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第3章
時にはサプライズも…
しおりを挟む「よし! とにかくこれを至急香港へ送るぞ! 氷川の親父さんたちなら犯人の声を聞けば誰だか分かるかも知れねえ!」
鐘崎は持って来たノートパソコンを広げると、すぐに香港の周隼の元へと録音を共有した。
汐留、周邸――。
香港からの返事が届くと、すぐに犯人が割れた。やはりファミリーの一員で、男の名は羅辰。舎弟は藩ということが分かった。また、それと共に理由も見えてきた。おそらくは次代後継者である周風のブレーンを固める人事に不満を持っての犯行ではないかというのだ。
『羅辰は問題の多い男でな。本来ならばファミリーから追放してもいいところだったのだが、温情を掛けて残したのが間違いだったということか』
兄の風は自分が原因を作ってしまったと言い、酷く悔いているようであった。
「とにかく理由は分かったんだ。後はその羅辰が氷川を拉致して何がしたいかということだ」
汐留では羅たちの目的が何であり、今現在何処に潜伏しているのかということに絞って引き続き調査を進めることとなった。
香港のファミリーの元へは鐘崎の父親の僚一も到着していて、羅辰たちが日本へ入国した時期や経路などについての詳細を調べてくれるということだった。それと同時に警視庁の丹羽にも協力を仰いで、入国後の足取りを追うようにと言われた。
パソコンで繋いだリモート画面の向こうに僚一が顔を出し、息子である鐘崎に手はずを伝える。
『いいか、遼二。おそらく羅辰たちは偽造パスポートで名前を変えて入国しているはずだ。丹羽のところの修司坊に言って科捜研で顔認証と歩容認証などを使って本人であることを突き止めるんだ。その後、日本国内でヤツらが何処に宿泊し、誰と接触したのかを追えるところまで追ってくれ。焔を連れ去る際に使った車両を手配するのに手助けした者なども含めて徹底的に割り出すんだ』
「分かった。すぐに丹羽と連携する!」
『俺の方では羅たちの企みを事前に見聞きしている者がいないかファミリーの末端まで当たるつもりだ。焔を拐った目的を絞り込む』
こうして香港と東京、二手に分かれての本格的な捜索が始まった。
鐘崎らは羅たちが日本に入国してからの足取りを詳しく追っていくことから始める。僚一から指示のあった通り丹羽に協力を仰いだ結果、やはり偽名を使って渡航していたことが分かった。周の拉致が決行されるまでに少なくとも一週間ほどはこの東京に滞在していたようだ。調べを進めていくと非常に驚かされることが分かってきた。羅の舎弟である藩が入国後すぐに九州の博多へと移動している足取りが掴めたからだ。
「博多といえば例の冰と里恵子が拉致された事件の関連か? あの時に冰を売り買いしようとしてた男にでも会いに行ったということか――」
「ってことは、そいつも今回の計画に加担してる可能性が出てくるな。まさかあの時氷川に直接叱責を食らったことを恨みに思ってるとか?」
鐘崎と紫月が首を傾げている。だが、再び香港に問い合わせたところ、その時の男なら既に組織を抜けており、故郷の実家へ帰っているはずだという回答がきて、またもや頭を捻らされることとなった。
鐘崎は持って来たノートパソコンを広げると、すぐに香港の周隼の元へと録音を共有した。
汐留、周邸――。
香港からの返事が届くと、すぐに犯人が割れた。やはりファミリーの一員で、男の名は羅辰。舎弟は藩ということが分かった。また、それと共に理由も見えてきた。おそらくは次代後継者である周風のブレーンを固める人事に不満を持っての犯行ではないかというのだ。
『羅辰は問題の多い男でな。本来ならばファミリーから追放してもいいところだったのだが、温情を掛けて残したのが間違いだったということか』
兄の風は自分が原因を作ってしまったと言い、酷く悔いているようであった。
「とにかく理由は分かったんだ。後はその羅辰が氷川を拉致して何がしたいかということだ」
汐留では羅たちの目的が何であり、今現在何処に潜伏しているのかということに絞って引き続き調査を進めることとなった。
香港のファミリーの元へは鐘崎の父親の僚一も到着していて、羅辰たちが日本へ入国した時期や経路などについての詳細を調べてくれるということだった。それと同時に警視庁の丹羽にも協力を仰いで、入国後の足取りを追うようにと言われた。
パソコンで繋いだリモート画面の向こうに僚一が顔を出し、息子である鐘崎に手はずを伝える。
『いいか、遼二。おそらく羅辰たちは偽造パスポートで名前を変えて入国しているはずだ。丹羽のところの修司坊に言って科捜研で顔認証と歩容認証などを使って本人であることを突き止めるんだ。その後、日本国内でヤツらが何処に宿泊し、誰と接触したのかを追えるところまで追ってくれ。焔を連れ去る際に使った車両を手配するのに手助けした者なども含めて徹底的に割り出すんだ』
「分かった。すぐに丹羽と連携する!」
『俺の方では羅たちの企みを事前に見聞きしている者がいないかファミリーの末端まで当たるつもりだ。焔を拐った目的を絞り込む』
こうして香港と東京、二手に分かれての本格的な捜索が始まった。
鐘崎らは羅たちが日本に入国してからの足取りを詳しく追っていくことから始める。僚一から指示のあった通り丹羽に協力を仰いだ結果、やはり偽名を使って渡航していたことが分かった。周の拉致が決行されるまでに少なくとも一週間ほどはこの東京に滞在していたようだ。調べを進めていくと非常に驚かされることが分かってきた。羅の舎弟である藩が入国後すぐに九州の博多へと移動している足取りが掴めたからだ。
「博多といえば例の冰と里恵子が拉致された事件の関連か? あの時に冰を売り買いしようとしてた男にでも会いに行ったということか――」
「ってことは、そいつも今回の計画に加担してる可能性が出てくるな。まさかあの時氷川に直接叱責を食らったことを恨みに思ってるとか?」
鐘崎と紫月が首を傾げている。だが、再び香港に問い合わせたところ、その時の男なら既に組織を抜けており、故郷の実家へ帰っているはずだという回答がきて、またもや頭を捻らされることとなった。
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