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第3章

いなくなったお姫様の行方

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カタレナの皇帝とラハルト様から聞いたところによると…

ラハルト様と婚約するはずだった姫は、婚約発表前に忽然と姿を消したんだとか。

留学の為、カタレナに来ていた隣国の王子も同時期に行方不明になった事と…

留学先である魔法学園で王子が姫に言い寄っているのを見たという目撃情報が多数あった事、姫が行方不明になる前日に姫と王子がふたりで話していた事から

ふたりが駆け落ちした事になっていたのだが…

つい先日、王子が隣国に帰っているとの情報が入った事から…

どうやら、姫は隣国の王子と駆け落ちしたわけではないという話になり、

誘拐にしても金銭の要求も何もないので…

姫はひとりで出奔したのではないかという話になったようだ。

アーライ神との婚約を破棄する結果になったのだから、アーライにいるわけがないという裏をかいてアーライに潜んでいる可能性があると考えたらしい。

でも…

世間知らずの深窓の姫君がひとりでアーライで暮らせるわけもないし…

協力者がいるに違いない!と兄である皇帝は、ラハルト様に協力を依頼したのだ。

ラハルト様と姫との婚約を願っていたあの方が…

姫を匿っているのではないかと?

◇◇◇◇◇

姫が無事でいてくれて、何不自由なく暮らしているのであれば…

自分は何も介入するつもりはない!

アーライであれ、違う国であれ、幸せに暮らしているならばそれでよいと思っている!と言い切った皇帝様は…

潔い方だな…と思いました。

行方不明になったお姫様には、何かヒトに言えない事情があったのかな?

今は何処にいるんだろ?

私はある事を思いついたので、質問してみる事にした!

「姫様は魔法は使われますか?

何か特殊な属性を持っているとか…

その属性を利用する為に拐われた可能性はないのでしょうか?」


◇◇◇◇

「妹は…聖属性だ!聖魔法以外は使えないと聞いているが…定かではないな」

「やはり…」

「どうした?ヒルダ?何かわかったのか?」

「ラハルト様と姫様の結婚を望まれたのは聖女様ですよね?

それなら…彼女がいる場所は神殿か、教会でしょう。

絶対にいるはずがないと思われる場所に…聖女見習いもしくは、巫女として紛れ込んでいるはず…」

「「…えっ?」」

「聖女を隠すなら聖女がいる場所に隠すのが1番目立ちませんわ!

あの方からの推薦で大神殿に住み込みをしている聖女見習いを探して下さい。

髪や瞳の色は、魔法か魔道具で変えているはずですから…

見ただけではダメです!

声を聞けばわかりますよ。

声までは、変えていないはずですから…」

ヒルダは私って名探偵でしょ?とばかりに、ラハルトにウインクして見せた。

「我が婚約者様の名推理となるか、どうかだな…

姫の声を知っている者を大神殿に派遣しろ!直ぐにな?」

しばらくして…

カタレナの姫君が見つかったと影の者から報告があった。

皇帝様は…

「アーライの大神殿にいるなら安心だ!

良かった…無事ならそれでいいんだ…

私は国に帰るよ。

ラハルト…妹を宜しく頼むよ。

落ち着いたら…会いに行ってみるよ。

ラハルトと妹が結婚してくれたら安心だと思って婚約させたんだが…

妹には荷が重かったみたいだな。

聖女として生きたいなら、それでも良かったのだが…」 

皇帝様は寂しそうに呟いた。

妹想いのお兄様なんだろう。

気持ちがきちんと伝わらないとスレ違ってしまうから…

コミュニケーションって難しいね! 

私も…

ラハルト様と誤解がないようにいつでも話し合いたいな。

カタレナの宝石って言われてる姫気になるから大神殿に見に行こうかな?

どんな方なんだろう?

元婚約者さん…


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