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最強の付き添い人
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アンナったら…
お父様を連れて来るなんて…
お父様の結界、私じゃ解除出来ないよ!
「ミディが…あの小さかったミディが…
母親になるなんて…」
号泣する父にドン引きするミディである。
巷では、炎の騎士ラテルと呼ばれ、元アーライ神国の宰相を務めていた父は強いだけではなくイケオジとしても名高いのだが…
ミディの前では親バカ丸出しのダメ親父なのだ。
「お父様、もう泣き止んでよ。
そんな泣き虫は、お母様に嫌われますよ?」
ミディの言葉に慌てて泣き止む父。
亡くなってかなり経つのだが、未だにミディの母である聖女アイリス一筋なのだ。
「ミディ、私は泣いてなんかいないのだよ。
あれは心の汗だからな!
アイリスに言いつけないでくれよ」
父の中では、最愛の女性である妻は遠いところへ旅に出ているだけという認識なのだ。
「父様!
母様には言いつけないから、串焼きの屋台までひとっ走りお願いします。
全種類10本ずつね!」
ミディは倒れても、食欲旺盛なのだ。
アーライ神国の重鎮である父を使いっ走りにする位に腹へりらしい。
父を見送ったミディは…
これで邪魔者はいなくなったわね。
さぁ、脱出しましょうか。
パミラならお父様の結界を破れるわよね?
ミディは、相棒である白く気高きフェンリルの娘パミラに念話してみる事にした。
『パミラ聴こえる?パミラならお父様の結界を破れると思うんだけど…私を助けに来て』
『ミディどうしたの?ラテルト親子げんかした?直ぐ行くから待っていて』
パミラがジュビアを治める黒の王の花嫁になってからは以前のように、べったり一緒にいる事はないのだ。
運命の番をようやく見つけた黒の王がパミラを溺愛してますからねぇ。
この間も、新しく出来たダンジョンをパミラと攻略してたら心配でこっそりついて来ちゃうから魔物が出なくて困ったよね。
パミラからお仕事の邪魔するあなたとは、しばらく口を聞きませんから!と叱られて、尻尾がペタンとなった黒の王には親しみを感じたよね。
王者の風格は何処に消えたの?って探しちゃったもん。
戦う聖女アイリスの娘よ、我が番を宜しく頼むって私にお願いしてトボトボ帰っていったのよ。
その後ろ姿を見たパミラは、厳しかったかなぁ?
ミディどう思う?シツケは最初が肝心だからいいよね?って笑ってたけど…
ジュビアの森はかかあ天下が流行りそうだね!
◇◇◇◇
それにしても、パミラ遅いなぁ。黒の王に見つかったのかな…
中々来ないパミラを待ちくたびれたミディは眠くなってきたらしい。
妊娠するといつでも眠くなるって話…
本当だったんやね。
ミディが眠りに落ちそうになった時。
「ミディお待たせ!どうしたの?病気?」とやってきたパミラは人化して漆黒のフェンリルの背に乗っていた。
パミラ…お願いだから黒の王を専用の乗り物にするの止めて!
心臓もたないから…と念話するミディだった。
うちの旦那様は、デイブみたいに放任主義じゃないのよミディ!私の事を片時も離したくないみたい。
帰ってきた答えに苦笑するしかないミディだった。
「ところでミディ!なんでこんな頑丈な結界があるの?ラテルは?
黒の王がいると話しにくい?
大きな黒いワンコだと思って! 大丈夫よ!
気にせず話して!」
そんな事を言われてもねぇ。
黒の王の気持ちも何となく分かるのでミディはふたりに話すことにした。
「あのですね。
私、子供を授かりまして…
病気ではないのにしばらく入院って言われたからこっそり抜け出そうとしたら、お父様が来て結界張られたんだよね。
ちなみに、お父様には串焼きを買いに行ってもらったの」
「ミディおめでとう!
ラテルの気持ち分かるから結界はそのままにするね。
しばらくじっとしていたら?」
「ミディ殿!
おめでとう!
私もパミラの意見に賛成だよ。
初めての妊娠だから、医者が良いと言うまでは病院にいた方がいい」
「えーっ。
つまんない…私、動いてないと死んじゃうよ」
子供か!とツッコミたくなるとこだが、ミディは真面目に悩んでいるようだ。
「何か暇つぶしになるような物をディオンに持ってきてもらえば?」
「病院で楽しめるような余興を用意しよう」
張り切るふたりを眺めながらミディは、ここから早く出して!と目で訴えていた。
病院からの脱出はしばらくは無理なようだ。
お父様を連れて来るなんて…
お父様の結界、私じゃ解除出来ないよ!
