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フィールドアドベンチャーの章
第14話 青年と仲間たちは自己紹介をする
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ハジマリの島では町のシーンが確かにあった。
そこにそびえていた「遺跡の塔」に登ってクリスティーンを助けた後は5階層の3Dのダンジョンを探索し、ダンジョンをクリアした後はフィールドアドベンチャーで一泊野営もした。
レイトにとってずいぶんと久しぶりの町である。
ドラゴンクエスト風のポップで牧歌的な田舎町だったサイショノ村と違って、全体的にくすんだ寂れた町という〇〇年代初頭のダーク系ファンタジーMMORPGを想起させるドット絵の町並みだ。
僻地に取り残された寂れた町は住人もどこか疲れた様子で動きも緩慢な様子がある。
「とりあえず宿を取ろう」
クリスの提案で、冒険者たちは宿を探して町を歩く。
時折処理落ちするようなな視覚に悩まされながらレイトが見つけたのは、いかにもなRPG宿だった。
一階が酒場になっていて、二階に部屋があるという例のアレだ。
寂れてはいるが自給自足ができているのか、何人かが酒場にたむろしている。
カウンターに近寄ると、酒場のオヤジが声をかけてきた。
「いらっしゃい、ご注文は?」
NPCテンプレ対応そのものだ。
あー……いや、店員の対応はそもそもマニュアルか。
「適当に料理をみつくろってくれ」
(おい、選ばせろよ)
レイトはクリスにムッとしながらも選ぶにしたってどうすればいいのか、そもそも料理が選べるのかも判らないのでなりゆきに任せることにした。
クリスが先導する形で五人の冒険者は隅の方にあるテーブルに座る。
なぜかお誕生日席に座らされてレイトはもやもやした気持ちになる。
座るとすぐに店の女性店員が料理を運んできてテーブルの上に置く。
(これは、どうやって食べればいいんだ? そもそも食べられるのか?)
と、疑問に持つのも当然か。
レイトはとりあえず、食べるという行動をとってみる。
すると視覚的にはナイフとフォークをかちゃかちゃ動かしているだけなのに、どういう原理かちゃんと口の中に食べ物が入ってくる感覚があって咀嚼もできる。
味はほとんどしないあたり、食べ物を味わった気がしないのがもやっとするけれど腹は満たされた。
(なんだかなー……)
今は亡き某俳優がバラエティ番組でよく使っていたセリフがつい口をつきそうになる。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
五人もいるのにしばらく無言で食事をするその空気にいたたまれなくなったのか、ライアンが
「落ち着いたことだし、改めて自己紹介といこうじゃないか」
と提案した。
案外気が小さいのか、気を使いいなのか?
「そうですね、お互いわだかまりがあってはこの先王都までの旅も落ち着いてできないかも知れません」
沈黙は気にしていなかっただろうクリスティーンだが、思うところがあったのだろう。
こっちは存外というべきかさすがはお姫様と言うべきなのか、なかなか気遣いのできるレディである。
「なるほど、では改めて私から。ファンタジア王国騎士団第十七番隊隊長クリス・パークだ。邪悪なウィザードにさらわれたクリスティーン姫救出を任された我が隊だったが、残念ながら……しかし、お前たちの協力で無事に姫を助け出すことができた。感謝する」
「じゃあ、右回りとして次は俺が自己紹介しよう。プリーストのライアンだ。そっちの三人は知っての通り、元はそのウィザードの部下としてダンジョンの第三階層の管理を任されていたんだが……王女様の仲間になった方が得かと思って寝返らせてもらった」
寝返ったと聞いて、クリスはあからさまに軽蔑の態度を示す。
(融通の効かないやつだな)
と、レイトなんかは思うのだけど。
「じゃあ次はあたしかい? あたしはアマゾネスヴァネッサ。そいつがいい男だったのと、ちょうど退屈していたんでついてきたのさ。おかげで退屈しないよ」
「ファンタジア王国現国王エドワード・ハッセイ8世の末子クリスティーン・ハッセイです。みなさまに助けていただいて、本当に感謝しています」
と、なぜかそこだけ四頭身のクリスティーンがペコリと頭を下げる仕草が入る。
カワイイなこのヤロー。
「ええと……世良玲太です。なんて言えばいいかな? 家でゲームをしていたらこの世界に飛ばされて……」
「待て待て待て。え? 今、なんて言った?」
と、やっぱり慌てて聞き返すライアンに
「家でゲームをしていたらこの世界に飛ばされて」
と、律儀に繰り返すレイトはやっぱり育ちがいいのか?
