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カレーの香り

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何かいい匂いする‥

そう思って起きたら、ほーちゃんが隣に座ってた。

あれ?

うちのリビングだよね?

私‥

マールガーデンの帰りに真也くんとミルクも一緒に行けるカフェに寄って帰ってきたんだよね?

途中からの記憶がないって事は私また寝ちゃった?

「お姉ちゃん?どうしたの?大丈夫?頭痛いの?」

ソファーから起き上がって頭を抱え込んだ私を心配して

ほーちゃんが声をかけてきた。

「うん。大丈夫!ねぇ。私ってどうやって帰ってきたの?」

「センパイが寝てるお姉ちゃんを抱っこして車からここまで運んで来てくれたけど?」

「わぁ、どうしよ?私‥真也くん怒ってないかな?」

「俺なら怒ってないよ?はい。あゆむさん、お水飲んだら?」

何故か、真也くんがうちにいて私にお水を渡してくれた。

横のほーちゃんを見たらちょっとニヤニヤしてる‥

何か‥気まずい‥

◇◇◇◇◇

ガチャッとリビングのドアが開いて入って来たのは海里くんだ。

風呂上がりらしく、髪の毛をバスタオルでふいてる。

「ほたるちゃん、お風呂直ぐ入る?」

隣のほーちゃんをチラ見すると、ニコニコしながら

「じゃあ、入ってくるね。センパイごゆっくり。あっ!お姉ちゃん!お腹空いてるならカレーあるからね。お姉ちゃんの好きなヤツだよ。センパイもよかったら食べてね。」

そう言うとパタパタと小走りで私の横から消えた。

ほーちゃん‥この気まずい空気どうすんの?

「俺、ちょっと部屋で調べものあるんで真也さんごゆっくり。」

あー。頼みの綱の海里くんが‥

ミルク助けて!って、ミルク寝てる‥

何か私追い詰められてない?

「あゆむさん、俺カレーたべたいかも?」

「私も食べようかな?今、温めるから真也くんは座ってて?」

「海里くんが俺用にチーズナン作ってくれてるみたいなんだけど‥
焼こうかな?」

「いいよ!私が焼くし!アツッ。」

慌ててカレーを温めようとしたら鍋はまだ熱くて‥

触れた指が水ぶくれになった。

「ちょっと!あゆむさん?見てないで直ぐ冷やさないと。」

真也くんが慌てて、私の指を流水で冷やしてくれた。

「真也くん、有難う。さっきも寝ちゃったし‥ごめんね。私を運んでくれたんだよね?」

「何言ってるの?あゆむさんが疲れてるの気づかないで連れ回した俺が悪いんだから謝らないで。あっ。カレー焦げるよ?」

「あっ。ごめん!私‥」

「また、謝る。もう俺には謝らないで!あゆむさんは、ナン食べる?」

「私はご飯派なの。カレーたっぷりかけて半熟の目玉焼きのせて食べるのが好きなんだ。」

「へー。それもいいね。」

さっきの気まずさが嘘みたい。

何か楽しいかも?

ナンを焼きながら嬉しそうな真也くん‥

可愛いな。

ほーちゃんと海里くんがふたりにしてくれてよかった。

「あゆむさん!目玉焼き‥」

あー。完熟になってる‥

「それは、俺がもらうからまた焼いたら?」

「うん。有難う真也くん。」

「あゆむさんって、しっかりしてそうで結構ぼんやりしてるよね?」

「そうかも。ほーちゃんの方が実はしっかりしてるんだよね。」

「けど、俺はそこが好きだな。」

「えっ?」

「あゆむさんが好きだって言ったの?」

「嘘‥」

「残念ながら、本当。俺は前から杉野あゆむさんが大好きなんだけどな。伝わってなかった?」

「そうみたいです。」

あゆむさんは、真っ赤な顔で半熟の目玉焼きをカレーの上にのせてる。

困ってるみたいだけど、今日は逃がさない!

ほたるんと海里くんがくれたチャンスだから。

「杉野あゆむさん!俺と付き合って下さい。」

「はいっ。私でよければ。よろしくお願いします。」


真っ赤になってうつむくあゆむさんが可愛すぎてヤバいから‥

今までの想いを込めて抱きしめた。

そんな俺たちの様子を寝ぼけた顔したミルクだけが見ていた。

長かった俺の片想いにようやくピリオドが打てた。



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