41 / 41
エピローグ
第41話 青年のプレイしていたRPGは大団円を迎え、現実世界の恋愛ゲームが始まる
しおりを挟む
玲太の意識が戻った時、最初に出た言葉は
「はぁ!?」
だった。
無理もない。
見覚えのある懐かしいワンルームマンションの自室のパソコンの前に、国王に謁見していたときに着ていた鎧姿で座っていたのだから。
テレビモニターに映し出されているのは、あの日起動して「さあ、ゲームを始めよう!」と思っていたゲーム「王国の勇者」。
しかも、なにがどうなってなのか知らないが、ゲームがクリアされていてエンディングが流れている。
そりゃあ混乱しない方がおかしかろう。
他にリアクションがあるとすれば「え?」とか「あぁん?」せいぜい「ちょ、待てよ!」くらいしかないに違いない。
混乱に拍車をかけているのは「王国の勇者」がSHARP製8bitパソコンX-1 turbo Z II用のレトロゲームであり、確かにX-1 turbo Z IIにペラッペラの5(正確には5.25)インチ2HDフロッピーディスクを差し込んで起動したはずなのに今動いているのは玲太の持つもっとも最新のPCだったからだ。
「フロッピーディスクはどこいった!?」
X-1 turbo Z IIの灯は消えていて、確かに二つのドライブに差し込んだはずの二枚のフロッピーディスクは影も形もない。
「なんじゃあ、こりゃあ!」
腹を撃たれた刑事のようなリアクションの後、起動しているPCを操作するとびっくりするほど軽いゲームデータがインストールされている。
「2MBって……これっぽっちのデータでどうやってこんな美麗なグラフィックとBGMのエンディングが動くんだよ?」
突っ込むところがそこかいな。
「ん……」
混乱した玲太の耳に女性の漏らす甘い呟きが聞こえてきた。
「…………」
おそるおそる振り返る玲太が目にしたのは、目の覚めるような五人の美少女たちが愛らしく横たわっている寝姿だった。
「なんじゃあ、こりゃあ!!」
二回目だね、それ。
さっきよりも大きな声が出たことで、少女たちの目が覚めたようだ。
「ん……ここは?」
愛らしい仕草と耳に心地いい声はまごうことなくクリスティーンのものだ。
「なんなの、ココ!?」
アシュレイが驚くのも無理はないよねー。
玲太だってあっちの世界で似たようなリアクションだったし。
それにしたって学生が一人で暮らすワンルームマンションに六人がいるんだから窮屈に感じないか?
しかも、玲太にヴァネッサにソフィアと鎧を着ているってんだからね。
「ええと、なにから説明しよう?」
混乱はしながらも意外に冷静に対処しようとしている玲太。
さすがだね。
伊達に修羅場はくぐっていないよ。
いや、でもこっちの修羅場はどうだろう?
とりあえず、知った顔ばかりだったこともあって大騒ぎにだけはならなかったことも幸いし、玲太は事の起こりから丁寧に説明することにした。
その前に玲太はみんなに着替えてもらうことにする。
まずは玲太が普段着に着替え、彼女たちが着替えている間に近所のコンビニまで買い出しに出かける。
戻ってきたときにはみんな玲太の部屋着を着ているんだから、彼の言い知れないむずがゆさを判ってもらえるだろうか?
「──つまり、玲太が私たちの世界に来たように今度は私たちが玲太の世界に来たということですね?」
「そういうことになるね」
「でもどうしてかしら?」
アシュレイの疑問ももっともだ。
人類滅亡の危機に瀕したゲーム世界に救世主として吸い込まれた(と思われる)玲太と違って、彼女たちが世界を渡る意味が判らない。
「たぶんですけど、私たちが玲太と一緒にいたいと願ったからじゃないでしょうか?」
さすがは最年少ながら聖女として英才教育を受けてきたビルヒーだ。
「あは、かもしれないね」
ヴァネッサは相変わらずだ。
アシュレイは
「魔法のない世界なんだよね? 私、魔法なしで生きていけるかな?」
と、なんだか心細そうだ。
「なんとかなります。だって、私たちには玲太がいるんですもの」
クリスティーンの全幅の信頼がのしかかる。
「それもそうだな。玲太、これからもよろしくな」
ソフィアが手を差し出してくる。
思わずその手を取ってしまった玲太は心の中で若干失敗したと思った。
現代日本に転移してきた異世界の美少女たち。
彼女たちと玲太とのこれからは果たしてどうなっていくのか?
え?
そんなこと、作者が知るか!
