異世界の扉が開く時〜勇者として召喚された推しに巻き込まれました！

推しが…尊いです！

友人や家族の協力を得て、ようやく勝ちとった推しのチケットを握りしめ開演時間よりかなり前にイベント会場に到着。  

やっと生で観れるんだ…

私はドキドキしながら友人を待っていた。

早く来ないかなぁ。

そろそろ物販も始まるから並ばないとグッズ売り切れちゃうんだけど…

遅いなぁ…

電車間違えて乗ったとかじゃないといいんだけどなぁ。

物販始まるから先に並んでるよ？とメッセージを送った。

その時、ざわめきが起こった。

どうやら彼らが会場入りするようだ。

キャーキャーと黄色い悲鳴が辺りにこだましている。

車から彼らが降りてくると、一斉にそこに群がって行くのを遠目に眺めながら、推しに嫌がられるような事をしなきゃいいのになぁ…と思っていた。

私は、少し遠くから推しを眺めていたい方なのだ。

ぼんやりと見ている私を押しのけるように後ろからヒトが波のように押し寄せる。

あっ…転ぶ！と思った時、

スッと誰かに手を差し伸べられた。

力強いその手に守られて私は転ばなくてすんだようだ。

有難うとお礼を言おうとして見上げるとそこには…

嘘でしょ…

変装していても溢れ出すオーラがヤバいんだけど…

全世界でも人気急上昇中の人気グループのメンバーである、私の愛する推しの姿があった。

もう私…

このまま召されてもよいですか？と興奮のあまり気を失いそうになっていたら、次の瞬間、地面が割れて私達はそのまま落ちていったのだ。

明るい光に包まれて…

気がついた時にはゲームでよく見る城みたいなところにいた。

これは…

異世界に召喚された感じなのか？

困るんだけど…と思いながら横を見ると尊い推しの姿が…

彼は気を失っているようで瞳は閉じられたままなのだが…

その美しさは、私の心臓を壊すレベルを超えた破壊力がある。

見てるだけで召されます…

私…もう無理…

私は、意識を手放した。