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第五章 幸福編

6話 歯向かえる者

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~広間~

「...体が、重い」

「治療、してもらったはずだけど...」

「部屋戻ろ...寝たいや」

「はあ...なんで、こんな」

...?契約...あれ?え?」

「『解除するのは許さない。もし、次にそれを
言ったら』...」

「...そうだ。一旦、陰葉達の所に行こう」

「何か、思い出したかも」

シュン!


エル「……」

エレア「……はあ」

ーーーー☆ーーーー
~精神世界~

「っはあ、は~...」

「また、頭痛が...」

陰葉「よく消されてるのに気づけたな」

陰葉「思い出せ。黒苑様に加護を付けてもらう前、私らと話してただろ」

「……うん...思い出した。なんで、
忘れてたんだろう」

陰葉「おそらく、私らが合った情報を渡した上で
日瑠暗が黙っていた可能性を潰す為に消したん
だろうな」

陰葉「だが、変調無効がギリギリ悪効果だと認識
して、削除された記憶が少し戻ったんだ」

「そう、なんだ」

「でも、加護を付けてもらってからの記憶は...」

陰葉「今言えばきっと嫌われる。エル様達の口から言うのはまだまだ先だ」

「...なんで」

陰葉「日瑠暗。私らはお前が隠されるのを嫌ってるのがわかる」

陰葉「だからこそ、お前に一つ。手段をやる」

「手段...?」

陰葉「ああ。お前も持ってる特殊な才能」

陰葉「『干渉かんしょう』だ。これさえ使えれば、脳や精神、
記憶への干渉を自由に操れる」

陰葉「まあ、今は真実へ向かった際の削除を
されない為の保護目的だな」

陰葉「教えてやる。こっち来な」

「うん。お願いするよ」

ーー☆ーー
「これでいいの?」

陰葉「ああ。保護は出来てる。消されることはないはずだ」

陽葉「ですが、闇は力を吸い取ることも可能なのを忘れないで下さいね」

「そういえば...」

陽葉「どうしました?」

「陰葉達はどうなの?一応、私と一心同体で
暮らしてるんだよね?」

陽葉「暮らしてますね。貴方の感覚は私達の感覚。
ですが、精神世界に暮らす住人と元の人格との接続を一時的になら切れるので、私達はそれで
乗り切ってました」

陰葉「だから、記憶や見てた景色の共有も
出来てない」

陰葉「だが、お前なら思い出せるはずだ。
...その覚悟があるんならな」

「...覚悟、ね。エレアス様達に歯向かうような行為だとは思うけど、私が聞きたいから」

「例え自分の主で合っても、いや主だからこそ」

「従属の望む程度の...私が欲しい情報と秘密は、 渡して欲しい」

「その為なら何度でも『解除したい』と
言ってやる」

「じゃあね」

シュン!

陰葉「へえ。随分なことだな」

陽葉「でしたら、お手伝いをしないとですね」

陽葉「圧倒的強者の前に出られる者は想像以上に
少ないもの」

陽葉「なら、私達はそれを守らなくてはいけない」

陰葉「ああ。準備してくるよ」

陽葉「はい」
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