「はぁ!?」
だった。
無理もない。
見覚えのある懐かしいワンルームマンションの自室のパソコンの前に、国王に謁見していたときに着ていた鎧姿で座っていたのだから。
テレビモニターに映し出されているのは、あの日起動して「さあ、ゲームを始めよう!」と思っていたゲーム「王国の勇者」。
しかも、なにがどうなってなのか知らないが、ゲームがクリアされていてエンディングが流れている。
そりゃあ混乱しない方がおかしかろう。
他にリアクションがあるとすれば「え?」とか「あぁん?」せいぜい「ちょ、待てよ!」くらいしかないに違いない。
混乱に拍車をかけているのは「王国の勇者」がSHARP製8bitパソコンX-1 turbo Z II用のレトロゲームであり、確かにX-1 turbo Z IIにペラッペラの5(正確には5.25)インチ2HDフロッピーディスクを差し込んで起動したはずなのに今動いているのは玲太の持つもっとも最新のPCだったからだ。
「フロッピーディスクはどこいった!?」
X-1 turbo Z IIの灯は消えていて、確かに二つのドライブに差し込んだはずの二枚のフロッピーディスクは影も形もない。
「なんじゃあ、こりゃあ!」
腹を撃たれた刑事のようなリアクションの後、起動しているPCを操作するとびっくりするほど軽いゲームデータがインストールされている。
「2MBって……これっぽっちのデータでどうやってこんな美麗なグラフィックとBGMのエンディングが動くんだよ?」
突っ込むところがそこかいな。
「ん……」
混乱した玲太の耳に女性の漏らす甘い呟きが聞こえてきた。
「…………」
おそるおそる振り返る玲太が目にしたのは、目の覚めるような五人の美少女たちが愛らしく横たわっている寝姿だった。
「なんじゃあ、こりゃあ!!」
二回目だね、それ。
さっきよりも大きな声が出たことで、少女たちの目が覚めたようだ。
「ん……ここは?」
愛らしい仕草と耳に心地いい声はまごうことなくクリスティーンのものだ。
「なんなの、ココ!?」
アシュレイが驚くのも無理はないよねー。
玲太だってあっちの世界で似たようなリアクションだったし。
それにしたって学生が一人で暮らすワンルームマンションに六人がいるんだから窮屈に感じないか?
しかも、玲太にヴァネッサにソフィアと鎧を着ているってんだからね。
「ええと、なにから説明しよう?」
混乱はしながらも意外に冷静に対処しようとしている玲太。
さすがだね。
伊達に修羅場はくぐっていないよ。
いや、でもこっちの修羅場はどうだろう?
とりあえず、知った顔ばかりだったこともあって大騒ぎにだけはならなかったことも幸いし、玲太は事の起こりから丁寧に説明することにした。
その前に玲太はみんなに着替えてもらうことにする。
まずは玲太が普段着に着替え、彼女たちが着替えている間に近所のコンビニまで買い出しに出かける。
戻ってきたときにはみんな玲太の部屋着を着ているんだから、彼の言い知れないむずがゆさを判ってもらえるだろうか?
「──つまり、玲太が私たちの世界に来たように今度は私たちが玲太の世界に来たということですね?」
「そういうことになるね」
「でもどうしてかしら?」
アシュレイの疑問ももっともだ。
人類滅亡の危機に瀕したゲーム世界に救世主として吸い込まれた(と思われる)玲太と違って、彼女たちが世界を渡る意味が判らない。
「たぶんですけど、私たちが玲太と一緒にいたいと願ったからじゃないでしょうか?」
さすがは最年少ながら聖女として英才教育を受けてきたビルヒーだ。
「あは、かもしれないね」
ヴァネッサは相変わらずだ。
アシュレイは
「魔法のない世界なんだよね? 私、魔法なしで生きていけるかな?」
と、なんだか心細そうだ。
「なんとかなります。だって、私たちには玲太がいるんですもの」
クリスティーンの全幅の信頼がのしかかる。
「それもそうだな。玲太、これからもよろしくな」
ソフィアが手を差し出してくる。
思わずその手を取ってしまった玲太は心の中で若干失敗したと思った。
現代日本に転移してきた異世界の美少女たち。
彼女たちと玲太とのこれからは果たしてどうなっていくのか?
え?
そんなこと、作者が知るか!
0
お気に入りに追加
5
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アルカディア・クロニクル ゲーム世界にようこそ!
織部
ファンタジー
記憶を失った少年アキラ、目覚めたのはゲームの世界だった!
ナビゲーターの案内で進む彼は、意思を持ったキャラクターたちや理性を持つ魔物と対峙しながら物語を進める。
新たなキャラクターは、ガチャによって、仲間になっていく。
しかし、そのガチャは、仕組まれたものだった。
ナビゲーターの女は、誰なのか? どこに存在しているのか。
一方、妹・山吹は兄の失踪の秘密に迫る。
異世界と現実が交錯し、運命が動き出す――群像劇が今、始まる!
小説家になろう様でも連載しております
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
全てお気に入り登録しときますね♪
ありがとうございます♪