいのですよ。

レナもそうですよ。

リカルド様の熱い想いをあの娘に伝えて下さいませんか?

あの娘は、世間知らずで恋の駆け引きなど知らずに育っておりますから、初恋の王子様であるあなたにどう接してよいかわからないのです」

「心得た。私はレナの優しさや控えめな態度に甘えてきたようだ。

レナは、私の気持ちを察していると勝手に思っていたようだ。

忠告してくれた事を感謝しております。

これからも、何かあればご指摘下さい」

私は、レナの母上に頭を下げた。

「殿下…駄目ですわ。

私に頭を下げるなど…

勿体のうございます」

「私の間違いを指摘してくれた敬愛する人生の先輩としてですから…」

私がそう告げるとレナの母上は、レナそっくりの可愛らしい笑顔を見せてくれた。

「リカルド様、もう一杯お茶をのみませんこと?頭が冴えるハーブティーですの」

「それは飲んでみたい!一杯いただけますか?」

その後、晩餐会が始まるまでレナの母上からレナの好みについて教えてもらったり、リリス先生の弱点を聞いたりと楽しい時間を過ごした。

後は…

晩餐会の後、レナに私の熱い想いを告白するだけ!

その前に…

晩餐会…緊張してきたかも?

ヤバいな…

王子らしく、レナの婚約者らしく振る舞わなければ…



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