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雨の午後はふたりで
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せっかくのお休みなのに雨だね。
横で丸くなってるミルクに話しかけてみるものの
ミルクは、クークーと寝息をたててお昼寝の真っ最中。
お花見行きたかったなぁ‥
窓から外を眺め、花散らしの雨を恨みがましく見つめるあゆむである。
天気がよければ散歩がてら公園の桜を見に行こうと思っていたのだ。
昨夜からの雨風できっと桜は散ってしまったんだろうなぁとガッカリしながら
友人から頼まれたイラストをサラサラと描き始めるのだが
何だか今日は気分がのらない。
夕陽のとこ行くとお兄ちゃんに会いそうだし‥
マキちゃんとこはラブラブ過ぎてあてられそうだし
近くに隠れ家新たに見つけないとだな‥
ブツブツ言いながら、さっき描いたのをボツにして新しいイラストを描き‥
あーやっぱ無理無理!
ちょっと気分転換に行こう。
雨でもいいから桜見に行こう!
まだ熟睡中のミルクの頭を撫でて、お留守番してるんだよ。と告げると
レインハット、レインコート、レインブーツを装備して雨の中を公園に向かうことにした。
玄関を開けたとたんに吹き込む雨風にめげそうになりながらも公園に向かおうとしていると
見慣れた車がこっちに向かってきて、減速しながらあゆむの横で止まった。
真也くん‥
◇◇◇◇
雨の中を歩いてる人がいるから減速して通り過ぎようとしたら、会いたいと思ってたあゆむさんなんだけど?
あゆむさん、動かないんだけど‥どうしたんだろ?体調悪い?
こんな雨の中を歩いて何処に行くつもりだったんだろ?
俺の車って気づいてないのかな?
あゆむさんならありえるな。
真也は窓を開けてみた。
ぼんやりと真也を見つめるあゆむ。
「あゆむさん?どうしたの?ともかく車に乗って。」
真也に呼びかけられやっと正気に戻ったのか、ワタワタしながら車のドアを開けて乗ろうとするが
車のシートが濡れてしまうと躊躇している。
「濡れてもいいからそのまま乗って!」と真也に言われやっと乗り込んできた。
◇◇◇◇
「あゆむさん、こんなに雨ひどいのに何処に行くつもりだったの?」
「雨で桜が散っちゃう前に公園の桜を見に行こうとしてたの。家から出たら、雨も風もひどくてどうしよう?って思ってたとこに真也くんが来てくれたから何かホッとしちゃって‥力が抜けちゃってた。魂は抜けてないけどね。」
「あゆむさん‥公園の桜はもうほとんど雨で散ってしまったみたいだよ?さっき通ってきたけど葉桜になってたよ。そんなに桜見たかった?」
「うん。毎年、あの公園の桜を描いてるの。同じ構図で。」
「そっかぁ。それで雨なのに慌てて公園に行こうとしてたんだね。」
「もう散ったなら仕方ないな。今年は諦めるよ。」
「昨日のお昼にマキ姉が公園でお花見してたから動画撮ってないか聞いてみようか?もしかしたら、渉さんが写真撮ってたりしない?肉眼で見ないとダメ?」
あゆむの為に一生懸命に桜が満開の時の公園を誰かが撮ってないか、あゆむが毎年描いてる桜はどの辺りなのか?等と確認する真也の姿に
胸がジーンとして、無口になってしまうあゆむだ。
真也くんて本当に優しい。いつも私の為に一生懸命になってくれる。どうしてなんだろ?誰にでも優しいの?
頭の中で色々考えていると
心配そうにあゆむの顔をのぞきこんでくる真也に気づいて
「私大丈夫だよ。有難う真也くん。桜は私の頭の中にあるから大丈夫。葉桜になってるなら今年は葉桜を描くよ。よく考えてみたら毎年同じなはずないもの。」と笑って言った。
「そうだね。今年は今年の桜を描いたらいいよ。あゆむさんの言う通り、去年と同じじゃなくていいと俺も思うよ。ねぇ。とりあえず何か温かい物を飲みたくない?」
「私も今思ってたとこ。あのね。真也くんのお家に行ったらダメかな?」
「いいよ。じゃあ、帰ったらあゆむ姫の為に俺がスペシャルなココアを作ろうかな?」
「本当に?あのね。生クリームたっぷりか、マシュマロがのってるのが好きなんだ私。」
「生クリームならありますよ。マシュマロはコンビニで買っていきましょうか?」
「生クリームたっぷりにする。マシュマロは今度でいいよ。」
「かしこまりました。これからはマシュマロを欠かさず買っておきます。姫の為に!」
「ちょっと!真也くん‥何か変だよ?私‥姫じゃないし?」
「あゆむさんは私のお慕いする姫ですが?」
真也くん‥何か今日ちょっとキャラが違う!と思いながらもこんなに会話がはずんだのは初めてだからいいか?と思ったあゆむでした。
◇◇◇◇
進展したのか、していないのか‥
今日も謎な展開のお姉ちゃんと真也くんでした。
横で丸くなってるミルクに話しかけてみるものの
ミルクは、クークーと寝息をたててお昼寝の真っ最中。
お花見行きたかったなぁ‥
窓から外を眺め、花散らしの雨を恨みがましく見つめるあゆむである。
天気がよければ散歩がてら公園の桜を見に行こうと思っていたのだ。
昨夜からの雨風できっと桜は散ってしまったんだろうなぁとガッカリしながら
友人から頼まれたイラストをサラサラと描き始めるのだが
何だか今日は気分がのらない。
夕陽のとこ行くとお兄ちゃんに会いそうだし‥
マキちゃんとこはラブラブ過ぎてあてられそうだし
近くに隠れ家新たに見つけないとだな‥
ブツブツ言いながら、さっき描いたのをボツにして新しいイラストを描き‥
あーやっぱ無理無理!