「この世界ってどう言うことだ? 何か? この世界以外に別の世界があるって言うことか?」
「あー、うん。たぶん」
と、答えて周りを見渡すと、クリスは人を見下したような目でこちらを見ているし、ヴァネッサはなんだか目をキラッキラさせている。
そしてクリスティーンは何やら深刻な顔をしていた。
「あの……なにか?」
何かじゃないだろ、何爆弾ぶっ込んでんだよ、レイト。
「まさか……いえ、でも…………」
なんてぶつぶつ呟いていたクリスティーンにクリスが声をかける。
「姫、どうかなされましたか?」
「え? ええ。レイト。その家からこの世界に来てからの話、話してもらえない?」
「ん? んーん」
と、レイトはモニターに吸い込まれた経緯から始めて洞窟での探索、ハジマリの島での冒険から塔の遺跡でクリスティーンを助けたことまでを話す。
「すると、私の倒したウィザードは姫をさらったウィザードではないのか!?」
どこに驚愕しているのか、クリスよ。
そして、クリスに対して何を勝ち誇った顔をしているんだライアン。
それからクリスティーン
「ええ。私をウィザードから救ってくれたのはレイトです」
とか、追い討ちをかけてやるな。
「まぁ、それはともかく。塔の最上階からダンジョンの最下層に飛ばされて、その地下ダンジョンを探索している間にヴァネッサたちと仲間になったわけだ」
ようやくパーティメンバー全員が知っているところまで話し終わった時、クリスティーンの表情は確信に満ちたものになっていた。
「やはり」
「王女様、やはりとは?」
「これは王家の伝承に語られているのですが、『王国に危機が訪れる時、次元の回廊を越え救世主が現れる』と言うのがありまして、その救世主というのが、レイトなのではないかと」
「次元の回廊?」
ヴァネッサ、そこ食いつくとこじゃないと思うぞ。
「それが何を意味する言葉なのかは判りませんが、レイトが最初に冒険した洞窟というのが、その『次元の回廊』なのではないでしょうか?」
「なるほど。しかし、当事者である王女を目の前にしていうのもはばかられることだけど、王族とはいえ末子のお姫様がさらわれることが王国の危機とは少し大袈裟じゃありませんか?」
「いや、そうとも限らん。私は父から姫が光の巫女として誕生したと聞かされている」
「光の巫女?」
「ああ。女王が姫をご懐妊された際、夢にて光天使が顕れ『この世を照らす巫女を授ける』と告げられたそうだ。その姫こそがクリスティーン姫である」
(あー、宿命のヒロイン物語展開ですか。で、俺、救世主系主人公なわけね)
ゲームやろうとしてモニターに吸い込まれ、視覚情報がまるっきりゲーム画面なせいか、RPGオタク思考全開なレイトであった。
…………。
四人とも地の文で突っ込んだし、いつもレイトには突っ込んでるから、今回は突っ込んでやらないんだからねっ!
そこにそびえていた「遺跡の塔」に登ってクリスティーンを助けた後は5階層の3Dのダンジョンを探索し、ダンジョンをクリアした後はフィールドアドベンチャーで一泊野営もした。
レイトにとってずいぶんと久しぶりの町である。
ドラゴンクエスト風のポップで牧歌的な田舎町だったサイショノ村と違って、全体的にくすんだ寂れた町という〇〇年代初頭のダーク系ファンタジーMMORPGを想起させるドット絵の町並みだ。
僻地に取り残された寂れた町は住人もどこか疲れた様子で動きも緩慢な様子がある。
「とりあえず宿を取ろう」
クリスの提案で、冒険者たちは宿を探して町を歩く。
時折処理落ちするようなな視覚に悩まされながらレイトが見つけたのは、いかにもなRPG宿だった。
一階が酒場になっていて、二階に部屋があるという例のアレだ。
寂れてはいるが自給自足ができているのか、何人かが酒場にたむろしている。
カウンターに近寄ると、酒場のオヤジが声をかけてきた。
「いらっしゃい、ご注文は?」
NPCテンプレ対応そのものだ。
あー……いや、店員の対応はそもそもマニュアルか。
「適当に料理をみつくろってくれ」
(おい、選ばせろよ)
レイトはクリスにムッとしながらも選ぶにしたってどうすればいいのか、そもそも料理が選べるのかも判らないのでなりゆきに任せることにした。
クリスが先導する形で五人の冒険者は隅の方にあるテーブルに座る。
なぜかお誕生日席に座らされてレイトはもやもやした気持ちになる。
座るとすぐに店の女性店員が料理を運んできてテーブルの上に置く。
(これは、どうやって食べればいいんだ? そもそも食べられるのか?)
と、疑問に持つのも当然か。
レイトはとりあえず、食べるという行動をとってみる。
すると視覚的にはナイフとフォークをかちゃかちゃ動かしているだけなのに、どういう原理かちゃんと口の中に食べ物が入ってくる感覚があって咀嚼もできる。
味はほとんどしないあたり、食べ物を味わった気がしないのがもやっとするけれど腹は満たされた。
(なんだかなー……)
今は亡き某俳優がバラエティ番組でよく使っていたセリフがつい口をつきそうになる。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
五人もいるのにしばらく無言で食事をするその空気にいたたまれなくなったのか、ライアンが
「落ち着いたことだし、改めて自己紹介といこうじゃないか」
と提案した。
案外気が小さいのか、気を使いいなのか?
