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お粥は父の味

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「夕陽ちゃん。具合はどう?お粥だったら食べられそうかな?」

「まゆちゃん有難う。少しならたべれそう。お粥何味?」

「えっとね。白粥、鰹昆布だしで塩味のさつまいものお粥、鶏だしで生姜風味の中華粥があるけど?」

「さつまいものお粥に卵落としてくれる?それと、醤油持ってきて欲しいな。」

「了解。今持っていくね。」

一人用の土鍋に移したお粥に卵を落とし半熟になったところで火を止めると鰹と昆布のよい香りがたちこめて、まゆのお腹がグーッと鳴った。

うちも夕陽ちゃんが食べたらゴハンにしよう!

「夕陽ちゃん。お待たせ!」

「わぁ。このお粥久しぶりだ。これね。忙しい父が唯一作ってくれた思い出の味なんだ。お腹が弱かったからお粥だけは作れるって自慢しながら食べさせられてね。当時はさつまいもが苦手だったのにこのお粥のさつまいもは食べられたんだよね。」

「凪が夕陽ちゃんは多分このお粥だよって言ってた。そっかぁ。お父さんの味なんだね。そりゃ元気になるわ!ちなみに美紅姉ちゃんは白い粥に梅干しだったよ。」

「あー。美紅姉はおばあちゃん子だったからね。具合悪い時は自家製の梅干し入りの白粥なんだ。凪はお粥嫌いで食べないからうどんなんだよね。くたくたに煮た玉子うどん。はしでつかめないくらいにふにゃふにゃの。」

「みんな好みが違うんだね!うちは風邪引いても食欲落ちないから親に本当に風邪?って確認されてたわ。」

「まゆちゃんらしいな。まゆちゃんお昼まだなんじゃない?うち一人で大丈夫やし、食べてきて。」

「有難う。そうするね。」

◇◇◇◇◇◇

今日は静かなカフェで凪が詰めてくれたお弁当を開ける。

「わぁ。うちの好きなもんばっかや。」

入ってたのは、だし巻き玉子、五目金平、白和え、茄子とししとうの味噌炒め、肉玉。おにぎりは小さめのが三つ、ゆかり、とろろ昆布、海苔と見た目も違う。中身は何だろう?と楽しみになってくる。

スープジャーには、粕汁がたっぷり入ってる。

「一人じゃ作らないもんばっかだ。粕汁久しぶりで美味しい!」

思わず一人ごと言っちゃう位に美味しかったのです。

「凪がお惣菜屋さん始めた意味が何となく分かった気がするなぁ。何か温かい気持ちになれるからかな?とろろ昆布の中身は何かなぁ?」

もうまゆちゃんの一人言が止まらない夕暮れカフェお休みの日のお昼過ぎです。

温かくて幸せなひとときを過ごしたい方はどうぞ月雲にお惣菜買いに来てね。

あなたの思い出の味に再会出来るかも!
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