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第1章
聖女を首になりました!
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「ヒルダ、貴女は聖女としての務めは今日で終わりになります。長い間、神にお仕えして頂きお疲れ様でした。これからは、一人の女性として生きるのですよ。」
大司教様からの急な呼び出しに何かしでかしたかと焦っていたヒルダは、斜め上を行く展開に呆然とした。
後ろに控えていたヒルダのお付きの侍女であるマリッサも言葉が出ないようだ。
「大司教様!それって私‥明日から無職になりますの?私‥職も住むところも無くなるんですね‥」
「ヒルダ様!お気を確かに!」
気を失いそうになるヒルダを抱えようとしてよろけるマリッサ‥
まだ続きがあるんだが‥ヒルダはやはり話を聞かない娘だな‥
大司教パトリスは、苦笑いしながら、ヒルダを休憩所に運ぶように指示した後
マリッサにヒルダが目覚めたら今後の身の振り方について話があると伝えた。
◇◇◇◇
王の気まぐれにも困ったものだな。
あんなに神にお仕えするのが天職の聖女を私欲で辞めさせるとは‥
ヒルダがあの話を受け入れるとは思えないのだが‥
王から面倒な話を丸投げされ困る大司教様である。
このバラッド王国は、今の王に変わってから今ひとつなのだ。
先代が賢王と言われていたのと真逆で巷では愚王と噂されているとか、いないとか。
ともかく、政情が不安定で力のある商会などは隣国であるアーライ神国へ拠点を移し
冒険ギルドの有名どころの冒険者たちはアーライの隣のジュビア王国に流れているらしい。
これからこの国はどうなってしまうのだろうか。
悩める大司教パトリスは40を過ぎたばかりの渋みがかったイケオジである。
サラリと流れた銀髪とキリッとした碧眼、縁無し眼鏡がとても似合っている。
定期的に、バラッドのイケオジマガジンの表紙を飾る位なのだ。
ちなみにマリッサはパトリス様ファンクラブの会員である。
眼鏡の奥に隠された美しい青い瞳の輝きがたまらないだとか、サラサラな銀髪が尊いとか呟いてはヒルダにドン引きされている。
◇◇◇◇
「パトリス様!ヒルダ様が目覚めました!」
「そうか。落ち着いたらこちらに連れて来るように。」
「かしこまりました。」
推しと話せて嬉しさが隠しきれないマリッサには、先程までの緊張感は見られない。
きっとパトリス様が何とかしてくれるはずと期待しているようだ。
大丈夫!
マリッサ!
パトリスは期待に応える男だよ!
安心して!
って誰?
マリッサの心に話かけてるのは‥
パトリスと契約してる‥鳥?
鳥の形してますが‥
多分、そのうち出てくるので今はスルーで!
◇◇◇◇
パトリスの私室に呼ばれ今後についての話を聞かされ怒りを覚えるヒルダ。
‥というのも、聖女辞めて第二王子の嫁になれという話だったのですから怒りますよね?
聖魔法に秀でているからと学校に通う事も許されないまま
神に仕える為だけに今まで生きてきたヒルダにとってヒドイ仕打ちとしか言えませんから。
「私‥これからどうしたらよいのですか?第二王子様と結婚したくないです‥断ったらどうなるのですか?」
「ヒルダやはり断るのだね。大丈夫!私が君を守るよ。断りの返事は私がしておくから君はマリッサを連れてここから出なさい。私の妹がいるアーライに行くとよい。」
「パトリス様!有り難うございます。私が断った事でパトリス様の立場はどうなりますか?」
「気にせずともよい。さぁ。転移魔方陣を用意したから行きなさい。荷物は後から送るから安心するといい。」
ヒルダはマリッサと共にアーライへと旅立った。
さて。後はどうしますかな?
イケオジパトリスは悪い顔をしている。
彼は多分‥
王よりもヤバい男だ。
バラッド王逃げて!
ヤバい人を覚醒させたみたいよ?
大司教パトリス様は、危険なイケオジ様!