「ミディが…あの小さかったミディが…
母親になるなんて…」
号泣する父にドン引きするミディである。
巷では、炎の騎士ラテルと呼ばれ、元アーライ神国の宰相を務めていた父は強いだけではなくイケオジとしても名高いのだが…
ミディの前では親バカ丸出しのダメ親父なのだ。
「お父様、もう泣き止んでよ。
そんな泣き虫は、お母様に嫌われますよ?」
ミディの言葉に慌てて泣き止む父。
亡くなってかなり経つのだが、未だにミディの母である聖女アイリス一筋なのだ。
「ミディ、私は泣いてなんかいないのだよ。
あれは心の汗だからな!
アイリスに言いつけないでくれよ」
父の中では、最愛の女性である妻は遠いところへ旅に出ているだけという認識なのだ。
「父様!
母様には言いつけないから、串焼きの屋台までひとっ走りお願いします。
全種類10本ずつね!」
ミディは倒れても、食欲旺盛なのだ。
アーライ神国の重鎮である父を使いっ走りにする位に腹へりらしい。
父を見送ったミディは…
これで邪魔者はいなくなったわね。
さぁ、脱出しましょうか。
パミラならお父様の結界を破れるわよね?
ミディは、相棒である白く気高きフェンリルの娘パミラに念話してみる事にした。
『パミラ聴こえる?パミラならお父様の結界を破れると思うんだけど…私を助けに来て』
『ミディどうしたの?ラテルト親子げんかした?直ぐ行くから待っていて』
パミラがジュビアを治める黒の王の花嫁になってからは以前のように、べったり一緒にいる事はないのだ。
運命の番をようやく見つけた黒の王がパミラを溺愛してますからねぇ。
この間も、新しく出来たダンジョンをパミラと攻略してたら心配でこっそりついて来ちゃうから魔物が出なくて困ったよね。
パミラからお仕事の邪魔するあなたとは、しばらく口を聞きませんから!と叱られて、尻尾がペタンとなった黒の王には親しみを感じたよね。
王者の風格は何処に消えたの?って探しちゃったもん。
戦う聖女アイリスの娘よ、我が番を宜しく頼むって私にお願いしてトボトボ帰っていったのよ。
その後ろ姿を見たパミラは、厳しかったかなぁ?
ミディどう思う?シツケは最初が肝心だからいいよね?って笑ってたけど…
ジュビアの森はかかあ天下が流行りそうだね!
◇◇◇◇
それにしても、パミラ遅いなぁ。黒の王に見つかったのかな…
中々来ないパミラを待ちくたびれたミディは眠くなってきたらしい。
妊娠するといつでも眠くなるって話…
本当だったんやね。
ミディが眠りに落ちそうになった時。
「ミディお待たせ!どうしたの?病気?」とやってきたパミラは人化して漆黒のフェンリルの背に乗っていた。
パミラ…お願いだから黒の王を専用の乗り物にするの止めて!
心臓もたないから…と念話するミディだった。
うちの旦那様は、デイブみたいに放任主義じゃないのよミディ!私の事を片時も離したくないみたい。
帰ってきた答えに苦笑するしかないミディだった。
「ところでミディ!なんでこんな頑丈な結界があるの?ラテルは?
黒の王がいると話しにくい?
大きな黒いワンコだと思って! 大丈夫よ!
気にせず話して!」
そんな事を言われてもねぇ。
黒の王の気持ちも何となく分かるのでミディはふたりに話すことにした。
「あのですね。
私、子供を授かりまして…
病気ではないのにしばらく入院って言われたからこっそり抜け出そうとしたら、お父様が来て結界張られたんだよね。
ちなみに、お父様には串焼きを買いに行ってもらったの」
「ミディおめでとう!
ラテルの気持ち分かるから結界はそのままにするね。
しばらくじっとしていたら?」
「ミディ殿!
おめでとう!
私もパミラの意見に賛成だよ。
初めての妊娠だから、医者が良いと言うまでは病院にいた方がいい」
「えーっ。
つまんない…私、動いてないと死んじゃうよ」
子供か!とツッコミたくなるとこだが、ミディは真面目に悩んでいるようだ。
「何か暇つぶしになるような物をディオンに持ってきてもらえば?」
「病院で楽しめるような余興を用意しよう」
張り切るふたりを眺めながらミディは、ここから早く出して!と目で訴えていた。
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