ちょっと気分転換に行こう。
雨でもいいから桜見に行こう!
まだ熟睡中のミルクの頭を撫でて、お留守番してるんだよ。と告げると
レインハット、レインコート、レインブーツを装備して雨の中を公園に向かうことにした。
玄関を開けたとたんに吹き込む雨風にめげそうになりながらも公園に向かおうとしていると
見慣れた車がこっちに向かってきて、減速しながらあゆむの横で止まった。
真也くん‥
◇◇◇◇
雨の中を歩いてる人がいるから減速して通り過ぎようとしたら、会いたいと思ってたあゆむさんなんだけど?
あゆむさん、動かないんだけど‥どうしたんだろ?体調悪い?
こんな雨の中を歩いて何処に行くつもりだったんだろ?
俺の車って気づいてないのかな?
あゆむさんならありえるな。
真也は窓を開けてみた。
ぼんやりと真也を見つめるあゆむ。
「あゆむさん?どうしたの?ともかく車に乗って。」
真也に呼びかけられやっと正気に戻ったのか、ワタワタしながら車のドアを開けて乗ろうとするが
車のシートが濡れてしまうと躊躇している。
「濡れてもいいからそのまま乗って!」と真也に言われやっと乗り込んできた。
◇◇◇◇
「あゆむさん、こんなに雨ひどいのに何処に行くつもりだったの?」
「雨で桜が散っちゃう前に公園の桜を見に行こうとしてたの。家から出たら、雨も風もひどくてどうしよう?って思ってたとこに真也くんが来てくれたから何かホッとしちゃって‥力が抜けちゃってた。魂は抜けてないけどね。」
「あゆむさん‥公園の桜はもうほとんど雨で散ってしまったみたいだよ?さっき通ってきたけど葉桜になってたよ。そんなに桜見たかった?」
「うん。毎年、あの公園の桜を描いてるの。同じ構図で。」
「そっかぁ。それで雨なのに慌てて公園に行こうとしてたんだね。」
「もう散ったなら仕方ないな。今年は諦めるよ。」
「昨日のお昼にマキ姉が公園でお花見してたから動画撮ってないか聞いてみようか?もしかしたら、渉さんが写真撮ってたりしない?肉眼で見ないとダメ?」
あゆむの為に一生懸命に桜が満開の時の公園を誰かが撮ってないか、あゆむが毎年描いてる桜はどの辺りなのか?等と確認する真也の姿に
胸がジーンとして、無口になってしまうあゆむだ。
真也くんて本当に優しい。いつも私の為に一生懸命になってくれる。どうしてなんだろ?誰にでも優しいの?
頭の中で色々考えていると
心配そうにあゆむの顔をのぞきこんでくる真也に気づいて
「私大丈夫だよ。有難う真也くん。桜は私の頭の中にあるから大丈夫。葉桜になってるなら今年は葉桜を描くよ。よく考えてみたら毎年同じなはずないもの。」と笑って言った。
「そうだね。今年は今年の桜を描いたらいいよ。あゆむさんの言う通り、去年と同じじゃなくていいと俺も思うよ。ねぇ。とりあえず何か温かい物を飲みたくない?」
「私も今思ってたとこ。あのね。真也くんのお家に行ったらダメかな?」
「いいよ。じゃあ、帰ったらあゆむ姫の為に俺がスペシャルなココアを作ろうかな?」
「本当に?あのね。生クリームたっぷりか、マシュマロがのってるのが好きなんだ私。」
「生クリームならありますよ。マシュマロはコンビニで買っていきましょうか?」
「生クリームたっぷりにする。マシュマロは今度でいいよ。」
「かしこまりました。これからはマシュマロを欠かさず買っておきます。姫の為に!」
「ちょっと!真也くん‥何か変だよ?私‥姫じゃないし?」
「あゆむさんは私のお慕いする姫ですが?」
真也くん‥何か今日ちょっとキャラが違う!と思いながらもこんなに会話がはずんだのは初めてだからいいか?と思ったあゆむでした。
◇◇◇◇
進展したのか、していないのか‥
今日も謎な展開のお姉ちゃんと真也くんでした。
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