「そうですね、お互いわだかまりがあってはこの先王都までの旅も落ち着いてできないかも知れません」
沈黙は気にしていなかっただろうクリスティーンだが、思うところがあったのだろう。
こっちは存外というべきかさすがはお姫様と言うべきなのか、なかなか気遣いのできるレディである。
「なるほど、では改めて私から。ファンタジア王国騎士団第十七番隊隊長クリス・パークだ。邪悪なウィザードにさらわれたクリスティーン姫救出を任された我が隊だったが、残念ながら……しかし、お前たちの協力で無事に姫を助け出すことができた。感謝する」
「じゃあ、右回りとして次は俺が自己紹介しよう。プリーストのライアンだ。そっちの三人は知っての通り、元はそのウィザードの部下としてダンジョンの第三階層の管理を任されていたんだが……王女様の仲間になった方が得かと思って寝返らせてもらった」
寝返ったと聞いて、クリスはあからさまに軽蔑の態度を示す。
(融通の効かないやつだな)
と、レイトなんかは思うのだけど。
「じゃあ次はあたしかい? あたしはアマゾネスヴァネッサ。そいつがいい男だったのと、ちょうど退屈していたんでついてきたのさ。おかげで退屈しないよ」
「ファンタジア王国現国王エドワード・ハッセイ8世の末子クリスティーン・ハッセイです。みなさまに助けていただいて、本当に感謝しています」
と、なぜかそこだけ四頭身のクリスティーンがペコリと頭を下げる仕草が入る。
カワイイなこのヤロー。
「ええと……世良玲太です。なんて言えばいいかな? 家でゲームをしていたらこの世界に飛ばされて……」
「待て待て待て。え? 今、なんて言った?」
と、やっぱり慌てて聞き返すライアンに
「家でゲームをしていたらこの世界に飛ばされて」
と、律儀に繰り返すレイトはやっぱり育ちがいいのか?
「この世界ってどう言うことだ? 何か? この世界以外に別の世界があるって言うことか?」
「あー、うん。たぶん」
と、答えて周りを見渡すと、クリスは人を見下したような目でこちらを見ているし、ヴァネッサはなんだか目をキラッキラさせている。
そしてクリスティーンは何やら深刻な顔をしていた。
「あの……なにか?」
何かじゃないだろ、何爆弾ぶっ込んでんだよ、レイト。
「まさか……いえ、でも…………」
なんてぶつぶつ呟いていたクリスティーンにクリスが声をかける。
「姫、どうかなされましたか?」
「え? ええ。レイト。その家からこの世界に来てからの話、話してもらえない?」
「ん? んーん」
と、レイトはモニターに吸い込まれた経緯から始めて洞窟での探索、ハジマリの島での冒険から塔の遺跡でクリスティーンを助けたことまでを話す。
「すると、私の倒したウィザードは姫をさらったウィザードではないのか!?」
どこに驚愕しているのか、クリスよ。
そして、クリスに対して何を勝ち誇った顔をしているんだライアン。
それからクリスティーン
「ええ。私をウィザードから救ってくれたのはレイトです」
とか、追い討ちをかけてやるな。
「まぁ、それはともかく。塔の最上階からダンジョンの最下層に飛ばされて、その地下ダンジョンを探索している間にヴァネッサたちと仲間になったわけだ」
ようやくパーティメンバー全員が知っているところまで話し終わった時、クリスティーンの表情は確信に満ちたものになっていた。
「やはり」
「王女様、やはりとは?」
「これは王家の伝承に語られているのですが、『王国に危機が訪れる時、次元の回廊を越え救世主が現れる』と言うのがありまして、その救世主というのが、レイトなのではないかと」
「次元の回廊?」
ヴァネッサ、そこ食いつくとこじゃないと思うぞ。
「それが何を意味する言葉なのかは判りませんが、レイトが最初に冒険した洞窟というのが、その『次元の回廊』なのではないでしょうか?」
「なるほど。しかし、当事者である王女を目の前にしていうのもはばかられることだけど、王族とはいえ末子のお姫様がさらわれることが王国の危機とは少し大袈裟じゃありませんか?」
「いや、そうとも限らん。私は父から姫が光の巫女として誕生したと聞かされている」
「光の巫女?」
「ああ。女王が姫をご懐妊された際、夢にて光天使が顕れ『この世を照らす巫女を授ける』と告げられたそうだ。その姫こそがクリスティーン姫である」
(あー、宿命のヒロイン物語展開ですか。で、俺、救世主系主人公なわけね)
ゲームやろうとしてモニターに吸い込まれ、視覚情報がまるっきりゲーム画面なせいか、RPGオタク思考全開なレイトであった。
…………。
四人とも地の文で突っ込んだし、いつもレイトには突っ込んでるから、今回は突っ込んでやらないんだからねっ!
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