娘のように可愛がっていたヒルダに対する仕打ちに切れてます。
静かに切れてます!
次回に続く。
大司教様からの急な呼び出しに何かしでかしたかと焦っていたヒルダは、斜め上を行く展開に呆然とした。
後ろに控えていたヒルダのお付きの侍女であるマリッサも言葉が出ないようだ。
「大司教様!それって私‥明日から無職になりますの?私‥職も住むところも無くなるんですね‥」
「ヒルダ様!お気を確かに!」
気を失いそうになるヒルダを抱えようとしてよろけるマリッサ‥
まだ続きがあるんだが‥ヒルダはやはり話を聞かない娘だな‥
大司教パトリスは、苦笑いしながら、ヒルダを休憩所に運ぶように指示した後
マリッサにヒルダが目覚めたら今後の身の振り方について話があると伝えた。
◇◇◇◇
王の気まぐれにも困ったものだな。
あんなに神にお仕えするのが天職の聖女を私欲で辞めさせるとは‥
ヒルダがあの話を受け入れるとは思えないのだが‥
王から面倒な話を丸投げされ困る大司教様である。
このバラッド王国は、今の王に変わってから今ひとつなのだ。
先代が賢王と言われていたのと真逆で巷では愚王と噂されているとか、いないとか。
ともかく、政情が不安定で力のある商会などは隣国であるアーライ神国へ拠点を移し
冒険ギルドの有名どころの冒険者たちはアーライの隣のジュビア王国に流れているらしい。
これからこの国はどうなってしまうのだろうか。
悩める大司教パトリスは40を過ぎたばかりの渋みがかったイケオジである。
サラリと流れた銀髪とキリッとした碧眼、縁無し眼鏡がとても似合っている。
定期的に、バラッドのイケオジマガジンの表紙を飾る位なのだ。
ちなみにマリッサはパトリス様ファンクラブの会員である。
眼鏡の奥に隠された美しい青い瞳の輝きがたまらないだとか、サラサラな銀髪が尊いとか呟いてはヒルダにドン引きされている。
◇◇◇◇
「パトリス様!ヒルダ様が目覚めました!」
「そうか。落ち着いたらこちらに連れて来るように。」
「かしこまりました。」
推しと話せて嬉しさが隠しきれないマリッサには、先程までの緊張感は見られない。
きっとパトリス様が何とかしてくれるはずと期待しているようだ。
大丈夫!
マリッサ!
パトリスは期待に応える男だよ!
安心して!
って誰?
マリッサの心に話かけてるのは‥
パトリスと契約してる‥鳥?
鳥の形してますが‥
多分、そのうち出てくるので今はスルーで!
◇◇◇◇
パトリスの私室に呼ばれ今後についての話を聞かされ怒りを覚えるヒルダ。
‥というのも、聖女辞めて第二王子の嫁になれという話だったのですから怒りますよね?
聖魔法に秀でているからと学校に通う事も許されないまま
神に仕える為だけに今まで生きてきたヒルダにとってヒドイ仕打ちとしか言えませんから。
「私‥これからどうしたらよいのですか?第二王子様と結婚したくないです‥断ったらどうなるのですか?」
「ヒルダやはり断るのだね。大丈夫!私が君を守るよ。断りの返事は私がしておくから君はマリッサを連れてここから出なさい。私の妹がいるアーライに行くとよい。」
「パトリス様!有り難うございます。私が断った事でパトリス様の立場はどうなりますか?」
「気にせずともよい。さぁ。転移魔方陣を用意したから行きなさい。荷物は後から送るから安心するといい。」
ヒルダはマリッサと共にアーライへと旅立った。
さて。後はどうしますかな?
イケオジパトリスは悪い顔をしている。
彼は多分‥
王よりもヤバい男だ。
バラッド王逃げて!
ヤバい人を覚醒させたみたいよ?
大司教パトリス様は、危険なイケオジ様!
娘のように可愛がっていたヒルダに対する仕打ちに切れてます。
静かに切れてます!
次回に続く。
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